「スポルティバ」ってどんなブランドなの?
1928年、ナルシソ・デラーディオによってイタリアで設立されたアウトドアシューズブランド「La Sportiva(スポルティバ)」。設立当初は木こりや農民のためのブーツや下駄を作っており、第二次世界大戦時では兵士に登山靴を提供していました。そして1950年代になって初めて「スポルティバ」の名を冠したスキーブーツを作り始め、今では登山やクライミング、スキーに到るまで山をフィールドにしたアクティビティ全般に対応するラインアップを揃えたフットウェアブランドとして、ヨーロッパや北アメリカを中心として人々に支持されています。今回は、そんな歴史あるブランドの魅力についてご紹介していきたいと思います。
コーディネートのアクセントになるデザイン性の高さ
「スポルティバ」の魅力の一つとして、そのルックスを挙げる人は少なくありません。イエローを中心としたヴィヴィッドな色を大胆に使い、そこにインパクトのある力強いフォントのロゴを大胆に走らせる……!そして見るからに大地を確実にグリップしてくれそうなボリュームのあるアウトソールは、スタイリングのアクセントとして唯一無二な存在感を演出してくれます。パフォーマンスギアとして機能性を求めるのはもちろんですが、気分を上げてくれるデザイン性も同じくらい大切ですよね。
コースに合わせて展開する名作がある
そんな「スポルティバ」のトレランシューズでは数々のプロダクトが展開されていますが、他ブランドと同様に、時代を超えてアスリートに支持されている代表作があります。あらゆる地形や距離に対応するオールラウンドモデル「UNIKA(ユニカ)」、アップダウンの激しいスカイレースに最適な「BUSHIDO(ブシドー)」、そしてクッション性に優れたロングディスタンスモデル「AKASHA(アカシャ)」等です。挑むコースに合わせたその幅広いアイテム展開も、この同ブランドが世界中で愛される理由の一つであると言えます。
自分にはどのモデルが向いている?
一口にトレランシューズと言っても、搭載されたその機能性によってそれぞれ何に強みがあるのかは違ってきます。
例えば、深めのラグでソールが薄いモデルは荒い地形を走ることに向いているかもしれないですが、ソールを薄くした分クッション性を省いているのでロングディスタンスには適さないかも知れません。逆にソールを厚めにして足への負担を軽減したモデルは、ややもすると軽量さに欠けるので、距離の短いスピードレースにはマッチしないこともあります。
では「スポルティバ」の各モデルはどんなコースに適しているのでしょうか。ここでは距離別に最適なモデルをご紹介したいと思います。
【10〜30km前後のショートディスタンス】におすすめなモデル
La Sportiva KAPTIVA(カプティバ)
軽量なので、スピード感のあるレースに最適。ブランドオリジナルパターンのラグが打たれたアウトソールは小石などが多い地面を最大限に捉えつつも、地形に合わせてソールが柔軟に変形するので安定感のある走りが可能となっています。
ITEM
La Sportiva KAPTIVA
●素材
・アッパー:ストレッチファブリック+メッシュ
・ライニング:ブレサブルメッシュ
・ソール: FriXion White+インパクトブレーキシステム
●サイズ:38~47
●カラー:ブラック×イエロー
La Sportiva VK(ヴィーケー)
片足わずか190gの「VK」は、急斜面を駆け上るバーティカル種目の為に開発された超軽量モデル。まるでソックスのようにストレッチ性のあるアッパーは、柔らかくもしっかりと足にフィットします。
ITEM
La Sportiva VK
●素材:
・アッパー:4種類のストレッチ素材を使用したSock-Like technology
・ライニング:ライクラ/マイクロファイバー
・ソール:耐磨耗性/圧縮EVA(前部分のみ)/Frixtion White
●サイズ:38~47
●カラー:ブラック×イエロー
La Sportiva HERIOS(ヘリオス)
アッパーは柔軟性と軽量さを併せ持ったEVA素材とメッシュで形成されているので、軽くて通気性も申し分無し。ただし岩や木の根から足をガードしてくれるプロテクション機能はつま先とかかとのコーティングのみなので、どちらかと言うと安定性よりもスピードを重視したい人にお薦めのモデルです。
ITEM
La Sportiva HELIOS Ⅲ
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+ ソフトEVA ラミネート
・ライニング:エアメッシュ(後足部のみ)
・ソール:FriXion AT
●サイズ:34~46
●カラー:ブラック×ポピー
ITEM
La Sportiva HELIOS Ⅲ WOMAN
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+ ソフトEVA ラミネート
・ライニング:エアメッシュ(後足部のみ)
・ソール:FriXion AT
●サイズ:34~39
●カラー:Clay/Hibiscus
【30〜70km前後のミドルディスタンス】におすすめなモデル
La Sportiva BUSHIDO Ⅱ(ブシドー2)
レーシングモデル「BUSHIDO」をアップデートしたもの。滑りやすい路面でも確実にグリップするアウトソールは、アップダウンの激しいコースに最適です。シューズ内部の土踏まずの膨らみを下げリラックス感を向上させることで実現した、疲労軽減機能も見逃せないポイント。
