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短距離向けのランニングシューズには何が必要?
マラソンのイメージが強いランニングシューズですが、100〜400mの短距離種目の選手でも、ウォーミングアップやダッシュ系などの走り込みなどで、ランニングシューズを活用しています。
ところが、ほとんどのランニングシューズは長距離用に作られているので、短距離に取り組んでいるランナーは、シューズ選びに迷ってしまうことが多いのです。
まずは、短距離向けのトレーニングを快適に行うために、どのような要素が必要なのか押さえておきましょう。
足の回転数を上げるための「軽さ」
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短距離向けの練習では「最大スピード」を高めるトレーニングが多くなります。スピードを上げるためには、脚の回転(ピッチ)を上げる必要があります。
ピッチを上げて、できるだけ本番のレースと同じ感覚を養う必要があるため、シューズは軽量なモデルが適しています。
推進力を生むための「反発力」
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地面に伝える力をそのまま推進力に変えるためには、ミッドソールの反発力がポイントになります。最近のシューズの中には、スパイクのようなプレートが内蔵されているものもあり、スピードを出しやすくなっています。
ただし、プレート内蔵のシューズは筋肉にかかる負担が大きく、故障するリスクが高まるので注意しましょう。
地面をしっかり掴む「グリップ力」
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速く走るためにはアウトソールで地面をしっかりと捉える必要があります。もし地面を捉えられていないと、接地した瞬間に滑ってしまい前進する力が失われてしまいます。
短い距離を速く走るためには、アウトソールに凹凸があり、グリップ性が高いものが適しています。
フォア〜ミッドフット接地に適した「フラットソール」
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短距離走には大きく分けて2種類の走り方があります。前足部(爪先側)で着地するフォアフット走法と、足裏全体で接地し反発力をもらうミッドフット(フラット接地)走法です。
かかとから着地するヒールストライクとは異なり、どちらの走法にもフラットなソールのシューズが適しています。
適度な「クッション性」
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クッション性が低いと練習で脚にかかる負担が大きくなってしまいケガをしてしまうリスクが高まります。特にウォーミングアップなどで使うシューズであれば、故障のリスクを低くするためにもある程度のクッション性が必要です。
ただし、クッション性が高すぎると地面に伝わる力が分散されてしまうので、フルマラソンなどを走るようなクッションは必要ありません。
走り込みに使うなら「耐久性」も大切
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シューズを履いて何本もダッシュなどの走り込みを行うときは、ジョギングなどのゆっくりとしたペースでのランニングに比べ、シューズ自体に大きな負担がかかります。そのため、アッパーの生地には耐久性が求められます。
短距離のトレーニングは、長距離よりも生地に衝撃を与える頻度は低いものの、1回1回の衝撃が大きいので、薄い生地だとすぐに破れてしまう可能性が高くなります。
どう選ぶ?目的別のシューズの使い分けポイント
短距離選手がランニングシューズを使う場合、「ウォーミングアップ」と「ダッシュ系トレーニング」で用途が分かれます。この2つの練習は特性が異なるので、それぞれの目的に合わせたシューズを選ぶ必要があります。
アップシューズとして使うなら「クッション性」を重視
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短距離のトレーニングを行う前の準備(ウォーミングアップ)や練習後のクーリングダウンなどでは、軽くてソールが薄いシューズだと無駄に疲れてしまいます。アップやクールダウン用として使うならクッション性を重視しましょう。
軽いダッシュなどもしやすいように、ソールが少し硬めで、ほど良く軽量なシューズを選ぶと使い勝手が良いですね。
ダッシュ系の練習に使うなら「軽さ・反発性」を重視
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ダッシュ系の練習は、足の感覚が重要になります。なるべくスパイクに感覚が近いシューズが求められるため、シューズの軽さと推進力を生むための反発力が必要です。
短距離のようなスピードを出すためには、ミッドソールが薄く硬いものが適しています。
トラックレースでは要注意!もう厚底は履けない?
2020年の12月からトラックレースで使用できるシューズのルールが変わりました。短距離選手の場合、トラックレースでシューズを履くことはほとんどありませんが、短距離のシューズ(スパイク)も規制の対象になっているので、内容を把握しておきましょう。
種目別に使用可能な「ソールの厚み」が変更
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2020年7月に主にトラック種目のシューズについて規制されました。適用は2020年12月以降ですが、一部のレースでは既に適用されており使用できなくなっています。規制内容は主に「ソールの厚さ」で、詳細は以下の通りです。
種目 |
ソールの最大の厚さ |
800m未満のトラック種目 |
20mm |
800m以上のトラック種目 |
25mm |
三段跳び |
25mm |
三段跳びを除くフィールド種目 |
20mm |
クロスカントリー |
25mm |
ロード種目 |
40mm |
マウンテン・トレイル |
規定なし |
このルールで大きな影響を受けるのは、トラックの中・長距離種目です。800m以上のトラックレースの場合、厚さ25mm以内のシューズしか履けません。つまり、ヴェイパーフライなどの厚底シューズは、トラックレースでは使えなくなります。
800m未満の短距離の場合でも、ソールの厚さが20mmまでになるので、今まで履いていたシューズが使えなくなる可能性は十分にあります。
短距離にも使える薄底のシューズに注目!
