世界最古のマラソン大会から名付けられた「ボストン」
「ボストン」のネーミングの由来はもちろん、世界最古のマラソン大会であるボストン・マラソンです。
ボストンはサブ4ランナーに向けたレーシングシューズ
出典:PIXTA
「ボストン」がボストン・マラソンから取られていることからもわかるとおり、基本的にはレースを想定した軽量シューズという位置づけとなっています。
アディダスが用意しているランニングシューズのチャートでは、ボストンはサブ4レベルのランナーのレース&トレーニング用となっていて、ポジション的には「SL20」と「アディゼロジャパン」の中間に位置します。
ネーミングが3→8、9となった理由は?
ところで、「ボストンって前に見たときは『3』だったのに、いつの間に『9』にまでなったの?」と思った方はいらっしゃいませんか。実は2017年に発売されたモデルまでは、ソールに「boost」が採用されたモデルから数えたナンバリング方法で「3」となっていたのです。
2019年に発売されたモデルから、2010年の初代モデルからかぞえたナンバリングが採用されて「8」となったのです。海外では以前から初代からのナンバーを採用していたので、国内モデルもそれに合わせた形のようですね。
「ボストン 9」の特長は?
ボストンには派手な新機能が搭載されていないため、一見地味な印象もありますが実際はどうなのでしょうか。
高い反発力のブーストを搭載
ボストン9にはアディダス独自の「ブーストフォーム」が採用されています。数千もの発泡粒子から構成されるブーストフォームはクッションと反発性を両立させたミッドソールとしてすでにおなじみですね。
とはいえ、最近の厚底ソールを採用したランニングシューズと比較すると衝撃吸収性よりも反発性の方を重視している印象で、初心者の方が履くと「クッションがあまりなくて硬いな」と感じられるかもしれません。
コンチネンタル製アウトソールによる高いグリップ性能
自動車のタイヤにはエンジンのパワーを路面にしっかりと伝えられる、高いグリップ性能が求められます。ランニングも同じで、路面を蹴る力を逃さず推進力に変えるためには高いグリップ性能が必要です。
ボストンでは自動車用タイヤの製造でも有名コンチネンタル社製のラバーアウトソールを採用し、スリップによるエネルギーのロスを軽減しています。
ボストン 9を履いて硬さを感じるのは、路面にしっかりと力が伝わっていることの裏返しなのでしょう。
また、土踏まずに採用されている、こちらもアディダス独自の「トルションシステム」(画像参照)がソールのねじれを抑えていることも効いています。
とにかく軽い!
アディゼロの「ゼロ」は、重量を限りなく0に近づけたいというコンセプトに基づくもので、ボストン 9においても重量は235gと軽量に仕上がっています。
初心者向けのクッション性を重視したシューズでは300gを超えるものも少なくないことから、よりスピードを求める方にはこの約100gの差は大きいでしょう。
「ボストン 8」からどこが進化した?
ボストン 8とボストン 9は見た目の変化は少ないのですが、アッパーの素材が大きく異なっています。
ボストン 8ではエンジニアードメッシュが使用されていました。エンジニアードメッシュは部位によって硬さを変えられる素材ですが、ボストン 8では足のぶれを抑えるため比較的硬めに仕上げられていました。
また、アディダスの3本ラインは単なるブランドマークではなく、甲まわりの剛性を高める役割もあったことから、足を入れた時のがっちりした印象につながっていたようです。
ボストン 9ではマイクロメッシュという柔らかめで伸縮性のある素材に変更されたことでフィット感が向上しました。もちろん当たりが柔らかくなっているだけで必要な剛性は確保されています。
このため、ボストン 8だとちょっと窮屈でワイドサイズを選んでいたという方がボストン 9ならレギュラーサイズで大丈夫だった、ということもあるようです。
「ボストン 9」はこんな方におすすめ!
オーソドックスなランニングシューズ、ボストン 9はどんな方に向いているのでしょうか?
スピードトレーニング用シューズに最適
アディダスではボストン 9をサブ4ランナーの大会用として位置づけていますが、フィッティングの良さや軽量性からスピードトレーニングにも最適なモデルとなっています。
日常的にインターバルやヤッソ800といったスピード系のトレーニングを取り入れている方にはおすすめです。
月間走行距離が多い方
最近のランニングシューズは高性能化が進んだ反面、価格も高騰化しています。スタンダードなモデルでも1万円台後半から、ハイスペックなモデルでは2万円台や3万円台のものもあって、以前に比べればずいぶん高くなったな、と感じている方もいらっしゃるでしょう。
特に、月間走行距離が200km以上という方なら、シューズがどれぐらい持つかということは切実な問題ですが、最近の厚底シューズの中には、数百キロで「賞味期限切れ」になってしまうものもあります。
それに対し、ボストン 9はブーストフォーム+コンチネンタル製ラバーの組み合わせにより比較的消耗しにくいソールとなっています。
また、新しいカラーのモデルがよく登場するので、旧カラーのものがセールに出てくる機会も多いようです。アディダス公式サイトでも9,000円程度、他のサイトでは6,000円以下で購入できることもあるので、走行距離が多くてシューズをひんぱんに購入する方にはありがたいですね。
この価格であればボストン 8の実勢価格と大きな差はないので、あえて古いボストン 8を選ぶメリットはなさそうです。
玄人向けのランニングシューズ、アディゼロ ボストン 9
ボストン 9は軽量でフィッティング性も高いので、ある程度の走力は必要ですが、比較的ランナーを選ばないシューズといえるでしょう。
アディダスではサブ4ランナー向けとしていますが、もっとペースを上げてもしっかりついてくるので、サブ3ランナーのトレーニング用としても十分対応可能です。
その反面、ランニングを始めたばかりの方にはちょっと敷居が高いシューズかもしれません。流行りの厚底でもなく、カーボンプレートも入っていないため、「ちょっと地味かな?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
だからこそボストン 9は、流行に流されることのない、「わかった方が選ぶ玄人向けのシューズ」と言えるのではないでしょうか。
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 9【メンズ】
●素材:アッパー 合成繊維 、アウトソール 合成底
●重量:235g
●サイズ:サイズ:25.0〜28.5cm
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 9【レディース】
●素材:アッパー 合成繊維、アウトソール 合成底
●重量:239 g
●サイズ:22.0〜26.5cm
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