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見た目だけじゃない!ラットプルダウンで得られる効果とは?
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ラットプルダウンは背中を鍛える筋トレ種目で、ジムで行うマシントレーニングの定番です。自分の体重を支える筋力が必要な懸垂と違い、ラットプルダウンは負荷を調整できるのが特徴です。軽い重量から始められるので、筋力に自信がない筋トレ初心者の方でも十分に鍛えることができます。
まずはラットプルダウンを行うことによって得られる効果について解説します。
猫背改善
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ラットプルダウンで背中の筋肉を発達させることにより、姿勢を矯正する筋肉のコルセットが形成されます。猫背姿勢は背中の筋肉を常に引き伸ばした状態です。収縮がないため放置していると筋力が低下し、日に日に猫背を悪化させます。
一日中デスクワークで座りっぱなしの方、腰痛や肩こりにお悩みの方は、ぜひ背中を鍛えましょう!
呼吸が深くなり集中力、睡眠の質が向上
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猫背姿勢の場合、肺は押しつぶされたように圧迫されているので、呼吸が浅くなっている方が多いです。背中の筋力強化により背筋が伸びて肺が膨らみやすくなれば、取り込める酸素量が増えます。その結果、脳が活性化されて集中力や記憶力の機能を改善する効果が期待できます。
また、寝るときの姿勢も矯正されれば、鼻〜肺までの気道が確保されるので睡眠の質も改善されます。イマイチ疲れが取れない、いびきが気になるという方には、改善の余地が大いにあるでしょう。
鍛えられる部位はどこ?トレーニング中にもしっかり意識しよう
筋トレには「意識性の原則」というものがあります。意識性の原則とは、筋トレ種目の目的を理解し、鍛える部位を意識することで効果が高まるというものです。「ラットプルダウンってどこの筋肉を鍛えているんだろう?」「背中と言っても具体的にどの部位を意識すればいいの?」そんな疑問にお答えすべく、鍛えられる筋肉をご紹介します。
広背筋
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広背筋(こうはいきん)は、人間のカラダの中で最大の面積を誇る筋肉です。二の腕〜背骨、骨盤にかけて付着しており、背中全体を覆っています。
【主な機能】
- 手のひらを外から内側に向ける→[具体例]腕時計で時間を見る、工具のドライバーを回す
- 肘を後ろに引く→[具体例]ドアを引く、モノを持ち上げる、吊り革に捕まる
面積が大きい分、鍛えることで代謝アップ効果も期待できます!
大円筋
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大円筋(だいえんきん)は肩甲骨の下部〜腕の付け根に付着している小さな筋肉です。広背筋の機能を補助する役割を担っています。
猫背に悩む方は、大円筋の筋力低下により腕の付け根がダルい、凝り固まっている感覚をお持ちの方も多いです。ラットプルダウンを行って、辛い症状を解消させましょう。
上腕二頭筋
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力こぶの代名詞である上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)は、肩の前方〜前腕にかけて付着しており、主に肘の曲げ伸ばしをする際に働く筋肉です。ラットプルダウンでは広背筋の補助としてバーを引っ張るときに働きます。
まずは基本を押さえよう!ラットプルダウンのやり方
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筋トレは量より質です。フォーム1つで効果も大きく変わるので、正しいやり方を理解することが何よりも重要となります。ラットプルダウンにはいくつかのバリエーションがあるので、応用編は後半で説明しますが、まずは基本手順を覚えておきましょう。
ラットプルダウンの基本手順
- マシンの前に立ち、重りをセットする
- 両手を肩幅より拳2〜3つ分、外側に開いてバーを握る
- バーを握ったままシートに座り、パットを膝に当てて脚を固定する
- 首を長くするように肩を下げて、胸を張る
- 目線を斜め上に向ける(滑車部分)(※ここまでがスタートポジションです)
- 鎖骨に向かってバーを引く
- バーを引いてきたときと同じ軌道で5の位置まで戻す
