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気になる「新アップルウォッチ」はランニングにも使える?
新型が登場して話題のアップルウォッチ、これまでガーミンを愛用してきた方の中にもランニングにも使えるのでは?と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アップルウォッチにお手頃価格のモデルが登場
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2015年5月に初代アップルウォッチが登場した時、大きな話題になったものの実際に購入された方はさほど多くなかったようです。全く新しいデバイスのためどう使えばよいのかがわからなかったことに加え、まだまだ機能は限定的で、バッテリーのもちもわるく、そして決定的に高価でした。初代でもっともリーズナブルなスポーツバンドモデルでも6万6800円もしていたのです。
そこから5年、アップルウォッチはその間も進化を続け、この9月には普及価格のモデルとしてSEが登場しました。このSEで話題はなんといってもその3万2780円(税込)という価格です。もちろん機能面も充実しており、ハイエンドモデルの6(4万2800円)から機能を省略したり従来モデルのパーツを共用化することでリーズナブルな価格を実現しています。
ランニング機能も充実
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アップルウォッチにはワークアウトメニューの中に「ランニング」も用意されています。アップルウォッチはランニング専用ではないからランニング計測機能もスマホのアプリぐらいの性能しかないのでは?と思っていると良い意味で裏切られます。
実際の画面で見てわかるとおり、距離、時間、平均ペースや心拍数はもちろんローリングペース(直近1kmのラップタイム)や高度(獲得標高)まで計測して表示可能です。しかも操作は簡単で操作は画面をタップするだけで済みます。
ワークアウトメニューにはランニングだけでなくサイクリングやダンス、ヨガまでとあらゆるフィットネスに対応しているので体を動かすのが楽しくなりそうです。
日常生活のあらゆる活動を記録
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アップルウオッチには「ムーブリング」という機能があります。これはあらかじめ1日の目標消費カロリーを設定すれば、ランニングだけでなく階段の上り下りから家事や子供と遊ぶことまで全ての消費カロリーを記録して教えてくれるというものです。ランナーの方は走っている時にどれぐらいカロリーを消費するのかは知っていると思いますが、その他のアクティビティでの消費量を理解している方は少ないでしょう。
あらためて一日の活動をチェックすることは健康管理の面でも大事ですが、それを楽しみながら行えるのはいいですね。
同価格帯のガーミンと比較すると?
ランニングウォッチの定番ともいえるガーミン、優れたGPS機能で多くのランナーから支持されています。実際に両方を現在使用している視点で両者を比較してみます。
ガーミンではForeAthlete 235Jがライバル
ガーミンにはさまざまなランニングウォッチがラインナップされていますが、アップルウオッチSEと同価格になるとエントリーモデルの「ForeAthlete 235J」が3万2780円(税込)とちょうど同価格になります。
ITEM
GARMIN ForeAthlete235J
本体サイズ: W 45 x H 45 x D 11.7mm
ディスプレイ: 直径 1.23インチ(31.1mm)
重量: 約42g
稼働時間:- トレーニングモード(GPS):約11時間- トレーニングモード(GPS+GLONASS):約9時間- 時計モード:約9週間- 時計モード+ライフログ+通知機能+光学式心拍計:約9日間
防水性能: 50m完全防水
エントリーモデルといっても機能は充実しており、ランニングに関する機能だけではなくスマートフォンとの連携によるオーディオコントロールやメッセージの通知機能など、スマートウォッチ的な使い方も可能です。初めてランニングウォッチを買うなら、と聞かれたらこの235Jをすすめる方が多いのもうなずけます。
なお、今回の比較写真では著者所有のガーミン230Jを使用しています。235Jとは機能について一部差異はありますがボディや表示についてはほぼ同じですのでその点はご了承ください。
パッケージから取り出したらすぐに使えるアップルウォッチ
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アップルウォッチはパッケージから取り出したら、そばにiPhoneがあればすぐにペアリングを開始して初期設定を完了すれば使えます。説明書は小さな細長い紙1枚だけ、基本的にはiPhoneを普段使っていれば直感的に使い始められます。
一方ガーミンはスマホにアプリをインストールする必要がありますし、初期設定はやや面倒です。使うにはボリュームのあるマニュアルを読みこなしてロジックを理解してからボタン操作しなければならないので購入したのはいいけれど、今ひとつ使いこなせない、という方も多いのではないでしょうか。
操作性がわかりやすいという点では、アップルウォッチに軍配が上がります。
装着感は?
