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筋肉だけではない!ベンチプレスを始めると得られる効果
ベンチプレスを正しいフォームと強度設定で行うと、筋トレ効果だけでなく、人間本来の正しい姿勢を得ることができます。今回は、初心者やこれから筋トレを始める人向けに、ベンチプレスのメリットを紹介していきます。
猫背改善
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猫背の姿勢になっているなあと思う人にほどおすすめのトレーニングが「ベンチプレス」です。ベンチプレスは猫背とは真逆のフォームで行い、姿勢を矯正してくれるトレーニングでもあるのです。近年ではスマホやゲーム機、電子書籍など、携帯できるデジタル端末が身の回りに溢れ、つい猫背になりがちです。ベンチプレスで適度な筋肉をつけたり、胸の筋肉を伸ばすことで猫背の改善につながります。
呼吸が深くなる
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背中が丸くなると、ろっ骨が内側に閉じたような歪みを生みます。その歪みにより肺が圧迫されてしまい空気を吸える量が減ってしまいます。
ベンチプレスは胸を張り、背筋を伸ばす姿勢を維持しながら行います。この姿勢が本来あるべき姿勢であり、重さ(負荷)を与えながらフォームをキープすること、でろっ骨の歪みを矯正し肺が膨らむようになります。
結果的に吸える息の量が増えて
- 疲れにくくなる
- 脳への酸素供給が増えて睡眠の質が上がる
- 仕事への集中力も向上する
という嬉しい効果が!
最近疲れや眠気が取れないという方には特におすすめです。
鍛えられるのは主に上半身の筋肉!
筋トレ種目には「筋トレのBIG3」と呼ばれる筋トレ種目があります。
BIG3とは
の3つのトレーニングのことです。
ベンチプレスはこのBIG3の1つであり、主に上半身に特化した筋トレ種目です。ここからはベンチプレスでどの筋肉を鍛えることができるのかを解説していきます。
大胸筋
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大胸筋は、上腕骨の上部〜ろっ骨の内側に付着しています。
主な機能は
- 手の平を外→内側に向ける…スマホを操作する
- 腕をカラダに近づける…遠くのモノを掴む、抱きかかえる
- モノを投げる、打つ…野球のピッチング、バレーのサーブ
- 肩を前に突き出す…歩く、走る時に腕を前にふる
などです。
鍛えることで猫背を悪化させそうに見えますが、ご安心ください。ベンチプレスを行う目的は大胸筋の「柔軟性」強化です。ギュッと縮んだ大胸筋を重さによって引き伸ばす効果が期待できます。
背筋群
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ベンチプレスで鍛えられる背中の筋肉は主に僧帽筋(下部)、菱形筋、広背筋です。肩甲骨の内側と脇〜腰にかけて付着しています。
背中全体に張り巡らされており、
主な機能は
- モノを引っ張る…モノを持ち上げる、木登りや綱のぼり
- 肩甲骨を内側に寄せる…胸を張る
- 骨盤を引き上げる…背筋を伸ばす
などがあります。
猫背矯正には非常に重要な働きをしてくれる筋肉です。
上腕三頭筋
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上腕三頭筋は肩〜腕の後ろ側全体に付着しています。二の腕を形作る筋肉です。
主な機能は
- 肘を伸ばす…イスから立ち上がる時に手すりを押す
- 肘を後ろに引く…歩く、走る時に腕を後ろに振る
などです。
ベンチプレスにおいては大胸筋のサポートをする働きがあるため二の腕を引き締めたい方が別の二の腕を鍛える種目も行うことをおすすめします。
フォームを徹底解説!初心者必見、ベンチプレスのやり方
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筋トレはとにかくフォームが重要です。正しいフォームで行えているか、間違ったフォームで行っているかで得られる効果も大きく変わります。ここからは正しいフォームで行うためのポイントとベンチプレスの手順を解説していきます。
①仰向けに寝る
まずベンチ台に仰向けに寝ます。
頭・両肩・お尻をベンチ台に、両足は床に着けましょう。
②バーベルを握る
バーベルを握るときの肘の角度は、床に対して90度垂直です。
③肩甲骨を内側に寄せる
バーベルの握る位置を決めたら肩甲骨を内側に寄せて、胸を張りましょう。
腰は手の平1〜2枚分のスペースは空いてもOK。
※お尻が浮かないようにしましょう。
④バーベルを持ち上げる
肩甲骨を寄せ、胸を張ったままバーベルをバストトップの直上位置まで持ち上げましょう。
⑤乳頭付近に1~2秒かけて降ろす
持ち上げた直後の③、④を保ったままバーベルがカラダに触れるまで真下に下ろしていきます。
⑥1〜2秒かけてバーベルを挙げる
バーベルがカラダに触れたらほんの一瞬だけ止まって、下ろした時間と同じペースでバーベルを④の位置まで挙げましょう。
※押し上げる瞬間に肩甲骨の寄せが緩まないようキープする
いきなり重すぎる重量はNG!怪我をしない、適切な重量の決め方
