アイキャッチ画像撮影:記助
「アディゼロ アディオス プロ」はどんなシューズ?
アディダスの厚底のレーシングシューズ「アディゼロ アディオス プロ」。箱根駅伝のランナーや実業団選手、世界で活躍する海外のランナーにも履いている人が多く、自身のパフォーマンスを最大限発揮できます。まずは「アディゼロ アディオス プロ」の特徴を紹介します。
カーボンプレートを内蔵した厚底レーシングシューズ
撮影:記助
「アディゼロ アディオス プロ」の最大の特徴は、「ENERGYRODS(エナジーロッド)」と呼ばれるカーボン製の5本のバーが内蔵されています。画像はアウトソールの前足部で、しばらく走るとエナジーロッドが埋め込まれている部分に少し跡がつきます(赤い印の部分)。
このエナジーロッドは、人の足の骨のような形をした5本のカーボン製のバーです。中足部からシューズ前側にかけて配置され、クッション性があるミッドソールが沈み込み過ぎないように支えています。さらに、ランニングの重心移動時にバーがしなり反発することで爆発的な推進力が生まれます。
また、ヒール部分(ヒールから中足部にかけて)にも、ナイロンとカーボンファイバーのヒールプレートが内蔵されています。このプレートは足首の関節を安定させる役割があり、スムーズな走動作を実現しています。
撮影:記助
ミッドソールの素材はアディダスの新素材である「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」。
アディダスの中で最も軽量で反発力がある素材で、厚底ですが軽くて走りやすいのが特徴です。クッション性が高く地面からの衝撃を和らげるので、マラソンなどの長い距離に対応しています。
ハーフマラソンの世界記録に貢献
アディオスプロは世界記録更新にも貢献しています。このシューズを履いたケニアのキビウォット・カンディエが、2020年12月6日のバレンシアハーフマラソンで世界記録を更新しました。
※タイムは57分32秒。1km=2分43秒~44秒のペース。
輝かしい実績を生んだシューズなので、今後も好記録が期待されているシューズであるといえるでしょう。
アディオスプロの履き心地は?
ここからは、アディオスプロを実際に履いてみたときの履き心地を紹介します。
今回試着したのは、2021年3月1日に発売したばかりの新色「スクリーミングオレンジ」。鮮やかなカラーリングで、ランニングに対する気分も高まります。
厚底でも204g(25.5cm)とかなり軽い!
撮影:記助
アディオスプロはアディダスのシューズの中でもかなりの厚底ですが、非常に軽いシューズです(画像は25.5cmで204g)。
手に取ってみた感覚・履いてみた感覚も非常に軽く、ランニングをしているときは重さは感じず、足回りは良いです。
蒸れにくく快適な「CELERMESH(セラーメッシュ)」
撮影:記助
アディオスプロはミッドソールに軽量な素材を使用しているだけでなく、アッパーの構造にも軽量化する秘密があります。
このアッパーには「CELERMESH(セラーメッシュ)」という技術が使われており、格子状に組み合わせた生地にメッシュ素材を合わせることで、耐久性を担保しながら軽量性・通気性・柔軟性を高めています。
長く走ってみても足の中は蒸れず、快適に走れます。
無駄がなくフィット感を高めるシュータン
撮影:記助
アディオスプロのシュータンは非常に薄く、ここにも軽量化の工夫が感じられます。シュータンの片側はアッパーと一体になっており、もう片方は内側にマチがある構造で、足の甲を包み込みフィット感を高めています。
フィット感を調整できるシューレース
撮影:記助
シューレースの穴は2列あり、余裕がある場合は奥の穴に通すことでフィット感をタイトにすることができます。
かなりシンプルなアウトソール
撮影:記助
アウトソールは非常にシンプルで無駄がない構造です。一見すると平らに見えるものの、表面はザラザラとした質感(紙やすりのような表面)で、履いてみるとほど良いグリップを感じます。
効率良く踏み出せる!ゆりかごのようなソール形状
撮影:記助
ソールの形はゆりかごのように傾斜がついており、ヒールから接地しても流れるように重心移動できます。前進する意識がなくても、自然に次の一歩が出る構造なので足さばきが良いです。
実際にアディオスプロで走ってみた!
今回はアディオスプロを履き、ポイント練習である9kmのテンポ走(少し速めのペース走)の結果を元にレビューを紹介していきます。
とにかく弾んで前にグイグイ進む!
履いたときの第一印象は、「とにかく進む」です。履いて歩くだけでクッション性と反発力を感じ、軽いジャンプをしただけでも普段より高く跳べる感じがしました。その場でもも上げをやってみると、普段よりも脚が高く上がります。
実際に走ってみると、厚底なのに重さを感じることがなく、軽快に走れます。特に印象的だったのがアウトソールの構造。反り上がった形状なので体重を前にかけるだけで、体が前に進む感覚になります。
「速く走る」と意識するだけでスピードが出る!
撮影:記助(※平均ペース:キロ4分15秒〔サブスリー相当〕)
このシューズを履くと、エナジーロッドの反発力を十分に体感でき、「速く走る」と意識するだけでスピードが出ます。
普段のテンポ走のペースは1km4分30秒ほどで、余裕はなくいっぱいいっぱいですが、アディオスプロを履くと、楽に走ったつもりでも1km4分30秒ほどで走れました。
いつものジョグのペースが1km5分~5分30秒なので、普段通り走っても30秒~60秒ほど速くなる体感です。
テンポ走の途中でペースアップしたときも、スムーズにスピードが出ました。自然とスピードが出るようなシューズなので、自分の場合だと4分10秒~4分20秒のペースで長く走るのに適しているように感じました。
薄底シューズを履いているときに感じる、接地時の地面から受ける衝撃は少なく、5km以上走っても足の裏の痛みは感じません。1km4分を切るペースまで無理なく上がったので、サブスリーを狙う方にはピッタリです。
いきなりのハイペースと股関節周辺の筋肉痛に注意!
アディオスプロを履くと普段よりも簡単にスピードが出ます。ただし、シューズを履いて身体能力が高くなっているわけではないので、いきなりハイペースで走ると当然、すぐに息が切れてしまいます。
そのため、いきなりマラソンレースなどの本番で履いてしまうと、思った以上に前半がハイペースになり過ぎてしまいやすいので、しっかりと試走を何回もして感覚を掴むことが大切です。
また、アディオスプロに身を任せて走ると、太ももが普段よりも高く上がったランニングフォームになりやすいです。そのため、走り終わった後に股関節周辺の筋肉(主に腸腰筋)が痛む感覚がありました。
ランニングの前後で股関節周辺をほぐしておくことが大事です。もしレースで使うなら、普段から腸腰筋の柔軟性を高めたり、鍛えたりすることで最大パフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。
アディオスプロを履いて自己ベストを狙ってみよう!
撮影:記助
アディオスプロで走ってみた結果、マラソンなどの長距離で自己ベストを狙うのにピッタリなシューズでした。今までのシューズと構造が大きく異なるので、最初は戸惑うかもしれませんが、慣れるとどこまでもスピードを出せるような感覚になります。
厚底のレーシングシューズの中でも推進力が高いので、スピードを追い求めている人、5km以上のロードレースで自己ベストを狙いたい方は、是非試してみてください。
adidas 公式サイト
ITEM
アディダス / アディゼロ アディオス プロ
●重量:225g
●カラー:全2色
●サイズ:22.0~31.0cm
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