目的別!トレーニングメニュー(回数・セット数・休憩)を解説
自分にとって「ちょうどいい重さがわからない」という方も多いのではないでしょうか。トレーニングメニューの強度設定は筋トレ効果を左右するほど重要です。ここからは目的別に適切なトレーニングメニューについてご紹介します。
背中を引き締めたい方
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脇の下や肩甲骨の内側をスッキリさせたい方、クビレを強調したボディラインを作りたい方におすすめのメニューです。
【メニュー】
- 重量:男性 20〜40kg / 女性 15〜20kg(体重の1/2以下)
- 回数:15〜20回(1セット目で25〜30回行える重さ)
- セット数:3〜5セット
- セット間の休憩:60秒
広背筋の収縮を常に意識することが成功のカギです。トレーニング中に背中を脱力させないことで、回数を重ねるごとに筋肉への刺激が強まります。
背中を広く、厚くしたい方
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逆三角形のボディラインを作りたい、広く厚みのある背中を手に入れたい方におすすめのメニューです。
【メニュー】
- 重量:男性 30〜50kg / 女性 20〜30kg(体重の1/2以上)
- 回数:8〜12回(1セット目で15回行える重さ)
- セット数:3セット
- セット間の休憩:60~90秒
慣れてきた方におすすめ!ラットプルダウンのバリエーション種目
グリップ(握り方)の違い、バーの引く方向の違いにより効果も変わるので、様々な刺激を与えて背中を強化しましょう。
バック・ラットプルダウン
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【効果・特徴】
バック・ラットプルダウンは、広背筋だけでなく肩甲骨の内側に付着している僧帽筋(そうぼうきん)と腕の付け根の三角筋(さんかくきん)後部を鍛えることができます。二の腕周り、肩甲骨の内側を引き締めたい方におすすめの筋トレです。
【やり方】
- マシンの前に立ち、重りをセットする
- 両手を肩幅より拳2〜3つ分、外側に開いてバーを握る
- バーを握ったままシートに座り、パットを膝に当てて脚を固定する
- 背筋を伸ばして、上半身を拳1つ分、前に倒す
- 目線はやや斜め下に向ける(重りのプレート部分)(※ここまでがスタートポジションです)
- 後頭部に向かってバーを引く
- バーを引いてきたときと同じ軌道で5の位置まで戻す
【メニュー】
- 重量:男性 30〜50kg / 女性 20〜30kg(体重の1/2以上)
- 回数:8〜12回
- セット数:3セット
- セット間の休憩:60~90秒
【注意点とコツ】
- 髪の毛がバーに引っかかりやすいので、髪が首の長さ以上ある方はヘアゴムで結って行う
- 肩がすくまないように、首を長く肩甲骨を下げる
- バーを引くときに肩甲骨を内側によせる
- バーを首まで下げると肩がすくみやすいので、後頭部まで引ければOK
ワイドグリップ・ラットプルダウン
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【効果・特徴】
ワイドグリップ・ラットプルダウンは、通常の手幅の1.5〜2倍の広さで行う筋トレです。手幅が広くなる分、上腕二頭筋の関与が減るので扱える重量は下がりますが、広背筋単体に刺激が入りやすいという特徴があります。
【やり方】
- マシンの前に立ち、重りをセットする
- 両手を肩幅より拳2〜3つ分、外側に開いてバーを握る
- バーを握ったままシートに座り、パットを膝に当てて脚を固定する
- 首を長くするように肩を下げて、胸を張る
- 目線を斜め上に向ける(滑車部分)(※ここまでがスタートポジションです)
- 鎖骨に向かってバーを引く
- バーを引いてきたときと同じ軌道で5の位置まで戻す
【メニュー】
- 重量:男性 30〜50kg / 女性 20〜30kg(体重の1/2以上)
- 回数:8〜12回
- セット数:3セット
- セット間の休憩:60~90秒
【注意点とコツ】
- フォームを最優先して行うことが重要なので、軽い重さから始める
- 小指の握りを強くすると、広背筋の外側に効きやすくなる
- 手幅が広い分、握りが浅くなりやすい
リバースグリップ・ラットプルダウン
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【効果・特徴】
リバースグリップ・ラットプルダウンは、手の甲が正面を向いた逆手でバーを握るため、力こぶの代名詞である上腕二頭筋の関与が大きく、重量が扱いやすい筋トレです。
