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マラソン練習に効果的な「LSD」とは?
マラソンなどの練習方法を調べていると、必ずと言っていいほど登場するのが「LSD」です。LSDは初心者から上級者まで取り組める定番の練習方法なので、覚えておくと良いでしょう。
実際に、体ができておらずインターバルやレペティションなどの高強度ができない方でも取り組めます。ここからは、LSDがどのような練習メニューなのか紹介します。
LSDとはゆっくり長い距離を走るランニング
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LSDとは「Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)」を略したもので「長い距離をゆっくり走る」トレーニングです。普段のジョギングのペースよりもさらにペースを落として走るため、強度は低く初心者でも実施しやすいのが特徴です。
体力に自信がない方でも普段より長い距離を走ることができるので、ランニングに必要な持久力を身につける効果があります。
時間にすると60分~180分を連続して走る
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LSDは長い距離をゆっくり走るので、必然的に長時間走ることになります。時間にすると少なくとも60分程のランニングを行います。走力が高くなるにつれて、90分・120分・180分と、走る時間を伸ばしていきましょう。
特にマラソンなどの長距離レースを走る方であれば、120分~180分程度のレースに近い時間でLSDを行うと良いですね。
ペースは1km6分~10分!走力に合ったペースで走ろう!
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LSDでは『走るペース』が非常に重要です。ペースを上げてしまうと走れる距離が短くなってしまうため、無理なく走れるゆっくりなペースが理想です。
心拍数で言うと120~130拍/分ほどのペースです。ペース感覚が分からないときは、息が切れず(鼻で呼吸できるくらい)に60分以上走れるペースを目安にしましょう。
また、具体的なペースはランナーの走力によって変わるので、次のペースを目安にしてみてください。
●初級ランナー:1km9~10分のペース
●中級ランナー:1km8~9分のペース
●上級ランナー:1km6~8分のペース
LSDで得られる5つの効果・メリット
LSDを実施することで得られる効果を把握しておくと、マラソンなどのレースに向けて有意義なトレーニングが行えます。また、メリットを把握することで練習に対するモチベーションも高くなるでしょう。
ここからは、LSDにどのような効果・メリットがあるのか紹介します。
1. 毛細血管の発達により「持久力」が高まる
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長時間・長距離のランニングをすることで、全身に酸素を供給しようと体が変化していきます。具体的には、全身の毛細血管が発達し、酸素の供給量が増えます。その結果、酸素を取り込む量が増え、持久力が高まります。
2. 脂質代謝が良くなる
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LSDの運動強度は低く、脂質を分解してエネルギーを取り出しやすい運動です。繰り返しLSDを実施することで、脂質をエネルギーとして使いやすい体質に変わっていきます。
マラソンでは、主なエネルギー源である「糖質」がなくなると失速してしまうので、なるべく糖質を節約する必要があります。そこで、LSDを行い脂質を使いやすい体質にする(脂質代謝を向上する)ことで、マラソンを効率良く走れるようになります。
3. マラソンに適した体型になる
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LSDではエネルギー源として脂質が使われる割合が大きいので、体脂肪が燃焼され無駄がない体に絞れます。体が軽くなることで長距離を走るのに適した体型になるでしょう。
4. 無駄のないマラソンに適したフォームができる
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長時間・長距離を走るときは、エネルギーを節約するためにも無駄のないリラックスしたフォームで走る必要があります。
例えば、腕をぶんぶん振り回したような走り方では、マラソンを最後まで走る体力が残りません。LSDで長距離を走る練習を実施することで、自然と無駄がなくリラックスした長距離に合ったフォームを獲得できます。
5. 長距離・長時間走るのに慣れる
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LSDを何度か実施することで、長時間・長距離を走るのに慣れるのも大きなメリットです。マラソンの距離に対する不安を払拭でき、自信を持てるようになるでしょう。
また、自信がつくことで、「完走」や自己ベスト更新などの目標を目指すモチベーションも高まります。
LSDの効果を高める3つのコツ
LSDはいくつかのポイントを意識することで効果を高められます。ここからは、LSDの効果を高めるコツを紹介します。
1. マラソンのときと同じフォームでペースを落とす
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LSDはゆっくり走りますが、マラソン本番と大きくフォームを変えないように意識しましょう。理想は同じフォーム(動き)でゆっくり走ることです。
ゆっくり走ることに慣れるとマラソン本番のペースが速く感じてしまったり、スピードを出すと疲れてしまったりします。できるだけ本番のフォームを意識するだけで、影響を受けにくくなります。
2. 一定のペースを保つようにする
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LSDで長く走り続けるためには、無理ないペースを保つことが大事です。ペースのアップダウンがあると、無駄な体力を使ってしまうので、できるだけペースを保つように意識しましょう。
3. 信号がない周回コースを走る
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信号があるコースだと、途中で止まってリズムが崩れて疲れてしまったり、心肺機能に与えられる刺激が弱くなったりします。結果として、望む結果が得られなくなってしまうこともあるでしょう。
また、往復のコースの場合、体調が悪くなったときなどに帰れなくなってしまうので、近場の周回コースを走るのがおすすめです。
LSDを実施する際の注意点
LSDを安全に行うためにはいくつかの注意点があります。ここからはどのような点に注意すれば良いのか紹介します。
夏場のLSDは熱中症に十分に注意する
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夏場のLSDは熱中症のリスクが非常に高いです。もし実施するのであれば、朝方や夕方以降など気温が下がり、日差しが弱くなってから実施しましょう。
水分補給をかかさずに行う
夏以外の季節でも、LSDは長く運動するため、体内から水分が多く失われます。そのため、水分補給をかかさずに行う必要があります。
また、水分補給を小まめに行うことで疲労感が軽減するので、最後まで走りやすくなります。
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ペースや距離、時間の設定で無理をしない
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「LSD=たくさん走る」ということだけを意識してしまい、自分の走力に合わない時間や距離を設定しないように注意しましょう。例えば、初心者がいきなり180分のLSDを行っても最後まで走れないことが多いです。
最初は60分を無理なく走ってみて、慣らしながら徐々に走る距離を伸ばしていきましょう。
また、「ゆっくり走る」ということに慣れていない段階では、設定ペースより速く走ってしまうこともあるので、ランニングウォッチなどを活用してペースをチェックしながら走るのがおすすめです。
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慣れてきたら「距離走」も行おう!
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LSDはペースがゆっくりなので疲れにくく長く走れる反面、動きが小さくなりがちです。遅いペースに慣れるとスピードを出しにくくなるデメリットもあります。
そこで、ランニングに慣れてきたら、同じく長く走る練習である「距離走」も取り入れてみましょう。距離走とLSDの大きな違いは「走るペース」です。LSDではゆっくり走りますが、距離走では目的に応じたペース(マラソン本番と同じペース、LSDより少し速いジョグペース等)を設定し、20~30kmほどの距離を走ります。
LSDよりも速いペースで距離走を実施することで、心肺能力の向上やマラソンに必要なペース感覚を掴むことが期待できます。ただし、運動強度は高いので、疲労が溜まっているときはLSDを実施するなど、練習メニューに幅を持たせると良いでしょう。
LSDを実施してマラソンに備えよう!
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LSDは長距離ランナーの基礎体力を向上させる効果的なトレーニングです。LSDの効果や練習方法を押さえておけば、マラソン練習の幅も広がるり、状況に応じた適切なメニューをこなせます。
特にLSDは初心者でも取り組みやすいので、積極的に実施してマラソンレースに備えましょう。