ITEM
La Sportiva BUSHIDO Ⅱ
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+ サーモプラスティック
・ライニング:ブレサブルメッシュ
・ソール:FriXion Red+ インパクトブレーキシステム
●サイズ:38~47
●カラー:ブラック×イエロー
ITEM
La Sportiva BUSHIDO Ⅱ WOMAN
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+ サーモプラスティック
・ライニング:ブレサブルメッシュ
・ソール:FriXion Red+ インパクトブレーキシステム
●サイズ:36~43
●カラー:クレイ×セレリー / ビート×ガーネット
La Sportiva LYCAN Ⅱ(ライカン2)
改良されたアウトソールが滑りやすい下りの斜面でその威力を発揮してくれるモデル。ライニングに搭載されたオリジナルのブレーキシステムが脚への衝撃を抑えることでレースを有利に。また形状様々なラグが不規則に打たれたアウトソールは、より多くの路面を確保することを可能しています。
ITEM
La Sportiva LYCAN Ⅱ
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+マイクロファイバー
・ライニング:高強度ブレサブルメッシュ + インパクトブレーキシステム
・ソール:FriXion Blue
●サイズ:38~47
●カラー:ブラック×イエロー
ITEM
La Sportiva LYCAN Ⅱ WOMAN
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+マイクロファイバー
・ライニング:高強度ブレサブルメッシュ + インパクトブレーキシステム
・ソール:FriXion Blue
●サイズ:36~43
●カラー:ネプチューン×パシフィックブルー
【70〜160km前後のロング・ウルトラディスタンス】におすすめなモデル
La Sportiva AKASHA(アカシャ)
衝撃吸収性に優れたアウトソールと幅広な足形の採用により、長距離走にフィットさせたモデル。アッパーには足の動きに追従する柔軟性を持ちながら形状を維持する素材を採用。インソールには悪路の衝撃から足を守るクッション性を搭載するなど、足に優しい機能を盛り込んでいます。
ITEM
La Sportiva AKASHA
●素材:
・アッパー:エアメッシュ+PU レザー+ダイナミックプロテクション
・ライニング:ノンスリップメッシュ
・ソール:FriXion Red + トレイルロッカーシステム
●サイズ:38~47
●カラー:クレイ×キウイ / オパール×チリ
ITEM
La Sportiva AKASHA WOMAN
●素材:
・アッパー:エアメッシュ+PU レザー+ダイナミックプロテクション
・ライニング:ノンスリップメッシュ
・ソール:FriXion Red + トレイルロッカーシステム
●サイズ:36~43
●カラー:カーボン×パシフィックブルー / カーボン×ビート
La Sportiva AKYRA(アキラ)
足に優しい高い保護機能性が高く、ロングディスタンスに理想的なモデル。つま先をしっかりと保護するしつつも軽量なトゥキャップを搭載。折り紙の幾何学的形状からヒントを得たオリジナルのミッドソール構造は優れたクッション性も高く、悪路でも問題なく対応してくれます。
ITEM
La Sportiva AKYRA
●素材:
・アッパー:エアメッシュ+TPU マイクロライトスケルトン+ フレックスガード
・ライニング:ノンスリップメッシュ
・ソール:FriXion XT mix + インパクトブレーキシステム
●サイズ:38~47
●カラー:オパール×ネプチューン / カーボン×トロピックブルー
ITEM
La Sportiva AKYRA WOMAN
●素材:
・アッパー:エアメッシュ+TPU マイクロライトスケルトン+ フレックスガード
・ライニング:ノンスリップメッシュ
・ソール:FriXion XT mix + インパクトブレーキシステム
●サイズ:36~43
●カラー:ブラック×アクア
La Sportiva JACKAL(ジャッカル)
同ブランド最速のロングディスタンスモデル。KAPTIVAよりやや上下にゆとりを持たせた通気性の高いアッパー、そして衝撃を吸収しながらも反発性の高いソールが前へ前へと推進力を発揮してくれます。もちろん、ぬかるみからガレた路面までしっかりと捉えるグリップ力も健在。
ITEM
La Sportiva JACKAL
●素材:
・アッパー:サンドイッチメッシュ+ナイロン+ライクラ
・ライニング:高強度マイクロファイバー
・ソール:FriXion RED + インパクトブレーキシステム
●サイズ:38~47
●カラー:ブラック×イエロー
La Sportiva ULTRA RAPTOR(ウルトラ ラプター)
厚めのソールでやや重さはあるものの、その分クッション性とプロテクション性能を重視したロングディスタンスモデル。通気性の高いエアメッシュアッパー、つま先にゆとりを持たせたラストなどはロングレースでのダメージを軽減。長距離ビギナーで、スピードよりも確実に完走を狙いたいというランナーにお薦めです。
ITEM