また、リバースグリップにより広背筋がストレッチされるため、通常のラットプルダウンよりも刺激が入りやすいという特徴もあります。通常のラットプルダウンと組み合わせて、もっと背中を追い込みたい方におすすめです。
【やり方】
- マシンの前に立ち、重りをセットする
- 両手を肩幅に開き、手のひらを顔側に向けて(逆手にして)バーを握る
- バーを握ったままシートに座り、パットを膝に当てて脚を固定する
- 首を長くするように肩を下げて、胸を張る
- 目線を斜め上に向ける(滑車部分)※ここまでがスタートポジションです
- みぞおち付近に向かってバーを引く
- バーを引いてきたときと同じ軌道で5の位置まで戻す
- 重量:男性 30〜50kg / 女性 20〜30kg(体重の1/2以上)
- 回数:8〜12回
- セット数:3セット
- セット間の休憩:60~90秒
【注意点とコツ】
- 肩がすくまないように、首を長くするように肩甲骨を下げる
- バーをひくときに肩甲骨を内側によせる
- 腰が反りすぎないようお腹にも力を入れる
効果を実感できない方必見!「間違ったフォーム」になっていないかチェック
「背中に効いてる感じがしない」「腕が疲れる」という方にありがちな間違ったフォームをご紹介します。自身が普段行っているフォームを振り返ってみましょう。
肩がすくんでいる
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広背筋の機能の1つに「肩甲骨の下制」があります。肩甲骨の下制とは、なで肩にするように肩甲骨を下げることです。肩がすくむことで広背筋が働かず、腕にのみ負荷が集中しやすいので、腕が疲れやすい方は1度フォームを見直してみましょう。
背中が丸まっている / 下を向いている
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背中が丸まっていたり、アゴを引いて真下を向いたりすると、広背筋が引き伸ばされて収縮できません。このフォームのままラットプルダウンを行うと、猫背だけでなく、肩が前に出た巻き肩を助長するため危険です。思い当たる節がある方は、ジムスタッフやパーソナルトレーナーの方にフォームを確認してもらうことをおすすめします。
握りが浅い
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バーを指先〜第2関節だけで握っていると力が入らないため、背中に効かせることができません。背中に効かせるためにも、手のひら全体でバーを握るようにしましょう。
扱う重さを下げても握りが浅くなってしまう場合は、握力に問題があるので、筋トレ用のグローブやストラップを使うと良いでしょう。以下、おすすめアイテムを3つ紹介します。
【グローブタイプ】GOLD’S GYM(ゴールドジム) アルティマグローブ
筋トレは扱える重量が増えるにつれて、手にタコもできやすいです。指先まで(第一関節まで)覆われたトレーニンググローブは滑りにくく、手荒れを予防してくれます。手首も固定してくれるので安全性も高く、ベンチプレスやアームカール、ダンベルを使った筋トレでも使えるので利便性の高いアイテムです。
ITEM
GOLD'S GYM(ゴールドジム) アルティマグローブ【メンズ】
●素材:人工革アマーラ
●サイズ:M, L, XL
●カラー:ブラック✕グレー✕イエロー
【パワーグリップタイプ】GOLD’S GYM(ゴールドジム) パワーグリップ
パワーグリップは手首に巻いて、ラバー部分を手とバーの間に引っ掛けるだけで良いので、筋トレ用のストラップの中で着脱が1番簡単なアイテムです。グリップ力はトレーニンググローブ以上にあり、握力の負担を軽減してくれます。背中の筋トレ種目であるデッドリフトや懸垂など、重りを引っ張るトレーニング種目に使いやすいです。
ITEM
GOLD'S GYM(ゴールドジム) パワーグリップ プロ【ユニセックス】
●素材:ラバー
●サイズ:S, M, L ※男女兼用
●カラー:ブラック✕イエロー
【ストラップタイプ】Schiek(シーク) リフティングストラップ
筋トレ用のストラップはバーに巻きつけて使用するので、グリップ力はダントツNo.1のアイテムです。握力が弱い方の強い味方にもなってくれますし、回数をこなしたいけど握力が持たないほどの高重量を扱うときに最も効果を発揮してくれます。値段もリーズナブルでコンパクトなので持ち運びもしやすいです。
ITEM
Schiek(シーク) リフティングストラップ【ユニセックス】
●素材:アクリル繊維
●サイズ:縦 約3.7cm✕横 約52cm
●カラー:ブラック