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今回の規制により、これまで使用していた厚底モデルが使えなくなったことで、短距離に適した薄底モデルへの注目が高まっています。短距離のトレーニングで使えるシューズは、軽くてスピードを出しやすいモデルが多いです。そのため、中距離のトラックレースにもスパイクの代わりとして使えるものが豊富に揃っています。
厚底が規制されてトラックレースで使えない、もしくはスパイクでは筋肉の疲労・ダメージが大きいと感じている場合は、短距離にも対応した薄底のシューズを履くのがおすすめです。
次の項目からは、用途に合わせたおすすめシューズを紹介していきます。
【スピードトレーニング向け】おすすめモデル6選
ダッシュ系の走り込みやスパイクを履かずに行うトレーニング時には、軽量でスピードを出しやすいシューズが適しています。ここからは、スピードトレーニングで使いたいモデルを紹介します。
スパイクに近い感覚で走れる「MIZUNO(ミズノ)/ WAVE DUEL GTZ 2(ウエーブデュエル GTZ 2)」
ミッドソールにスパイクのようなプレートが内蔵されており、アウトソール全面にグリップが配置されています。
プレートによる反発力と地面をしっかい捉えるグリップ性から、シューズの中ではかなりスパイクに近い感覚で走れます。
ITEM
ミズノ WAVE DUEL GTZ2【ユニセックス】
●重量:約165g(26.0cm片方)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/合成底
●サイズ:22.0~29.0cm
●カラー:1色
短距離レースでも履く選手が!?「NIKE(ナイキ)/ AIR ZOOM STREAK LT4(エアズームストリークLT4)」
「エアズームストリークLT4」は、長距離用シューズの中でも、比較的短い距離向けに開発されたシューズです。アウトソールはスパイクシューズのようにラウンドしており、フォアフットで走りやすい設計になっています。
このシューズをカスタムしたスパイクを使用した短距離選手が、ダイヤモンドリーグ(世界最高峰の陸上競技大会)の100m種目で優勝したこともあり、軽量性や走りやすさは非常に高いと言えるでしょう。
ITEM
ナイキ AIR ZOOM STREAK LT4【ユニセックス】
●重量:-
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:23.0~30.0cm
●カラー:1色
桐生選手のトレーニングシューズ「ASICS(アシックス)/ SORTIE JAPAN(ソーティジャパン)」
「ソーティジャパン」は、桐生選手がトレーニングで愛用しているマラソンシューズです。高橋尚子さんが現役時に愛用していたシューズということでも有名です。
ソールが薄くクッション性がかなり低いので、短距離選手として使用するのは少し上級者向けです。フラット接地で地面を叩き、地面に効率良く力を伝える感覚を養いたい方に向いています。
ITEM
アシックス SORTIE JAPAN【ユニセックス】
●重量:-
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/合成底、ゴム底
●サイズ:23.0~29.0cm
●カラー:2色
フラット&クッション性があるモデル「NIKE(ナイキ)/ ZOOM STREAK 7(ズームストリーク 7)」
「ズームストリーク 7」は、ソーティジャパンと同様に、アウトソールが平らになっているシューズです。ソーティジャパンよりもクッション性が高いので、怪我を予防したい方やまだ脚の筋力がついていない方に向いています。
軽くてスピードも出しやすいですが、長距離用シューズとしてのクッション性もあるので、走り込みにも使えます。
ITEM
ナイキ ZOOM STREAK 7【ユニセックス】
●重量:約183g(26.0cm片足)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:23.0~30.0cm
●カラー:2色
スパイクに近い感覚で走りたいなら「ASICS(アシックス)/ WINDSPRINT 2(ウインドスプリント2)』
「ウィンドスプリント」は、スパイクを履かないトレーニング期にも、スパイクに近い感覚で走りたいスプリンター向けに作られたトレーニングシューズです。
アウトソールはフラットで、ミッドソールは薄くて硬く設計されています。アッパーはマラソンシューズよりも頑丈に作られているので、耐久性も高く、普段のトレーニングから走り込みにも適しています。
ITEM
アシックス WINDSPRINT 2【ユニセックス】
●重量:-
●素材:甲材/合成繊維、合成樹脂、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:20.0~30.0cm
●カラー:1色
▼「ウィンドスプリント」について詳しく解説した記事はこちら!
