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Onの原点、それが「クラウド」
Onは2010年にスイスで誕生と、アディダスやナイキ、アシックスといったメジャーどころと比べればまだまだ新しいブランドです。
しかし、元プロアスリートら三人の創業メンバーが豊富な経験とエンジニアの技術を結集し、そして生み出したランニングシューズ、「クラウド」がまたたく間に話題となり、Onを注目のシューズメーカーとして押し上げたのです。
「ホースの輪切り」から生まれたクラウドテック
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クラウドのネーミングの由来であり、Onの基盤となるのが「クラウドテック」と呼ばれる独自のクッション構造です。Onの創業者でアイアンマンレースのヨーロッパチャンピオンだったオリヴィエ・ベルンハルドが、ある時、庭の水撒き用のホースを見て思いついたのが始まりです。
ランニングギアに研究熱心だったオリヴィエ氏は、実際にホースを輪切りにしてソールに貼り付けて(!)走ってみたそうですよ。
ホースの輪切りを貼り付けた自作シューズは、わずか10mでバラバラになってしまったそうですが、それでもオリヴィエ氏は新しいシューズの開発に手応えを感じたそうです。
クラウドテックは垂直方向と水平方向の衝撃を同時に吸収
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オリヴィエ氏は知人のエンジニアに分析を依頼、その構造が垂直方向と水平方向の衝撃を同時に吸収するためには理にかなっているのが証明されたことから研究を重ね、クラウドテックが生まれました。
クラウドテックは、ソールに配置された穴のあいた3D形状のパーツでそれぞれが独立して動くのが特徴です。
ランニングでは着地と同時に前に進む運動です。つまり着地の瞬間に垂直方向と水平方向の衝撃が加わるのですが、クラウドテックは衝撃を吸収し、さらにその衝撃で圧縮されたソールはそれを反発力に変えることで前に進むエネルギーに変えることができるのです。
なお、クラウドテックは独自の3D形状により、衝撃吸収性と反発性を世界で初めて融合したことから世界特許も取得しています。
Onクラウドのディティールをチェック!
それではOnクラウドのディティールをチェックしながら実際の履き心地などレビューしていきましょう。
サイズ感はややタイト
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Onクラウドはカジュアル・ビジネスウェアと合わせても違和感がないのが特徴ですが、これは落ち着いたカラーリングもさることながら、比較的スリムなスタイルも影響しています。
タイトといってもキツキツというわけではなく、アッパーの素材が柔らかいので足を包み込んでくれるような感じです。
自然な姿勢
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ソールのつま先とヒールの高低差、いわゆる「ドロップ」は少なめで6mm。最近の厚底ランニングシューズは履くと身体がやや前のめりの姿勢になり、走る時は良いけれど歩くときには不自然な姿勢になるモデルも少なくありませんが、Onクラウドならばその心配はありません。
ランニングの時だけでなく、ウォーキングシューズとして愛用されている方も多い理由はここにあるのかもしれません。
脱ぎ履きが楽なイージーシューレースシステムを採用
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Onクラウドではイージーシューレースシステムが採用されています。これはシューレースの代わりに細いゴムひもを用いたもので、ひもを結んだりほどいたりすることなく、するっと着脱が行えるのがポイントです。
イージーシューレースシステムは調節も可能ですが、もしどうしても合わないと感じた場合には通常の靴ひもも付属しているので、そちらに交換して試してみましょう。
砂利道には要注意!
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Onクラウドで砂利道を走る時は要注意です。以前のモデルに比べて改良されたとはいえ、クラウドテックの間に小石が挟まりやすいのです。小石が挟まってしまうと、途端に路面への当たりが変化して、コツコツという振動が伝わってきます。もちろん小石を取り除けば元通りですが、そのたびに立ち止まって除去するのもストレスになるので、なるべく砂利道は避けた方が無難です。
実際にOnクラウドで走ってみた!
私自身、最初はデザインにひかれてOnのクラウドを購入したのですが、実際に履いてみて、その快適な走り心地や日常での使い勝手の良さが気に入ってしまい、その後も続けて2足購入しました。
Onクラウドのなにがそんなに良かったのか、実際の走り心地についてレビューしていきます。
柔らかい着地
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Onクラウドを履いて走った時に最初に感じたのが着地の柔らかさです。柔らかいといっても、ふわふわとした柔らかさではありません。
足裏がしなやかに地面に着地して、吸収された衝撃が速やかに前に進む推進力に変換されることによるもので、それはちょっと大げさに表現すれば、猫が走る時のように動きに似て、結果的に「柔らかい」と感じられるのです。
もともと、私自身は足の「蹴り」が強めだったのですが、Onクラウドを履くようになってから、あまり蹴り出しを強くしなくても前に進むようになりました。
友人と一緒に走っていた時に、「前よりもフォームに力みがなくなったんじゃない?」と言われたことがあります。
軽い!
