アイキャッチ画像出典:PIXTA
そもそも「プライオメトリック」とは?
プライオメトリックは「プライオメトリクス」や略して「プライオ」と呼ばれることがあります。初めて聞いたという人でも、実はプライオメトリックトレーニングをやったことがある人は意外に多いです。
では、プライオメトリックとはどのようなものを意味するのか紹介します。
伸張反射を使った瞬発力を高めるトレーニング
出典:PIXTA
プライオメトリックとは、筋肉を素早く伸展させることで伸張反射が起き、その直後に大きな筋収縮が起きることで、より大きなパワーを得る動きのことです。主に筋肉や腱に弾性エネルギーを蓄えることで瞬発力を生みます。
瞬発力を構成する要素はいくつかありますが、この伸張反射を使ったパワーも1つの要因であり、プライオメトリックトレーニングを行うことで瞬発力を高められます。
ジャンプや全身運動で鍛えられる
出典:PIXTA
プライオメトリックトレーニングの種類はさまざまですが、代表的なトレーニングは「ジャンプ」系のトレーニングです。
ジャンプは伸張反射を多く使っている運動であり、全身を使って高く跳ねることによって瞬発力を高められます。また、ジャンプは全身を連動させて上手く反動をつけることで高く跳べるため、トレーニングとして行えば全身を効率良く鍛えられます。
さまざまなスポーツに活用されている
出典:PIXTA
プライオメトリックは瞬発力を使う幅広いスポーツの役に立ちます。陸上競技の短距離だけでなく、高くジャンプする跳躍種目、爆発的なパワーが求められる投てき種目にも重要です。
他にも、バスケやサッカーなど走る・跳ぶ動きが多い種目にも使われています。プライオメトリックトレーニングは比較的新しいトレーニングですが、その基礎となる練習は昔からあり、幅広いスポーツに応用できるため取り入れられることが増えています。
ランニングにおけるプライオメトリックの効果
短距離だけでなく長距離まで、ランニングの動作にはプライオメトリックの動きが大きく関わっています。では、どのような効果があるのか見ていきましょう。
スピードを出しやすくなる
出典:PIXTA
プライオメトリックトレーニングにより、瞬発力を高めることで最大スピードが向上します。長距離種目でもスピードは重要であり、瞬発力があるとスピードを出しやすくなるため、特にラストスパートでのキレが高まります。
一般的に短距離走と長距離走では使っている筋肉が異なり、短距離的な筋肉を鍛えることで勝負に勝ちやすくなるでしょう。勝負にこだわる人であれば、瞬発力を鍛えて爆発的なパワーを発揮できるように練習するのがおすすめです。
ランニングエコノミーが改善される
出典:PIXTA
ランニングにおいて短距離の動作と長距離の動作では、使っている筋肉に違いはあるとはいえ、共通している部分も多くあります。特に長距離のランニング動作の中にも瞬発力を使っているシーンは存在しています。(ランニングは細かい連続したジャンプともいえます。)
もちろん、上下に跳ねるようなフォームであればエネルギーのロスは大きくなってしまいますが、そのエネルギーを推進力に変換できれば、効率良く前進できるでしょう。
プライオメトリックトレーニングで瞬発力を鍛えることで、瞬発力を使ったフォームを体得でき、ランニングエコノミー(ランニング効率)は改善されます。
ランニングエコノミーについてもっと知りたい方はこちらの記事もおすすめ!