■タイプ別比較表
|
グローブタイプ |
パワーグリップタイプ |
ストラップタイプ |
グリップ力 |
△ |
◯ |
◎ |
着脱の簡単さ |
△ |
◎ |
△ |
コスパ |
△ |
◯ |
◎ |
汎用性 |
◎ |
◯ |
◯ |
総評 |
・筋トレのほぼ全種目に対応
・指先まで覆われ、床に手をつく筋トレにも対応
・筋トレで手荒れをしたくない方にもおすすめ
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・セットが簡単
・握力の負担を大幅に軽減
・パワーグリップに頼りすぎてバーの握りが浅いと誤って滑るので注意
|
・コスパとグリップ力ならダントツNo.1
・セットするときはバーに巻き付ける手間あり(慣れてしまえば簡単)
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自宅でも行えるラットプルダウン!おすすめ器具と使い方を紹介
「ジムに行く時間がない」「雨で外出したくないけど、筋トレしたい!」そんな方のために自宅でラットプルダウンと同じ効果が期待できるアイテムをご紹介します。
ファイティングロード / ラットマシーン
ITEM
ファイティングロード ラットマシーン
●本体サイズ: 横107×奥行166×高さ216(cm)
●シートサイズ: 縦30×横20(cm)
●床面~シート: 高さ50.5~61(cm)[5段階調整]
●床面~フットストッパー: 高さ55~66(cm)[7段階調整]
●バーサイズ: 横幅107(cm)
●重量: 146kg / ウエイトスタック方式(付属ウエイト5kg×20枚)
●耐荷重: 200kg(シート部分)
ジムにあるラットプルマシンの自宅用器具です。仕組みも全く同じなので、同じやり方で背中を鍛えることができます。他にも床に座って行うシーテッドロウという背中の筋トレも行えるので、自宅でも取り組みやすいです。自宅にスペースがある方、自宅ジムを作りたい方には非常におすすめのアイテムです。
【注意点】
完成した形で送られる訳ではなく、ご自身で組み立てる商品です。設営時に重りの転落やパーツの紛失が起こらないよう安全に注意して組み立てましょう。また、付属の工具は最低限の強度なので、市販の工具を使われる事を推奨します。
STEADY / トレーニングチューブ
ITEM
STEADY トレーニングチューブ
●素材:天然ゴムラテックス
●強度:4.5kg, 9.1kg, 13.7kg, 18.1kg, 22.7kg
●付属品:チューブ5本、ドアアンカー、グリップ、アンクルストラップ、収納袋
トレーニングチューブは強度の異なる5本のチューブとドアアンカー、握りやすいストラップが付属されているアイテムです。床に座る形にはなりますが、自宅でもラットプルダウンと同じ軌道の動きができます。チューブトレーニングはやり方次第で全身を鍛えることができますし、価格もお手頃なのでコストパフォーマンスも高いです。
【やり方】
- チューブをドアアンカーにセットする
- ドアアンカーを扉の上部にセットする
- チューブのグリップを握り、ドアの前に座る
- 肩幅ほどに開いた状態で腕を天井に伸ばして、目線は斜め上のドアアンカーを見る
- 肩を下げて、胸を張る(※ここまでがスタートポジションです)
- 拳が肩と同じ高さ、手幅は肩から拳2つ分外側に向けてチューブを引っ張る
- チューブを引いてきたときと同じ軌道で5の位置まで戻す
【注意点とコツ】
- チューブを引っ張るときは、手幅を外側に広げながら行う
- ドアから離れるほど広背筋の下部(腰付近)に効きやすくなる
- 床が硬くてお尻が痛いときはクッションを敷いて行うと良い
- バック・ラットプルダウンを行う場合はチューブを短くして、アンカー部分の真下に座り、ドアに背を向けて床に実施する
ラットプルダウンの正しいやり方を理解して効率的に結果を出そう!
出典:PIXTA
ラットプルダウンは複雑な筋トレだと思われやすいですが、1度やり方を覚えてしまえば一生使える知識になります。
広背筋は非常に大きな筋肉であるが故に、鍛えていくことで代謝も上がりやすく、見た目としての変化も現れやすい部位です。姿勢改善による呼吸量、睡眠の質も良くしてくれるので日常生活も快適にしてくれます。
効果的な筋トレで結果を出す為には、次の2つが特に重要です。
- やり方、注意点、コツを理解して正しいフォームで行う
- 目的と体力レベルに合った強度設定でメニューを組む
量より質を重視したトレーニングで、理想の背中を手に入れましょう!
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