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心拍数を活用する!カルボーネン法とは
ランニングは心肺機能が重要になる運動で、心拍数と密接な関係があります。カルボーネン法は、この「心拍数」を使って適切なトレーニングをする方法です。ここからはカルボーネン法を詳しく紹介していきます。
心拍数を基準に運動強度を設定する方法
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カルボーネン法とは、運動をする際の目標となる心拍数を算出する方法です。例えば「無理をしない程度の運動」といっても、人によって運動強度(ランニングならペース)が違ってきます。
カルボーネン法を使えば、目安となる運動強度に対応した目標心拍数を算出できるので、適切な強度の運動を行いやすくなります。つまり、「軽い運動をしているつもりだったけど、実は運動強度が高くてきつかった。」というズレがなくなるのです。
人によって競技レベルは異なるので、ランニングのペースで強度を設定するのは適していません。心肺能力と直結した心拍数を基準にすることで、自分に合った強度のランニングができます。
年齢と安静時心拍数から目標とする運動強度の心拍数を算出する
カルボーネン法の計算式は以下のとおりです。
((220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数
仮に運動強度が0%であれば、心拍数はそのまま安静時心拍数になります。そこから、5%、10%と運動強度を上げていくことで、安静時心拍数よりもたかくなっていきます。
例えば、30歳で安静時心拍数が60拍/分のAさんの場合、運動強度50%時の心拍数は125拍/分になります。
それに対して、普段からトレーニングしているマラソンランナーのBさん(25歳で安静時心拍数が40拍/分)の場合、運動強度50%時の心拍数は117拍/分になります。
この2人が同じペースで走ったとき、心拍数の上昇はAさんの方が高くなるでしょう。このように、年齢と心肺機能の高さによって運動強度による心拍数は変わってくるのです。
具体的な運動強度(%)の目安は後述します。
カルボーネン法を活用するメリット
ランニングでカルボーネン方法を活用できることが分かりましたが、利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはカルボーネン法を活用するメリットを紹介します。
自分のレベルに合った運動強度を設定できる
ランニングのペースではなく心拍数を基準にすることで、自分の競技レベルに合った運動強度の設定できます。目標となる心拍数を設定して守ることで、オーバーペースを防ぎ、楽すぎることもなくなります。
初心者の方で、どんなペースで走れば良いか分からない場合でも、カルボーネン法で目標心拍数を計算すれば自分に合った強度のランニングができます。
自分の成長を実感できる
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カルボーネン法で計算した心拍数を基に、同じペースで何日か走り続けていると心肺機能は向上していきます。心肺機能が強化されると、心拍数の上昇が緩やかになり、同じペースでも段々と楽になります。
例えば、一定のペースで走り130拍/分だったところが、120拍/分になっていれば自分の成長を客観的に実感できるでしょう。
練習の効率が良くなる
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心肺機能を向上させるためには、自分に合った強度でさまざまなトレーニングを行う必要があります。例えば、オーバーペースで走っていると、走行距離が短くなるので心肺系に刺激を与える時間が少なくなってしまいます。例えばインターバルトレーニングのペースではロングジョグはできません。
反対にペースが遅すぎると、心肺系に与える刺激が小さくなりトレーニングの効果が悪いです。ロングジョグのペースでインターバルトレーニングを行っても効果は薄いでしょう。
そこで、カルボーネン法で計算した目標心拍数を目安にトレーニングすることで、インターバルトレーニングやロングジョグなどの練習を効率良く行えるのです。
心拍数とトレーニングの効果の関係
ここからは、カルボーネン法を用いて具体的にどのようなトレーニングをすれば良いのかを紹介します。先程のAさん(30歳で安静時心拍数60拍/分)と、Bさん(25歳で安静時心拍数が40拍/分)を例に説明していきます。
運動強度40%~60%:脂肪燃焼/健康増進
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運動強度40%~60%は比較的刺激が小さく長時間のランニングが可能です。長くランニングできるためエネルギーを効率良く燃焼でき、脂肪燃焼や健康増進の効果があります。