筋トレを行う上で重要なことは適切な強度設定です。重さが軽すぎても、重すぎても効果が得にくくなります。効率的に筋トレを行い、効果を得るためにも安全且つ、適切な重量の決め方を解説していきます。
使用重量の早見表
強度(%1RM) |
反復回数(Reps) |
ベンチプレスの重量(kg) |
100% |
1回 |
20 |
25 |
30 |
35 |
40 |
45 |
50 |
95% |
2回 |
19 |
23.5 |
28.5 |
32.5 |
38 |
42.4 |
47.5 |
90% |
4回 |
18 |
22.5 |
27.5 |
30 |
36 |
40 |
42.5 |
85% |
6回 |
17 |
20 |
25.5 |
29 |
34 |
38 |
40 |
80% |
8回 |
16 |
19 |
24 |
27.5 |
32 |
35 |
37.5 |
75% |
10回 |
15 |
17.5 |
22.5 |
25 |
30 |
32.5 |
35 |
70% |
12回 |
14 |
15.5 |
17.5 |
22.5 |
28 |
30 |
32.5 |
65% |
14回 |
13 |
14 |
15 |
20 |
26 |
27.5 |
30 |
60% |
16回 |
12 |
12.25 |
12.5 |
17.5 |
24 |
26 |
28.5 |
「20kgならスイスイできるけど、30kgになると数回しかできない」「何kgが適切なんだろう?」
などの疑問にお答えすべく、早見表を作成しました。
見方としては
30kgが1回挙がる場合は、30kg=1RM(100%強度)
30kgが4回挙がる場合は、30kg=4RM(90%強度)
となります。
RMの解説
RMとは…「Repetition Maximum(レペティションマキシマム)」の略。
自分が扱える最大重量のことです。
1RM=1回挙げられる重量
4RM=4回挙げられる重量
と表現します。
目的別!ベンチプレスの重量・回数・セット数
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カラダ作りにおいて目的もさまざまですよね。ここからは姿勢改善、胸板を厚くしたい、筋力アップしたい人向けにそれぞれの強度設定(回数、重量、休憩時間)を解説していきます。
姿勢改善!猫背を直したい人
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姿勢を良くして猫背を改善するためには長時間、力を発揮し続ける筋肉自体の持久力・筋持久力を鍛えましょう。
「低〜中程度の負荷」で「高回数」がポイントになります。
【トレーニングメニュー】
・重量:1RMの60〜70%
・回数:15~20回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:60秒
【メニュー例】:1RMが50kgの人の場合
・重量:30kg
・回数:15回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:60秒
Tシャツをカッコよく着よう!胸板を厚くしたい人
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胸板を厚くしたいのであれば「中程度の負荷」で「8〜10回の中回数」がポイントになります。
2セット目を終えて、
場合は重量が重すぎる可能性が高いです。
最低でも90秒しっかり休み、3セット目も補助に入ってもらいましょう。
3セット目の5回目以前で自力で挙げられないようでしたら
重さを2.5〜5kg下げましょう。
【トレーニングメニュー】
・重量:1RMの70~80%
・回数:8~10回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:60~90秒
【メニュー例】:1RMが30kgの人の場合
・重量:22.5kg
・回数:8~10回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:60~90秒
怪我に注意!最大筋力を強化したい人
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最大筋力を高めたいのであれば「高負荷」「低回数」がポイントとなります。低回数の理由は高負荷のため、筋肉や関節への負担が大きくケガに繋がる可能性が高いためです。量より質を重視して行いましょう。
【トレーニングメニュー】
・重量:1RMの85~90%
・回数:4~6回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:120秒
【メニュー例】:1RMが40kgの人の場合
・重量:35kg
・回数:4回
・セット数 :3セット
・セット間の休憩:90~120秒
毎回、高負荷でのベンチプレスはケガに繋がりかねません。2週に1回くらいのペースで行い、合間の期間は胸板を厚くするメニューや筋持久力を強化するメニュー行うと重量も上がりやすいです。
ランニングやマラソンの姿勢改善目的の人は、重すぎるメニューに注意!
