アイキャッチ画像撮影:鈴木すず
主に舗装路の平地を走るマラソンとは異なり、トレイルランニング(以下トレラン)は登ったり下ったりはもちろん、様々な環境に対応しながら長時間走る続ける必要があります。キツい一面もありますが、その変化が楽しいからこそ、トレラン人口は年々増えているのかも知れませんね。そんなトレランの魅力を知ってしまった初心者が、よりトレランを楽しむ為にはどんな練習をすれば良いのでしょう。
まずは近所で走力アップ!ロードで出来る7つの練習メニュー
マラソンとトレランの大きな違いは、言うまでもなく道路と山とでフィールドが異なる事です。しかしながら、町ラン感覚で頻繁に山を走る事が出来るランナーは多くないでしょう。そこでこちらでは、町や自宅でも出来る練習法を紹介します。
1. 峠走
撮影:川島祥
5〜10kmの登り坂を走る峠走は、トレランで強くなる為には非常に有効です。もちろん平地と同じペースでは走れませんが、ゆっくりでも良いので歩かないように自分の限界をプッシュする事が心肺と脚力を高めてくれます。東京近郊だとヤビツ峠や奥武蔵グリーンラインなどが峠走コースとしてはメジャーですね。
▼峠走についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
2. 階段登り下り
撮影:榎本一生
町中でトレイルを見つけるのは難しいですが、階段登り下りはそれに近い負荷を与えてくれます。一段飛ばしも織り交ぜて、5往復を5セットなどにして練習すると、メリハリが付くので気持ちも折れずに頑張れます。段数は60段以上がお薦めですが、無ければその分往復数で補えばOK。より負荷を与えてたい人は、10〜15往復目の合間に60秒位の空気椅子を5本程挟むと気持ち良く?オールアウト(疲れ切ってへとへとになること)出来ます。近所に適当な階段を見つけてみましょう。
3. 坂道ダッシュ
出典:PIXTA
登りのスピードや持久力向上を図るには、坂道ダッシュもお薦めです。その方法は簡単。100mくらいの坂道をダッシュで駆け上がり、復路はゆっくり下って息を整えます。これを5〜10セット行うのが一般的ですが、まずは無理の無い範囲で問題ありません。また、斜度が高く、また距離が長くなるにつれて負荷は比例します。自分の体力に合わせてメニューを組んでみましょう。
▼坂道ダッシュについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
4. LSD(ロング・スロー・ディスタンス)
撮影:鈴木すず
トレランはマラソンのように常に出力をし続ける訳ではありませんが、長時間走り続ける必要があります。その為にはLSD(ロング・スロー・ディスタンス)が効果的。2〜3時間を目安として、6分半〜7分半/kmくらいのペースでゆっくりと長く走り続ける事に慣れるようにしましょう。筆者のお薦めは山手線一周。距離はちょうど40km程で、駅を迎える毎に終わりに向けて進んでいる感覚が飽きを回避してくれますよ。
▼LSDについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
5. 帰宅ラン
撮影:田嶌一徳
仕事終わりの帰宅ランをルーティンにすると、自ずとザックを背負って走る事に慣れてきます。帰宅とトレーニングを同時進行出来るので、なかなか練習時間を確保出来ない人にも◎。敢えて定期券を買わないでおくと、モチベーションもキープ出来て電車賃も節約出来るので一石二鳥です。
▼帰宅ランについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
6. クロスカントリー走
出典:PIXTA
道路ではなく、公園などの未舗装路を走るクロスカントリー走(以下クロカン)は、凹凸のある路面で上手に着地ポイントを見つける練習にぴったりです。都内で挙げると、代々木公園や砧公園なら2〜3kmのクロカンが出来るコースもあるので、練習には打って付け。アスファルトよりもクッション性があるので、脚に優しい練習が出来るのもポイントです。
7. 低酸素ジムトレーニング
トレランは標高が高い場所を走り続けるスポーツです。標高が高い=空気が薄い、つまり同じペースで走ったとしても町ランより心肺に負荷がかかります。そこでお薦めしたいのが、低酸素トレーニングを行えるジム。「ハイアルチ」や「ランニングサイエンスラボ」では、標高2,000m超えの環境でトレッドミルを走る事が出来ます。短い時間で高い負荷をかけられるので、忙しい市民ランナーにはぴったりと言えます。
▼高地トレーニングについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
ブレない体をつくる!自宅でできる体幹トレーニング
登ったり下ったり、クネクネと曲がるコースがあったりする故に、トレランではマラソン以上に強固な体幹が必要になります。日常的に取り入れて、山を安定的して走る為に必要な体幹を鍛えておきましょう。
プランク
出典:PIXTA
プランクとは、腕立て伏せのようにうつ伏せになった状態で前腕と肘、そして爪先を地面につき、その姿勢をキープするエクササイズ。筋力が無い人でも行える体幹トレーニング方法として、女性の間でも人気が高まっています。
手順
- 自宅の床にマットを敷く。
- その上に仰向けになり、足と肘で体を支える。
- この状態を1分間キープする。
- 1分経ったら少し休憩を入れて残り2セット程を行う(より負荷を与えたい人は、セット数を増やす)。
▼プランクについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお薦め!
