アイキャッチ画像撮影:RUN HACK編集部
ポラールのマルチスポーツウォッチ「Vantage V2」とは?
撮影:RUN HACK編集部
「Vantage V2」は、130種類のスポーツが計測できるマルチスポーツウォッチ。2020年の11月に発売となった最新作で、ポラールのスポーツに関する知識やテクノロジーが全て詰め込まれたフラッグシップモデルです。価格は税込で76,780円。
今作にはトレーニングの成果や自分の状態を把握するためのテスト機能が追加され、トップアスリートも満足できるハイエンドな機能が充実しました。マラソンなど、ランニング競技で目標を達成したいと考えている方にはぴったりなスポーツウォッチと言えるでしょう。
まずは外観からチェック!
最新作の「Vantage V2」は前作と比べて大きな進化を遂げています。まずは外観から見ていきましょう。
アルミボディが美しい!軽量&コンパクトで日常使いに◎
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ボディ素材にはアルミニウム合金が使用され、シンプルながら洗練された美しさを感じます。普段着にも合わせやすそうですね。
常時表示のカラータッチディスプレイは非常に見やすく、タッチ精度も高いのでストレスがありません。
やや華奢な印象もありますが、使用されている素材は、グラスファイバー強化ポリマーを使用した航空機用アルミニウム合金。ディスプレイにはラミネートゴリラガラスレンズが採用されており、ミルスペック「MIL-STD-810G」に準拠したミリタリーレベルの耐久性があります。
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サイズは「47 x 47 x 13 mm」と非常にコンパクト。重さも52gとかなり軽量化されています。手首に付けている違和感が少なく、日常的に心拍や睡眠の計測をしたい方でも快適な着け心地です。
バッテリー寿命は、トレーニングモードで高精細GPSと心拍計測を使用した場合で最大40時間。ウルトラのレースに出場する方でも安心ですね。ウォッチモードであれば最高7日間使用することができます。
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ボタンは右側に3つ、左側に2つ配置されています。横幅が広いので、手袋をした状態でも押しやすく、トレーニング時の誤作動も少なそうです。
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リストバンドはしなやかで手首に優しくフィットします。穴の数も多いので、サイズ調整もしやすいのが嬉しいですね。
従来モデルよりさらに進化した「心拍センサー」
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心拍センサーには、最新型の「Polar Precision Prime」を搭載した高精度心拍センサーが採用されています。
特徴的なのは、グリーン、レッド、オレンジの3色のLEDが使用されていること。それぞれ光が血管の収縮を「異なる深さ」で計測します。LEDは計10個使用され、血管の状態をより正確に把握することができます。
実際に試してみよう!「トレーニング」を計測
それでは、さっそくトレーニングで試してみましょう。
視認性の高いディスプレイと高性能な心拍計測
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左下のボタンを押すとトレーニングメニューに入ることができます。そこから実施するアクティビティーを選択するだけで、すぐに計測が開始されます。今回はランニングの計測を行ってみました。
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アクティビティ中は「心拍数」「距離」「ペース」「経過時間」が表示され、必要な情報が一目で確認できます。個人的には心拍数を目安に走ることが多いのですが、色とメーターを組み合わせた心拍表示は、走りながらでもわかりやすく確認することができました。
また、画面に表示される項目は自由にカスタマイズすることができます。
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設定の変更は、スマホアプリの「Polar Flow」から行います。「スポーツプロファイル」という項目から、変更したいアクティビティーを選択すると編集に入ることができます。画面表示だけでなく、ラップ計測やトレーニング音、心拍ゾーンなどの変更もここで行うことができます。
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実際に使用してみて、(主観にはなりますが)心拍計測の安定性が非常に高い印象を受けました。特に、走り始めやスピードアップした時など、ペースが乱れる場面でも変動が少ないと感じます。心拍数をトレーニングの目安に活用する方は多いと思いますが、正確な計測ができると練習の質も高まりますね。
「Fuel Wise」を設定しておけば補給のタイミングを知らせてくれる
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「Fuel Wise」はアクティビティ中の栄養補給をサポートする機能です。トレーニング時間や1回に補給する炭水化物量を設定しておくことで、補給の適切なタイミングを教えてくれます。
長時間運動を続ける場合は、ついつい補給を忘れてしまいがち。アラートで教えてもらえると、脱水やハンガーノックの対策になりますね。
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ただし、一回に摂取する炭水化物量を自分で設定する必要があり、慣れないと少し難しいかもしれません。いきなりレース本番で使うのではなく、日々のトレーニングで試しながら最適なバランスを探っていくのが良さそうです。
