アイキャッチ画像撮影:鈴木すず
1914年にアメリカで創業されて以来、数々の革新的技術により、ビギナーからトップアスリートまで、数多のランナーたちをサポートしてきたBROOKS(ブルックス)。 母国アメリカではランニング専門店チャネルのフットウェアにおけるシェアナンバーワンを獲得し、幾多のマスターピースを持つ同ブランドが自信作としてリリースしたのが、この「HYPERION TEMPO(ハイペリオン テンポ)」です。
「より速く、より長く」をコンセプトにトップランナーと共に開発されたという本モデルですが、その実力や如何に。トラックレースからウルトラトレイルまで走り、ランシューエンゲル係数の高い筆者が徹底レビューします。
「ハイペリオン テンポ」の特徴とは?
同時期にリリースされたカーボン入りのレーシングモデル「HYPERION ELITE 2(ハイペリオン エリート 2)」と、本作とで共通している特徴は、ブルックスが独自に開発した新素材「DNA FLASH」をミッドソールに搭載している事です。もちろんアッパーにも、歴史ある同ブランドならではの叡智が散りばめられています。それでは早速ディテールから見ていきましょう。
軽さと弾力と反発力を生み出すミッドソール「DNA FLASH」
撮影:鈴木すず
ブルックスが独自に開発した「DNA FLASH」は、エネルギー反発力と軽さを融合させた新素材で、高密度の液体窒素を素材に融合させる、液体形成プロセスを用いています。この微細な気泡が閉じ込められたミッドソールによって、軽さと弾力と反発力という、全てのランナーにとって有益な機能を実現しているのです。
ランニングエネルギーを持続させる軽量性
撮影:鈴木すず
本モデルの重量は片足223g(28.0cmで計測)。ナイキの「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」が205gなので、それよりは18g重くはなりますが、それでもかなり軽い部類に入ると言えます。この軽量性が、レース後半での失速率を軽減する走りをアシストしてくれそうです。
ハイテクノロジーで紡がれたアッパー
撮影:鈴木すず
アッパーには、エンジニアードメッシュを採用。エンジニアードメッシュとは、一枚の生地の中で編み方を変える手法です。具体的に言うと、柔軟に動かしたい部分や通気性の必要な部分は緩く、そしてしっかりとしたサポートが必要な部位は密に編み込むことにより、部分最適なフィットを作り出しているのです。
また、2WAYの伸縮&3Dプリントの補強により、足をしっかりと且つ優しくホールドしてくれるという独自のテクノロジーも見逃せないポイントです。
蹴り出しを無駄なく前へ推進してくれるアウトソール
提供:BROOKS
アウトソールには縦横斜めに溝を配置。この溝により路面をしっかりと捉えてくれるので、滑りやすい雨の日でも蹴り出しを効率的に前へ推進してくれます。中央に走らせた太い溝は、雨水を後方に逃がす効果も。
スムーズな蹴り出しをサポートするロッカー構造
撮影:鈴木すず
ロッカー構造とは、つま先と踵部分のソールを滑らかにせり上げたソールのこと。このゆりかごのような形状が次の一歩を推進させ、まるで転がるような走りを叶えてくれるのです。本モデルではミッド〜フォアフットで着地し、つま先に移行するような感覚で走れば、その恩恵を感じる事が出来ました。
【実走レビュー】絶妙な硬さを併せ持ったクッショニングが速く優しい走りを提供
筆者の足のサイズは足長27.4cm、足幅は標準を意味するEで甲の高さも標準、指先の形は人差し指が一番長いギリシャ型で、普段ナイキでは28.5cm、ホカ オネオネのロードシューズでは28cmを履いていますが、本作は28.5cmでジャストサイズでした。アッパーは柔らかくもタイトめで、足入れした時の印象は「思ったよりもソールが硬いな」という印象。しかし歩き出してみると、むっちりとしたクッショニングを感じました。
それでは実際に走ってみましょう。
ジョグでも伝わってくる「DNA FLASH」の機能
撮影:牧野 英明
まずフルマラソンサブ4(5:41/km)のペースで走ってみたところ、DNA FLASHならではの「ある程度の硬さはありつつも、足裏に優しいソールの機能」を確かに感じます。レース後半で足裏が痛くなってしまうと初心者ランナーでも、安心してレース運びが出来そうな可能性を感じました。続いてサブ3.5(4:58/km)のペースでも走ってみましたが、大きく印象は変わらず。
スピードランではナチュラルな推進力を実感
撮影:牧野 英明
最後にサブ3(4:15)のペースで走ってみました。このペースだと接地がフォア気味になる事もあり、ロッカー構造が奏功して無理なく加速感を実感出来ます。また、DNA FLASHが生み出す「前方に優しく押し出されるような推進力」も、このペースだとより感じる事が出来ました。ただ、カーボン入りシューズのような、前方にはじき出される感覚は無かった印象です。
結論!どんな走りにオススメ?
撮影:牧野 英明
「より速く、より長くを全てのランナーに」というメッセージを掲げる「ハイペリオン テンポ」。筆者の結論としては、サブ3以上を目指すランナーのレースシューズとしてはちょっと物足りないかも知れません。しかし、フルマラソン完走〜サブ3.5レベルを目指すランナーにとっては、普段のジョグからレースまで幅広く対応してくれる汎用性があるなと感じました。デメリットを挙げるとすれば、ノーカーボンの割には少々お高めなこと。機能はそのままに、アンダー15,000円くらいにプライスを抑える事が出来れば、より多くのランナーに支持されるポテンシャルがあると思います!
〈商品詳細〉
商品名:HYPERION TEMPO(ハイペリオン テンポ)
価格:19,800円(税込)
重量:207g(メンズ27.0cm) / 189g(ウィメンズ24.0cm)
サイズ:メンズ 25.0〜29.0cm / ウィメンズ 22.0〜25.0cm
オフセット:8mm
カラー:メンズ 4色 / ウィメンズ 4色
ブルックス 公式サイト
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