サイドブリッジ
出典:PIXTA
プランクの横バージョンがサイドブリッジです。サイドブリッジは、腹筋やお尻のサイドの筋肉に刺激を与えられるので、体幹を鍛えると同時にスタイルアップにも効果的。プランクとセットで行なえば、バランスの取れたエクササイズを自宅で叶えられますよ。
手順
- 自宅の床にマットを敷く。
- その上で横になり、下側の肘を肩の真下に置き、上半身を支えるように起こす。
- 下側にある足を、膝下から後ろへ90度に曲げます(曲げた脚が少し内側へ入ってもOK)。
- 一番高い位置へ、腰を上に引き上げます。この時、上側の手は腰に当てておく。
- 頭から足の先まで一直線になるよう、伸ばしている脚を体の真横へ上げる(腕と肩だけでなく、腹筋に力を入れ体を支える)。
- この状態から、ゆっくりと足を15〜20回程上下させる。
とにかく山を走る
ここまでは町や自宅で出来る練習法を紹介しましたが、勿論トレランの舞台であるフィールド、つまり山を実際に走るのが最も良い練習になります。と言うのも、トレランは自然相手のスポーツなので、山に入らないと分からない様な予期せぬ事態も起こり得えるからです。また、実際に山を走ってみる事によって、装備の必要不必要が見えてくることも多々あるのです。
出たいレースに似たコースを走ってみる
撮影:石山匠
ひとくちにトレランレースと言っても、そのコース内容は三者三様です。例えば、数字では同じ「50km/累積標高2,500m」のレースが2つあったとしても、トレイル率や路面の状況(林道が多い、岩がゴロゴロ転がっている等)が違えば、その装備や走り方は異なってきます。
もし出場したいレースが決まっているのであれば、そのコースの特徴を調べ、高低差や路面状況の傾向が似ている山を探して走りに行ってみましょう。
本番に備えてギアを色々試してみる
実際に山を走ってみなければ、そのギアが自分に合っているかは分からないものです。また、あるザックに関して、距離が30kmなら問題なくても50kmを越えると肩の擦れが気になってくるなんて事も起こり得ます。トレランは様々なギアを要するスポーツなので、自分に合ったそれを見つけるのも大事な練習になるのです。
自分に合った補給食を見つける
撮影:鈴木すず
普段はあまり甘い物が好きではない人でも、トレラン中だとそれを欲するようになるという話は散聞されます。そして、トレランはエネルギー消化の高いアクティビティなので、どんな補給食を携行するかはとても重要。また、どんなに評判の良い補給食でも、本人が食べたい気持ちにならない物は適切とは言えません。山で疲れた時、自分の身体が何を食べたくなるのかを把握してくことはとても重要なのです。
出たいレースを決めて、そこから逆算しよう
強くなる為の練習と言うのは、往々にして辛い内容が多いものです。モチベーションを切らさずにそれを頑張る為には、しっかりとしたターゲットレースを決めるのが一番。「このレースをこんな内容でフィニッシュしたい!」。自分が行きたい場所をイメージし、そこから逆算して日々の練習を頑張って行きましょう。
この記事を読んだ人にはこちらの記事もおすすめ!