計測結果は「Polar Flow」アプリで確認
ポラールの強みは、計測だけでなくトレーニング終了後の分析が充実していることです。時計の画面上でも確認できますが、「Polar Flow」アプリを使用すれば、より細かい計測結果がわかります。
使用したエネルギーの内訳がわかる
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「Polar Vantage V2」には、トレーニングで消費されたエネルギー源を推定する機能が搭載されています。
上記画像は速いペース(左)と遅いペース(右)で走った時の消費エネルギーを並べたものです。遅いペースで走った右側のデータのほうが、脂肪エネルギーが優位になっています。
マラソンなどの長時間のランニングでは、脂肪エネルギーをうまく活用することが重要になります。内訳を見ることで自分のエネルギー消費状況を把握し、トレーニングの組み立てに生かすことができますね。
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次に、トレイルランニングの計測結果をみてみましょう。アップダウンのあるトレランでは、上りの負荷が大きい為、炭水化物の消費が増えることに加え、たんぱく質の消費も大きくなっています。これはエネルギー補給の参考になりますね。
アップダウンを自動で分析「ヒルスプリッター」
撮影:RUN HACK編集部
「ヒルスプリッター」は、トレーニングの中身を自動的に「上り」「下り」「平坦」に分けてくれる機能です。手動でラップを入れる必要もなく、全て自動で計測してくれるので、練習後の分析が簡単にできます。
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また、パソコン上ではさらに詳細なデータを確認することができます。今回はトレイルランニングで計測してみましたが、データを見ると下りセクションで心拍数が低くなっており、下りが休みパートになってしまっているかもしれないと感じました。このように各セクションの状況を知ることで、「もう少し下りの負荷を強くしてみよう」など、今後の改善策が見つかるかもしれません。
トレーニングの質が変わるかも?「睡眠」データを活用しよう
トレーニングをする方にとっては、練習と同じくらい休息が大切。「Polar Vantage V2」を活用すれば、睡眠データの計測や回復度の確認が可能です。実際にやり方を見てみましょう。
手首に装着するだけで「睡眠の質」をチェック
撮影:RUN HACK編集部
睡眠データを記録する為に事前の設定は必要ありません(希望の睡眠時間は設定可能)。手首に装着して寝るだけで、自動で計測してくれます。
データでは睡眠時間を「軽い睡眠」「深い睡眠」「レム睡眠」「中断時間」の4つに分けて分析してくれます。また、「睡眠量」「安定度」「回復度」の3つの評価で睡眠スコアをわかりやすく教えてくれるので、睡眠状況を簡単に知ることができます。
手首だけでここまで正確で詳細なデータを計測できるのは正直驚きました。寝る時間や起床時間を設定しなくても、自然に計測が始まるのも続けやすいポイントですね。
睡眠による回復度を教えてくれる「Nightly Recharge」
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もう一つ睡眠の分析機能として「Nightly Recharge」が用意されています。これは、睡眠における「体の回復状況」を自動的に計測してくれる機能です。「自律神経ステータス」と「睡眠ステータス」を元に分析してくれます。
上記画像の左のデータはお酒を飲んだ日のもの。お酒によって自律神経ステータスが悪くなり、睡眠による回復度が低くなっています。お酒を飲んだほうが寝つきが良くなると思っていましたが、実際は睡眠には悪影響だったようです。レース前はもちろんですが、ハードな練習をしたい時にはお酒を控えたほうが、体の回復は早くなるのかもしれません。
新機能の「テスト」を活用して自分の状態を把握しよう
「Vantage V2」には新たな機能としてテスト機能が搭載されています。今回は2つのテストを実際に試してみました。
日々の成果を確認!「ランニングパフォーマンステスト」
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ランニングを続けている方であれば、VO2maxという指標を聞いたことがあるかもしれません。VO2maxは最大酸素摂取量のことで、有酸素運動能力を測る尺度と言われています。
「Polar Vantage V2」では通常のアクティビティ計測時でも、ランニングインデックスとしてVO2Maxの目安はわかります。しかし、新たに搭載された「ランニングパフォーマンステスト」を活用すれば、より精細に測定することができます。
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「ランニングパフォーマンステスト」を開始すると、画面に指定されたペースが表示されるので、そのペースに合わせたスピードで走ります。だんだんとペースが速くなっていくので、表示を確認しながらスピードを上げていきましょう。ペースを維持できなくなったところで終了です。
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自分の限界まで走ることになるので、実際にやってみるとかなりハードでした。しかし、本来VO2maxを計測するには専用設備のある施設に行く必要があります。それが自分の家の近所で気軽に計測できるのはとても便利ですね。
ただし、テスト中は指定されたペース通りに走り続けなければいけません。途中で信号待ちするような場所では計測できないので注意が必要です。河川敷や陸上トラックなどを選んで実施すると良いでしょう。
今日は運動しても大丈夫?「脚力回復テスト」でチェック!