全身を使ったフォームを体得できる
出典:PIXTA
プライオメトリックトレーニングは全身を使うため、ランニングに応用すれば全身を使ったフォームを体得できます。下半身ばかりを使ったランニングフォームの場合、バランスが悪くなることでバテやすくなってしまうでしょう。
全身を効果的に使えるようになれば、推進力が生まれやすくなり、より進むランニングができます。
ランニングフォームを矯正したい!ならばこちらの記事もおすすめ
道具がいらないものも!トレーニング種目で実践
プライオメトリックトレーニングの中でも簡単なものは道具を使わずに行えます。また、スポーツジムなどに置いてある道具をや、自宅でも幅をとらない道具を使えば、トレーニングの幅は広がります。どのような種目があるのか見ていきましょう。
パワースキップ
出典:PIXTA
パワースキップは通常のスキップよりも高く跳ねることを意識し、全身の反動を使ったトレーニングです。道具を使わずにどこでもできるため、手軽に鍛えられます。しかし、片足で着地するため、足首などを捻挫するリスクがあります。十分に体をほぐしてから行ってください。
トレーニングの回数に決まりなどはないため、まずは通常のスキップから徐々に高く跳ねるようにしていくと良いでしょう。スキップを行った後に軽いダッシュをしてランニングフォームを確認するのがおすすめです。
ボックスジャンプ
出典:PIXTA
ボックスジャンプは名前の通り、トレーニング用のジャンプボックスに両脚ジャンプで跳び乗ることを繰り返すトレーニングです。しっかり、全身の反動を使って跳ぶようにしましょう。プライオメトリックトレーニングでは縦方向に跳ぶ意識が重要です。
使用するボックスなどの段差の高さによりますが、3セットを無理なく行えるような回数で行ってください。バランスを崩すとボックスなどから落下する危険性があるため、無理は厳禁です。
バウンディング
出典:PIXTA
バウンディングとはパワースキップの応用系のトレーニングです。三段跳びの「ホップ・ステップ」を繰り返すトレーニングといえば分かりやすいでしょうか。瞬発力や跳躍力を高めるのに有効なトレーニングであり、長距離でもパワフルな動作を行えるようになるでしょう。
ポイントは足の裏で接地して、高く遠くへ跳ぶのを意識することです。地面の反発を得るように意識すると縦方向に跳べるようになります。特に回数は決まっていませんが、片足10回ずつできるように練習してみると良いでしょう。
メディシンボール投げ
出典:PIXTA
メディシンボールがあれば、スクワットと同じ要領で上に放り投げることで、高いトレーニング効果が期待できます。
両手でメディシンボールをしっかり持ちしゃがみます。その状態から反動をつけてジャンプしながらメディシンボールを投げるのがポイントです。このときも、なるべく高くボールを投げられるようにしましょう。実施するときは周囲に注意して行ってください。スペースさえあれば室内でもできるので雨の日のトレーニングとして取り入れるのも良いですね。
ITEM
NISHI メディシンボール 3kg
●サイズ:直径24cm
●材質:ゴム
プライオメトリックトレーニングの注意点
プライオメトリックトレーニングは効果が高く、ランニングを含むさまざまなスポーツに役立ちますが、注意点もあるので正しい理解が必要です。
負荷に耐えられる下地の筋肉が必要
出典:PIXTA
ジャンプする動作は、接地するときに全身の体重が脚(足首・膝など)にかかります。負荷が大きいため、ペースとなる筋肉がない人であれば、衝撃に耐えきれず筋肉・腱・骨などに負荷がかかり怪我の原因になります。
普段から運動をしていない人やランニング初心者は無理に実施しないようにしましょう。
負荷が大きいので毎日実施しない
出典:PIXTA
プライオメトリックトレーニングの負荷は非常に大きいため、全身の筋肉が発達している人でも、毎日実施すると負荷が蓄積してしまいます。初心者の場合は、週に1回から。慣れている人でも週に3回程度に抑えることが大切です。
初心者はプライオメトリックトレーニングにこだわらず、筋トレして全身をバランス良く鍛えるのがおすすめです。
プライオメトリックトレーニングを取り入れてステップアップ!
出典:PIXTA
プライオメトリックトレーニングはランニングに対しても効果が高い手法であり、伸び悩んでいる人は、取り入れることでパフォーマンスのステップアップが期待できます。
単純な動作の種目もあれば、効果的にトレーニングするためには技術が必要なものもあるため、普段の練習から少しずつ取り入れると良いでしょう。初心者の場合は、まず全身を鍛えてトレーニングの負荷に慣れるようにすることが大切です。
早く遠くまで走るためには?ランニングトレーニングでおすすめの記事はこちら!
1