ランニング、マラソンでは、大胸筋の肥大、発達はそこまで重要ではありません。発達した胸筋は重りになってしまい、腕の振りの妨げや制限になってしまう可能性さえあります。ランニング、マラソンは「無駄なく効率の良い動きを反復し続けるスポーツ」であり、余計な重りは完走タイムに影響を与えてしまいます。ランナーのベンチプレスは姿勢を保持するための筋持久力の強化を目的に行うことをおすすめします。
初心者がベンチプレスを行う際の注意点
ベンチプレスは筋トレ種目の種類において「フリーウェイト」という部類に入ります。フリーウェイトは筋トレマシンのように軌道が決まっておらず不安定です。その分、ちょっとした不注意からでも起きる怪我のリスクも高いです。ここからはベンチプレスを行う際に気をつけるべきポイントをご紹介します。
慣れないうちは1人では行わないようにしよう
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ベンチプレスはちょっとした気の緩みがケガに繋がりやすい種目でもあります。特に初心者の方は、「あと何回挙げたら限界を迎えるのか」がわからない方がほとんどです。
トレーニング中にバーベルが持ち上がらなくなってしまい首や胸に降ろしたことで窒息死をした事件が2012年、2013年に日本でも起きています。
フォームのズレや目立った間違いがあれば指摘もしてもらえるのでベンチプレスを行う際はジムのスタッフさんに「補助をお願いします」と一声かけるようにしましょう。
不安な方は1セット目から入ってもらうのも良い方法です。
背中が丸まらないようにしよう
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肩甲骨を内側に寄せておくことがベンチプレスで一番重要なポイント!肩甲骨が寄せられていないと腕周りの筋肉だけで行うことになってしまい非常にやりにくいです。また、肩関節への負担も大きくなりケガに繋がりかねません。
猫背改善のためにも常に肩甲骨を寄せて背中が丸まらないようにしましょう。
肘は伸ばしきらない
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ベンチプレスで肘を伸ばしきってしまうと肘関節がロック(固定)してしまい、筋肉の緊張が緩み、力が抜けてしまいます。バーベルを挙げてもギリギリ肘が伸び切らない位置で一旦止まりましょう。
手首は反らしすぎない
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手首が反りすぎると手首(手の甲側)の関節に過度なストレスがかかってしまいます。指先だけで握るとバーベルが落下してしまう恐れもあります。左の写真のように、親指の付け根に乗せるようにしてしっかり握るようにしましょう。
ベンチプレスをする際のおすすめアイテム
ベンチプレスは
- 手汗で滑りやすく、握る位置が徐々に広くなりやすい
- フォームの維持が難しい
という問題が頻繁に起こります。
ここからは、ベンチプレスを行う上でよくある問題を解決してくれるアイテムをご紹介していきます。
トレーニンググローブ (リストストラップ付き)
バーベルの握りと、手首の余計な反りを予防したい方におすすめなアイテム。
握りを強くしてくれるだけでなく、手首の固定もしてくれるのでケガの予防はもちろん、握りやすさが格段に上がります!