La Sportiva ULTRA RAPTOR
●素材:
・アッパー:ブレサブルメッシュ+ マイクロファイバー
・ライニング:メッシュ
・ソール:FriXion White
●サイズ:38~47
●カラー:パイン×キウイ / ブラック
スポルティバのトレランシューズを愛用するアスリートの声
ここでご紹介するのは、そんな「スポルティバ」を普段から愛用しているランナーたち。
自らもランニングブランド「ELDORESO(エルドレッソ)を展開し、見た目にもこだわるファッションデザイナーTARAZAN AQZAWA氏、山をこよなく愛し数々のトレランレースで入賞しつつのんびりハイクも楽しむアウトドアライター中島英摩さん、UTMFやKOUMI100など100マイルレースを得意とする河野克昭さん、ショートからロングまで幅広いレースに参戦する筆者による「スポルティバ」の魅力と、愛用するモデルを各コメントと共に紹介していきます。
TARZAN AQZAWA:愛用モデル【VK(ヴィーケー)】
提供:TARZAN AQZAWA
「僕にとって『スポルティバ』の魅力は何と言ってもその派手な見た目ですね。イエローの効かせ方も上手いし、色味もすごく良い。また街でも山でもあまり人と被らないというのも◎。アパレル人の宿命なのか、どうしてもそういうのを選んでしまいます(笑)。僕が一番好きなモデルはこのVK。バーティカル用のモデルなのですが、真ん中に大胆にロゴ入れちゃってるし形もすごくスリムなデザインがイケてて衝動買いでした。あまりにもデザインが好みなので、山よりも普段履きとして使っているかもです」
TARZAN AQZAWA
タイムマシーン(株)代表取締役であり、同社が手掛けるアースランニングブランド「ELDORESO(エルドレッソ)」のデザインを手掛ける。フルマラソンやトラックレースなどロードレースをメインに走りつつ、赤城の森トレイルランや渋川伊香保トレイルランなど、自身の出身である群馬県のトレイルレースにも積極的に参戦。
中島 英摩:愛用モデル【BUSHIDOⅡ(ブシドーⅡ)】
提供:中島 英摩
「足入れの瞬間から運命的な出会いを感じた一足。包まれるような安心感がありつつも、硬すぎずしなやかで路面を捉えやすいので、自分の足の感覚を信頼して走る(歩く)ことができます。グリップも良く屈強なので歩荷の時にもバッチリ。ガレや岩場、木の根が這うトレイルなど変化に富んだ縦走路が好きな私にとって、機動力の高さと優れたレスポンスは唯一無二です。トレランシューズではありますが、ヨーロッパの登山靴メーカーならではの良さが詰まっていると思います!」
中島 英摩
アウトドアライター。三度の飯も山も好き。テント泊縦走から雪山登山まで1年を通じて山に通う。登山やキャンプなどのアウトドアアクティビティ、トレランなどの取材、執筆をメインに、国内外の長距離レースにも出場。もっぱら長く歩くのが好き、特技は走りながら取材すること。
河野 克昭:愛用モデル【AKASHA(アカシャ)】
提供:河野 克昭
「ロングディスタンスを主戦場としているので、AKASHAは長時間での着用における快適性が気に入っています。アッパーに数種類の素材を使用し、それぞれ縫製や圧着などを変化させることで、足の部位によって最適なフィット感を実現しているのもよく考えられているなぁと。また、つま先あたりのスペースはしっかり確保されているので、下りで指先やツメが痛くなることが少ないのも魅力。前足部のクッション性が高いのもGOODです」
河野 克昭
アウトドア代理店勤務、トレイルランニング歴19年。元々アウトドアガイド時代にトレーニングの一環として始めたアドベンチャーレースがきっかけで、ランニングにどっぷりはまる。現在は山麓に住み、ライフワークとしてトレイルランニングや登山を追求。信越五岳トレイルランニングレース100マイル、ONTAKE100マイル、KOUMI100を完走するなど、主にロングディスタンスを得意とする。
鈴木 すず:愛用モデル【LYCAN(ライカン)】
提供:鈴木 すず
「LYCANは50〜70km前後のレースで使っています。ボリュームがあり一見重たそうに見えるのですが、手に持つとルックスに見合わない軽さで片方250gほどしかない。アウトソールの衝撃吸収性が非常に高く、岩場やちょっとした凹凸がある路面でもストレス無く走ることが出来るのが一番の魅了ですね。『ホカオネオネ』の名作SPEED GOATが好きな方にもきっとフィットするのではないでしょうか」
鈴木 すず
冬はフルマラソン、春夏秋はトレイルレースと一年を通してランニングレースを楽しむゆるふわランナー。スピードは無くとも怪我をしないことが強みで、2019年に走ったレースは22本。主なトレイルレース遍歴は、奥久慈トレイルレース、信越五岳トレイルレース110km、THE NORTH FACE 100 HONG KONGなど。
街履きもレースもOK。自分のフィールドで「スポルティバ」を履いてみよう
100年近い歴史を持つブランドですが、ずっと愛され続けている「スポルティバ」。ご紹介したランナーの皆さんはレースはもちろん、普段履きからハイキングまで、思い思いのスタイルに合わせて愛用されているようです。つまりレース中心のシリアスランナーでなくても、魅力的なプロダクトが揃っているということ、皆さんも是非ご自分のスタイルに合った一足を見つけてみてくださいね。
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