撮影:RUN HACK編集部
もう一つのテスト機能「脚力回復テスト」も試してみました。これは垂直ジャンプを行うことで、現在の足の疲労具合を確かめることができるテストです。
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やり方はとても簡単で、時計の指示にしたがって3回の垂直ジャンプを行うだけです。ただし、最低でも3日以上のデータが必要です。
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蓄積した過去のデータとその日のジャンプを比較し、現在の足の状況を教えてくれます。レース後やハードな練習をした日の後は、無理なトレーニングをしない方が良いのですが、自分ではなかなか判断しにくいですよね。「脚力回復テスト」を実施すれば、客観的なデータで教えてくれるので、練習を組み立てやすくなります。
1分もあればすぐ終わるので、毎日のルーティーンとして実施し、自分の状態を把握するのもおすすめです。
「Grit X」と迷う方へ!2つの違いを比較してみました
同じく2020年に発売したばかりの「GRIT X」。機能面で似ているので迷う方も多いのでは?それぞれの特徴を比較するのでぜひ購入の参考にしてみてください。
素材の違いで印象が変わる!対照的な「外観」をチェック
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「Vantage V2」は角が少なくすっきりしたデザインですが、「Grit X」はいかにもアウトドアウォッチというイメージで、力強いデザインになっています。ここは好みが分かれるところかもしれません。
重さは「Vantage V2」が52g、「Grit X」が64gなので、その差は12g。数字上はわずかな差かもしれませんが、実際に手に持った感覚としては「Vantage V2」の軽さが際立ちます。日常生活で常に装着しているのであれば、この軽さは大きなメリットですね。
素材は「Vantage V2」はアルミニウム合金、「Grit X」にはステンレススチールが採用されています。見た目は異なりますが、両方とも同じミルスペック「MIL-STD-810G」準拠なので、耐久性の面では大きな差はなさそうです。
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リストバンドを比較してみると、「Grit X」の方が少し幅広で肉厚な印象です。個人的には、「Vantage V2」のほうがややフィット感が高い印象でした。これは本体との接続部の仕様の違いも影響しているしれません。
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「Grit X」は折り畳んで平らな状態にして置くことができます。基本的には常時手首に装着していることが多いと思いますが、「机の上に置いて時間を見たい」という場面では便利かもしれません。
【外観で選ぶなら】
とにかく軽いタイプが欲しい人、スッキリしたデザインに惹かれる人 →「Vantage V2」
アウトドアウォッチらしい無骨なデザインの時計が欲しい人 →「Grit X」
「Grit X」には交換用リストバンドが用意されている
撮影:RUN HACK編集部
「Grit X」には、専用の交換用リストバンドが別売で用意されているので、気分に合わせて付け替えて楽しむことができます。
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「Grit X」のリストバンドは、付け根部分にある金具を引っ張るだけで簡単に外すことができます。
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リストバンドが外れたら、同じ箇所に交換用のリストバンドを差し込むだけ。付け替えはとても簡単です。今回はウーブン布素材のツンドラブラックカラーに付け替えてみました。
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ランニングなどのトレーニングを行うときは、付属のウレタンバンドが良いかもしれません。しかし、普段使いではウーブン布素材に付け替えるなど、シーンによって使い分けができるのは魅力ですね。
専用のものだけでなく、標準の22mmのバンドであれば付けることができますが、金属製のタイプはGPSの精度に影響を与える場合があるので注意しましょう。
「機能」を比較!「Vantage V2」だけができること
撮影:RUN HACK編集部
2つの製品の基本性能は共通するものが多いのですが、「Vantage V2」にだけできる4つの機能があります。
■「Vantage V2」だけの独自機能
・起立試験(胸ベルト型心拍センサーが別途必要)
・脚力回復テスト
・ランニングパフォーマンステスト
・サイクリングパフォーマンステスト
自分の実力を正確に把握しながらトレーニングを行いたい人には、ランニングテストなど「Vantage V2」独自の機能が役立つはずです。ハードなトレーニングを日常的に実施していても「脚力回復テスト」があれば、ケガを未然に防ぎながらトレーニングを組み立てることができます。
「Vantage V2」はランニングの最高のパートナーになる!
撮影:RUN HACK編集部
「Vantage V2」は心拍計測が正確で、目的に合わせたトレーニングを組み立てやすいのが魅力です。さらに、睡眠データや回復テストなどを活用すれば、自分のコンディションに合わせて調整することもできます。新機能であるランニングテストを定期的に行いながらトレーニングを積み重ねていけば、自分の成長を実感し、目標に近づく喜びも感じられるはず。ランニングの心強いパートナーをお探しの方は、ぜひ「Vantage V2」を試してみてください。
紹介したアイテム ポラール Vantage V2
ITEM
ポラール Polar Vantage V2
●本体サイズ:47 x 47 x 13 mm
●ベルトサイズ:M/L(手首周り145〜215mm)
●重量:52g(リストバンド含む)
●カラー:3色
紹介したアイテム ポラール Grit X
ITEM
ポラール GRIT X
●本体サイズ:47 x 47 x 13 mm
●ベルトサイズ:S(手首周り130〜190mm)、M/L(手首周り145〜215mm)
●重量:64g(リストバンド含む)
●カラー:〔Sサイズ〕1色、〔M/Lサイズ〕3色
紹介したアイテム ポラール 交換用リストバンド ウーブン布素材(Grit X対応)
ITEM
ポラール 交換用リストバンド ウーブン布素材(Grit X対応)
●素材:〔リストバンド〕PETリサイクル糸、〔伸縮性部分〕ポリエステル、エラスタン(ラテックスフリー)
●サイズ:
S: 手首周り 130~190 mm
M/L:手首周り 145~215 mm
●カラー:3色
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