指の第一関節まで覆われているのでベンチプレス以外の種目にも使用可能です。
ITEM
ゴールドジム プロトレーニンググローブ G3402
●カラー:ブラック
●サイズ:手周り M 約22cm / L 約23cm / XL 約24cm / XXL 約26cm
※手周り:人指し指の付け根~小指の付け根までの周囲
●素材:極薄人工皮革アマーラ
トレーニンググローブ (グローブ部分のみ)
こちらのトレーニンググロープは手首を固定するリストストラップは付属されていません。
そのため、ベンチプレスでセット数を重ねるごとにバーベルの握りが弱くなったり、だんだん手幅広がってしまうことにのみ悩んでいる人におすすめのアイテムです。
ITEM
ゴールドジム レザーグローブ G3401
●カラー:ブラック×ブラック / ブラック×タン
●サイズ:手周り M 約22cm / L 約23cm / XL 約24cm
※手周り:人指し指の付け根~小指の付け根までの周囲
●素材:牛革
トレーニンググローブ (メッシュ素材)
「最初から革製のトレーニンググローブを買うのはちょっとハードルが高い」
そんな方におすすめなアイテムがメッシュ製のトレーニンググローブです。値段も安く、お試しに最適。メッシュ製で通気性も良く洗濯できるのも嬉しいですね。
デメリットとしては使用期間が長いほどグローブが伸びてきてしまう点です。グローブが伸びてきてしまえばグローブ内で隙間が生まれてバーべルが押しにくくなります。消耗品と捉えて使用するようにしましょう。
ITEM
GW Sports トレーニンググローブ
●カラー:ブラック / ブルー / レッド / オレンジ / ピンク / ゴールド / シルバー
●サイズ:S / M / L / XL
●素材:軽量メッシュ
リストストラップ
グローブとリストストラップが一体型のアイテムもありますが手首の固定は単体のリストストラップには敵いません。
ベンチプレスを行う前と後で握る位置はズレないが
- 手首がトレーニング中に痛くなる方
- きつくなると手首が反ってしまう方
- 日頃から腱鞘炎を抱えている方
におすすめです。
ITEM
シーク リストラップ
●カラー:ブラック / ブルー / ピンク / ホワイト
●サイズ:30/50/60cm
●素材:エラスティック
ウェイトベルト
ベンチプレスには「ブリッジ」と呼ばれるフォームテクニックがあります。
腰に手の平1〜2つ分のスペースを空けることでバーべルの上げる方法を真上ではなく斜め下に変更させ、重い重量が扱いやすくなるテクニックです。
- 腰の反りすぎによる腰痛予防
- 腰椎のみではなく、胸椎の動きも含めた「ブリッジ」を獲得したい方
におすすめのアイテムです。
ITEM
ゴールドジム パワーベルト(ダブルピン)
●カラー:ブラック
●サイズ:S 65~80cm / M 75~90cm / L 85~100cm / XL 95~110cm 厚さ1cm
●素材:レザー
マッサージでコリや姿勢は改善しない!筋トレこそが猫背改善&筋力強化の近道だ
出典:PIXTA
ベンチプレスは複雑な動きだからこそ多くの関節と筋肉が関与している分、重量も扱えて負荷を与えやすい点が一番の利点です。トレーニングマシンのようなシンプルな動きではない分、動作は難しいですが得られる効果は高いです。
マッサージやストレッチも受けた後は気持ちよく快適ですが、悲しくも翌日には元通りです。一時的にカラダのコリがほぐれても根本改善にはならず再発してしまいます。
猫背を改善し、筋トレ効果を得やすいカラダになるには、日頃から姿勢を保つための筋力強化と肩甲骨を動かして肩周りの柔軟性を保つことが必要です。
運動なくして根本改善はなしえません。筋肉をつけることだけでなく、効率的にカラダを変えるためにも、ぜひベンチプレスにチャレンジしてみてください!
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