動きづくりからダッシュ系トレーニングまで適した「MIZUNO(ミズノ)/ BUILT TRAINER 2(ビルトトレーナー2)」
「ビルトトレーナー」は、ダッシュからジャンプ、ウエイトトレーニングなど幅広い用途で活躍するします。耐久性が高くガッチリした見た目ですが、軽量で走りやすいです。
ウィンドスプリントよりもミッドソールは厚いので、体の負担を抑えられ、長時間のトレーニングにも耐えられます。
ITEM
ミズノ BUILT TRAINER 2【ユニセックス】
●重量:約250g(26.0cm片方)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:23.0~29.0cm
●カラー:1色
【ウォーミングアップ向け】おすすめモデル4選
短距離選手でも、アップから薄底のシューズを履くと疲れてしまうので、練習内容によってシューズを使い分けることをおすすめします。しかし、クッション性があり過ぎて重いシューズはスピードを出しにくく、感覚が狂ってしまうことも。
そこで、短距離選手のウォーミングアップに適した、クッション性と軽さを兼ね備えたモデルを紹介します。
クッション性を重視して脚の負担を減らしたいなら「NIKE(ナイキ)/ AIR ZOOM PEGASUS 37(エアズームペガサス 37)
「エアズームペガサス 37」は、クッション性が高く、アップシューズとして最適です。ソールは分厚いですが適度に軽いので、流し(ウィンドスプリント)や冬期練習などの走り込みにも適しています。
ナイキのスパイクを履いているトップ選手もアップシューズとして使っている人気作です。
ITEM
ナイキ AIR ZOOM PEGASUS 37【メンズ】
●重量:約285g(28.0cm片方)
●素材:甲材/合成繊維 底材/ゴム底
●サイズ:24.0~33.0cm
●カラー:4色
ITEM
ナイキ AIR ZOOM PEGASUS 37【レディース】
●重量:約238g(25.0cm片方)
●素材:甲材/合成繊維 底材/ゴム底
●サイズ:22.5~29.0cm
●カラー:3色
▼最新モデルが登場!「ペガサス 38」のレビュー記事はこちら!
反発力があって軽やかに走れる「MIZUNO(ミズノ)/ WAVE RIDER 23(ウエーブライダー 23)」
「ウエーブライダー 23」は、クッション性・反発力が高くアップシューズとして使いやすいです。非常に軽量なので、軽めのダッシュ系のトレーニングを行うこともできます。
ITEM
ミズノ WAVE RIDER 23【ユニセックス】
●重量:約290g(27.0cm片方)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/合成底
●サイズ:22.5~30.0cm
●カラー:6色
▼「ウエーブライダー」について詳しく解説した記事はこちら!
アップから走り込みまで幅広く対応「ASICS(アシックス)/ TARTHEREDGE 2(ターサーエッジ 2)」
「ターサーエッジ 2」は、ほど良いソールの厚みを持ち、軽くて走りやすいシューズです。アウトソールにはグリップが多く配置されているので、ロード・タータン・土のいずれの場所でもしっかり地面を捉えて前進できます。
ITEM
アシックス TARTHEREDGE 2【メンズ】
●重量:-
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:24.5~30.5cm
●カラー:2色
ITEM
アシックス TARTHEREDGE 2【レディース】
●重量:-
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:22.5~28.5cm
●カラー:2色
▼「ターサーエッジ」について詳しく解説した記事はこちら!
薄過ぎず厚過ぎない!「adidas(アディダス)/ adizero Japan 5(アディゼロジャパン 5)」
「アディゼロジャパン 5」は、クッション性と反発性に優れた適度な厚みのミッドソールを備えているので、アップから走り込みの練習まで幅広く活躍します。最新モデルは足に馴染みやすく、フィット感が高い設計になっているので足さばきも良くなっています。
ITEM
アディダス adizero Japan 5【メンズ】
●重量:224 g(27cm 片足)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:22.0~31.0cm
●カラー:3色
ITEM
アディダスadizero Japan 5【レディース】
●重量:224 g(27cm 片足)
●素材:甲材/合成繊維、人工皮革 底材/ゴム底
●サイズ:22.0~28.5cm
●カラー:2色
▼「アディゼロ ジャパン」について詳しく解説した記事はこちら!
素早く動けるシューズでスピードを養おう!
出典:PIXTA
短距離種目でダッシュなどの最大スピードを高めるには、全身の精密な動きや感覚が求められます。一つ一つの動作を丁寧に行うためにも、短距離の動きに適したシューズでトレーニングすることが大切です。素早く動けるシューズを選んでスピードを養いましょう。
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