具体的なトレーニング内容はウォーキングやゆっくりなジョギングなどになり、効果を高めたい方は運動時間を長くすると良いでしょう。
Aさんの心拍数 |
112拍/分~138拍/分 |
Bさんの心拍数 |
104拍/分~133拍/分 |
運動強度60%~70%:心肺機能の向上
運動強度60%~70%は心肺機能にそれなりの負荷がかかるため、「快適なきつさ」のランニングになるため心肺機能を向上する効果があります。
少しペースが速いジョギングなどが該当し、マラソンなどの長距離種目の選手の中心になるトレーニングです。
Aさんの心拍数 |
138拍/分~151拍/分 |
Bさんの心拍数 |
133拍/分~148拍/分 |
運動強度70%~80%:最大酸素摂取量の向上
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運動強度70%~80%は心肺機能に大きな負担をかけるため、連続して運動できる時間が短くなります。全身持久力の指標である「最大酸素摂取量」が向上する効果があります。
※最大酸素摂取量とは、酸素を体内に取り入れエネルギーとして利用する能力のことです。
この強度では連続で走り続けられないので、走る・休むを繰り返すインターバルトレーニングなどが該当します。
Aさんの心拍数 |
151拍/分~164拍/分 |
Bさんの心拍数 |
148拍/分~164拍/分 |
▼インターバルトレーニングについて詳しく知りたい方はこちら
運動強度80%~90%:無酸素運動能力の向上
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運動強度80%~90%はかなりペースが速くなり長くランニングを続けられません。そのため、短い距離を速く走るスピードトレーニングが該当します。
この運動強度でトレーニングすることで無酸素運動能力が向上します。運動強度が一定値を超えると(無酸素運動になると)、酸素の供給が間に合わなくなり疲労物質である乳酸が多く出ます。つまり、無酸素運動能力が向上すれば、運動強度を高めても乳酸が出にくい体になります。
Aさんの心拍数 |
164拍/分~177拍/分 |
Bさんの心拍数 |
164拍/分~179拍/分 |
心拍数を測るなら心拍数計つきスマートウォッチを使ってみよう!
心拍数を測る簡単な方法は、手首を指で押さえて脈を取るやり方です。ただし、この方法だと心拍数を測るために、ランニングを中断しなければなりません。
ランニング中でも効果的に心拍数を測りたい場合は、心拍数計を搭載したスマートウォッチを使うと便利です。ここからは、ランニング向けの代表を3つほど紹介します。
軽くて使いやすい!ガーミンのエントリーモデル『ガーミン ForeAthlete 230J』
『ガーミン ForeAthlete 230J』は光学式心拍数計を搭載しており、ランニング中でもしっかり心拍数を確認できます。それ以外にも距離やペースなども計測可能です。
軽量でランニングの邪魔にならず使い方も簡単なので、初めてガーミンを購入する方におすすめ。
ITEM
ガーミン ForeAthlete 230J
●重量:41g
●サイズ:45 x 45 x 11.7 mm
●測定機能:距離、ペース、タイム、心拍数、VO2 Maxなど
コンパクトなフォルムでランニングの邪魔にならない『ポラール M430』
『ポラール M430』は僅か50gのコンパクトなデザインのスマートウォッチです。光学式心拍数計を搭載しているので、走りながら心拍数をチェックできます。
他にも独自のランニングプログラムも搭載しているので、ランニング初心者などどのようなトレーニングをすれば良いか分からないの方におすすめです。
ITEM
ポラール M430
●重量:51g
●サイズ:ディスプレイ128 x 128ピクセル、厚さ12mm
●測定機能:距離、ペース、タイム、心拍数、VO2max、カロリーなど
連続稼働時間が長く充電を気にしなくても良い『スント5』
スマートウォッチは充電の手間が煩わしく感じることがありますが、『スント5』であれば通常のタイムモードだと2週間も持つタフなバッテリーを搭載しているので、安心して使えます。
心拍数もしっかり測れるので、ウォッチの連続稼働時間を重視する方におすすめです。
ITEM
スント5
●重量:66 g
●サイズ:46 x 46 x 14.6mm
●測定機能:距離、ペース、タイム、心拍数など
▼ランニングウォッチについて詳しく知りたい方はこちら
カルボーネン法を有効活用して、ランニングの効率を上げよう!
「カルボーネン法」と聞くと難しいイメージがありますが、スマートウォッチや計算式を押さえれば簡単にできます。慣れるまでは大変かもしれませんが、普段のランニングから活用することで、練習の効率は飛躍的に向上します。
ランニングのトレーニング効果を高めたい方は、是非カルボーネン法を有効活用してみてください。
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