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Onクラウドは235gと、実際にとても軽いシューズですが、履いていると実重量以上に軽さを実感します。
これはインソールと柔らかなアッパーが足を包むような状態になっているので、どこか一部分に負荷がかかるのではなく、足全体でシューズを持ち上げていることによるものと考えられます。
走るペースを選ばない
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Onクラウドを履く以前は、ジョグ用にアシックスのGT-NY、ペースを上げたい時や大会ではアディダスやナイキの薄いソールのスピードモデルと使い分けて履いていました。
Onクラウドはキロ6分よりもゆっくりのジョグペースでも、キロ4分台の本気モード(私にしては、ということですが)にペースを上げても、さらには20km以上のロング走でも問題なく快適に走れることがわかったので、シューズをわざわざ使い分ける必要がなくなり、それ以来Onクラウドだけですべてこなしています。
ITEM
On クラウド(メンズ)
●重量:230g
●ドロップ:6mm
●カラー:11色
●重量:25〜32cm
ITEM
On クラウド(ウィメンズ)
●重量:183g
●ドロップ:6mm
●カラー:11色
●重量:22〜28cm
「クラウド」と「クラウドテリー」の違いは?
Onのカタログを見ていると、Onクラウドの他に、クラウドテリーというモデルもラインナップされています。ぱっと見では違いがわかりにくいクラウドテリー、購入を検討している方の中にもどちらを選べばよいのか迷っている方もいるのでは?
私自身が日々のランニングでこの2つのモデルを実際に使用した印象を元に比較してみました。画像は全てネイビーブルーがOnクラウド、ホワイトがクラウドテリーです。
アッパー素材の違い
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Onクラウドとクラウドテリーはいずれもソールにクラウドテックを使用している点では同じなので、違いはアッパー部分に集中しています。
アッパー部分の素材ですが、クラウドが軽量性と通気性を重視してメッシュ素材のナイロンを使用しているのに対して、クラウドテリーではヴィーガンレザーというフェイクレザーが使用することで、より上質感を高めています。
通常のOnクラウドもビジネスカジュアルに十分対応できるシックなデザインですが、クラウドテリーのソールまで全てブラックのモデルならばビジネススーツに合わせても違和感はありません。
クラウドテリーのシュータンはソフトな素材、足入れのためのループも追加
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クラウドテリーはシュータンの部分に特徴があります。ネーミングの由来となったタオル地の柔らかなテリー素材は履いた時の快適性はもちろん、見た目もソフトな印象になり、今までのランニングシューズとは大きくイメージが異なります。
また、クラウドテリーには、シュータンの部分とヒール部分に指をひっかけるためのループが追加されているので、イージーシューレースシステムと合わせて、よりスムーズな足入れを実現しています。
レースならOnクラウド、通勤ランならクラウドテリー
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単純にレースなどで使用するのであれば、アッパーの素材が柔らかく通気性のよいOnクラウドの方がおすすめです。
一方、クラウドテリーはオールブラックのモデルであればビジネスシューズとしても十分通用するので、通勤ランにもってこいでしょう。
通勤ランをされている方は、オフィスのロッカーなどに会社用のシューズをわざわざ置いて、オフィスに付いたら履き替えている方もいらっしゃるかもしれませんが、クラウドテリーならそれも不要になります。
ITEM
On クラウド テリー (メンズ)
●重量:223g
●ドロップ:6mm
●カラー:5色
●重量:25〜32cm
ITEM
On クラウド テリー (ウィメンズ)
●重量:181g
●ドロップ:6mm
●カラー:5色
●重量:25〜32cm
Onクラウドにはこんな派生モデルも
Onにはクラウドテリー以外にもクラウドテックを使用した派生モデルがラインナップされています。
クラウドウォータープルーフ
100%防水仕様のアッパー素材を使用したモデルです。防風機能もあるので冬場のランニングにもぴったりなモデルです。アッパーの素材が通常のクラウドよりも厚めになっていることからサイズがややタイトになっています。
通常履いているシューズよりも1サイズ上のものを試してみると良いでしょう。
ITEM
On クラウドウォータープルーフ(メンズ)
●重量:250g
●ドロップ:6mm
●カラー:3色
●重量:25〜32cm
ITEM
Onクラウド ウォータープルーフ(レディース)
●重量:216g
●ドロップ:6mm
●カラー:3色
●重量:22〜28cm
クラウドベンチャー
Onにはクラウドベンチャーというトレイルシューズもラインナップされています。クラウドテックを発展させたミッショングリップがアウトソールに使用されているのが特徴です。
トレイル用でもクラウドの柔らかなタッチは失われていません。高いグリップ力は、特に下り坂での安定したフォームにつながります。
トレイルシューズにあちがちなハデハデなデザインではなく、Onクラウド同様のシンプルなカラーリングなのもポイントです。
ITEM
Onクラウドベンチャー
●重量:295g
●ドロップ:6mm
●カラー:4色
●重量:25〜32cm
ITEM
Onクラウドベンチャー(レディース)
●重量:240g
●ドロップ:6mm
●カラー:4色
●重量:22〜28cm
On クラウドで走りの楽しさに【スイッチ・オン】!
Onはミッションとして、「Put fun into the run (ランニングに楽しさを)」を掲げています。
Onのロゴマークでは、「O」に出っ張りがあるのに気が付かれましたか?
実はこれはスイッチを表していて、楽しさのスイッチを「オン」にするという意味が込められているそうです。
Onのシューズは軽量・高性能でレースでも十分に使えますが、もしかするとギリギリとタイムを削っていくような走り方は似合わないかもしれません。
「走らなければ」ではなく、気がついたらシューズにすっと足を入れて走り出していたーOnクラウドは日常生活の中で自然にランニングを楽しめるようになるシューズなのかもしれません。
Onのシューズが気になったら!こちらの記事も参考に
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