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ガーミンForeAthlete 235Jの重量は約42g、一方、アップルウオッチSEは30.49g(40mmサイズ)と36.2g(44mmサイズ)とアップルウォッチの方が軽量です。しかし不思議なことに実際に装着するとガーミンの方が軽く感じられます。
これは時計の背面の形状によるものでガーミンがフラットで腕にぴったりフィットするのに対し、アップルウォッチの方はセンサー部が丸く少し出っ張っていて、手首の上にちょこんと乗っかっているような状態になっているためです。装着していればだんだんと気にならなくなるレベルですが、フィット感という意味ではガーミンの方が上です。
画面の美しさはアップルウォッチの圧勝
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画面の美しさはretinaディスプレイを採用するアップルウォッチの圧勝です。ガーミンはバックライトを使わないと画面が暗く、色やレイアウトも単調です。両者ともラインやメッセージをスマホと連携して画面に表示することが可能ですが、アップルウォッチは画面が小さいことを除けばiPhoneで表示するのと遜色ないレベルです。私はアップルウォッチを購入してからスマホの画面を見る機会が減りました。
また細かい点ですが、ガーミンは通知音とバイブレーションがやや耳障りです。仕事で打ち合わせなどをしている時に通知音が鳴って、まわりから「何事?」という目で見られることもたびたびでした。
アップルウォッチは優しい音でさりげなく通知してバイブレーションも控えめです。こういったところまで配慮が行き届いているのはさすがだと思います。
アップルウォッチはミュージックプレーヤーとしても使用できる
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アップルウォッチはストリーミングのApple Musicと連携していて単体で音楽を聞くことができるのでジョギングの時にわざわざスマホを持っていく必要はありません。ガーミンの235Jにはミュージックプレイヤー機能はないので、単体で音楽を聞くためには一クラス上の「245 Music(3万9800円)」を選ぶ必要があります。
ITEM
GARMIN ForeAthlete245 Music
本体サイズ: W2.3 x H42.3 x D12.2 mm
ディスプレイ: 1.2インチ(30.4 mm)
重量: 約36g
稼働時間:-稼働時間:スマートウォッチモード:最大7日間GPS+音楽モード:最大6時間GPS+音楽なし:最大22時間
防水性能: 50mATM
またアップルウォッチでiPhoneのアプリをコントロールすることも可能なので、Spotifyを聞きながら走っている途中でradikoに切り替えてJ-WAVEを聞く、といったことも簡単に行なえます。
1999年に初代iBook(現在のMac Book)が登場した時のコピーは”iMac to go”でした。それにならえばアップルウォッチは、”iPhone with you”といったところでしょうか。
アップルウォッチではSuica、Pasmoが使える
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アップルウォッチでは従来のSuicaに加えて2020年10月からPasmoも使えるようになりました。電車に乗った時に改札でいちいちカードやスマホを出さなくても良いのはやはり便利です。ガーミンはSuicaのみに対応したモデルもありますが、現在のラインナップでは6S(9万円)からと上位機種しか選べないのがネックです。
アップルウォッチのネックは稼働時間
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アップルウォッチで最大のネックが稼働時間です。以前よりは改善されて長くなったとはいえ稼働時間は18時間(ワークアウト機能などを使用しないともう少し持つようですが)なので基本的には毎日充電する必要があります。屋外でGPSと4G LTEを使用したワークアウトでは最大6時間です。レースの前後で通常使用することも考えれば大会で使うのはちょっと厳しそうです。
この点ガーミンはトレーニングモードで約11時間、通常モードでは9日間も充電不要となっているのでさほど頻繁に充電する必要はありません。私自身の経験でいえば1週間に2〜3回、10km〜15kmを走る程度であれば4日間おきに充電すれば十分でした。
この他の機能も含めて比較表にまとめてみましたので参考にしてみてください。
|
単独使用 |
アプリとの連携 |
ライフログ機能 |
交通系IC |
通常稼働時間 |
アップルウォッチSE |
×(iPhoneとの連携が必須) |
○ |
○ |
Suica、Pasmo |
18時間 |
ガーミン235J |
○ |
△(一部のみ) |
○ |
× |
9日間 |
(参考:アップルウォッチSEとガーミン235Jの比較)
ガーミンとアップルウォッチ、それぞれどんな人に向いている?
ガーミンとアップルウォッチは共通点もありますがそれぞれに強みと弱みがあります。あなたにぴったりなのはどちらでしょうか?
アップルウォッチをおすすめしたい人
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まず、アップルウォッチはAndroidでは使えないのでiPhoneユーザーであることが絶対条件になります。ランニングにも使うけれど、普段の生活を便利にしたい、という方であればアップルウォッチを選ぶべきでしょう。
特に街ランをよくやられている方にはスマホなしで音楽も聞けて、なにかあればSuicaやPasmoで買い物ができたり公共交通機関が利用できるのはポイントが高いです。
また万一、走っていて転倒した場合には内蔵されたジャイロスコープと加速度センサーで転倒を検知し、もしあなたからの反応がなければ緊急通報サービスに電話をかける機能(※)まであります。お世話にはなりたくない機能ですが万一のときにも安心ですね。
※セルラーモデル以外はiPhoneが近くにあることが前提
ガーミンが向いているのはこんな人
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ガーミン235Jの強みは最大酸素摂取量(VO2max)を計測することができる点です。最大酸素摂取量とは人が体内(体重1kgあたり)に取り込むことのできる酸素の1分間あたりの最大量のことです。
運動能力(全身持久力)の指標で、車に例えれば排気量のようなものと考えればわかりやすいでしょうか。
▼「VO2Max」について詳しく知りたい方はこちら!
この他にもランニングに特化したトレーニングメニューも豊富ですし、それまでのトレーニング履歴から、トレーニング終了後の回復時間までアドバイスしてくれる機能もあります。よって、本格的にランニングやマラソンをするシリアスなランナーにおすすめです。
またガーミンが運営するオンラインの「ガーミンコネクト」にアップロードすれば、データの分析や管理を行ってくれます。日々トレーニングに励むランナーにはモチベーションアップのためにもありがたいでしょう。
もちろんウルトラマラソンやハードなトレイルランニングをする方には稼働時間の長いガーミンの方がおすすめです。
アップルウォッチで新しいランニングライフが幕を開ける
個人的な話になりますが、アップルウォッチを購入してからガーミンをつける機会はかなり減ってしまいました。
アップルウォッチをしていればいちいちスマホを取り出さずにメッセージやラインが確認できますし、交通系ICカードでちょっとした買い物もできるなど本当に便利です。そして、なにより使い心地がいい!
最初は走る時にはわざわざガーミンに付け替えたりしていたのですが、さすがに腕につけるのと別にもう一つ時計を持ち歩くのも無駄ですし、アップルウォッチでも十分ランニングに使えることがわかってからはやめてしまいました。
もちろん、トレーニングやレース、特にトレイルやウルトラマラソンでの使用に特化して言えば、まだまだガーミンの方に優位性はありまし、私もトラックを走るようなトレーニングであれば迷うことなくガーミンを選びます。
シリアスにタイムを狙いたい方や練習で追い込んでいきたいという方であればガーミンを選ぶべきでしょう。
一方、楽しく走りたい、日々のエクササイズを記録したい、そしてなにか新しいことを始めたい、という方にはアップルウォッチが断然おすすめです!
ぜひ、自分のライフスタイルに合ったものを選択してみてください。
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