「ハイペリオンエリート 2」の特長は?
日本では今ひとつ知名度は低い一方、本国アメリカでは圧倒的に高いシェアを誇るブランドが「BROOKS(ブルックス)」です。
そのブルックスが満を持してデビューさせたレーシングシューズ、「HYPERION ELITE(ハイペリオンエリート)」から約半年という短いサイクルで登場したのが「HYPERION ELITE 2(ハイペリオンエリート2)」。どんな特長があるのでしょうか。
ブルックス独自のDNA FLASHをミッドソールに採用
「DNA FLASH」とは液化窒素ガスを混ぜて臨界発泡させて成形したブルックス独自の新素材です。一般的にランニングシューズに使用されているEVAに比べて、軽量性、クッション性及び反発性のいずれも優れているとされています。
ハイペリオンエリート2ではミッドソールに用いることで高いレベルの衝撃吸収性と反発性、安定性を手に入れました。このDNA FLASHでは可変型カーボンファイバープレートを挟み込む構造により、柔らかさと高い反発性という一見すると相反する性質を得ているといいます。
転がるように走る「ラピッドソールテクノロジー」
横から見た時にハイペリオンエリート2のソールはゆりかごのようなユニークなフォルムとなっています。これはラピッドソールテクノロジーと呼ばれ、スムーズな重心移動と推進力を生み出す効果があるとされています。
安定性は大丈夫なの?と不安に思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、アウトソールを幅広にするなどして接地面積を増やすことで安定性を確保しています。
初代モデルとの違いは?
初代ハイペリオンエリートの登場から約半年という、異例ともいえるタイミングで登場したハイペリオンエリート2ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
違いはソール部分に集中
ハイペリオンエリートも2も初代ハイペリオンエリートとほぼ同形状の柔らかいメッシュ素材のアッパーが採用されており、違いはソール部分に集中しています。上の画像でわかるとおり、初代ハイペリオンエリートはソールが比較的通常のシューズに近い形状となっています。
2の方が重量が若干重くなっていますが、もともと初代モデルが超軽量に仕上がっているので、普通のランナーでその差を感じとるのは難しいのではないでしょうか。
両方を履き比べたランナーのレビューでは、初代モデルに比べて2はより柔らかく感じられるとのことでした。
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ブルックス ハイペリオンエリート【メンズ】
実はハイペリオンエリート2は初代モデルと同時にデビューしていた?
初代ハイペリオンエリートがデビューした2020年2月29日、その同じ日にアメリカでは東京オリンピック代表を決めるオリンピックトライアルが行われていましたが、実はその時に6人のブルックスアスリートがハイペリオンエリート2を履いて出場していたのをご存知でしょうか。
もともと初代ハイペリオンエリート自体が4年間もの長い歳月をかけて開発されたことから、ハイペリオンエリート2もほぼ同時期に開発されていたと考える方が自然でしょう。
そう考えると、ハイペリオンエリート2は初代ハイペリオンエリートのモデルチェンジというよりもキャラクターを分けた兄弟モデルととらえた方が良さそうです。
ハイペリオンテンポとの使い分けは?
ハイペリオンエリート2のデビューと同時に、同じく「DNA FLASH」を搭載した「ハイペリオンテンポ」も登場しています。
こちらはカーボンプレートを内蔵していないことからソールの柔らかさ、衝撃吸収性がより実感できるモデルとなっています。
ラストも大きな差はないようなので、普段のトレーニングではテンポ、本番ではエリート2という使い分けが良いかもしれません。
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ブルックス ハイペリオンテンポ【メンズ】
オフセット: 8mm
サイズ:25.0〜29.0cm
重量:207g(27.0cm)
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ブルックス ハイペリオンテンポ【レディース】
オフセット: 8mm
サイズ:22.0〜25.0cm
重量:189g(24.0cm)
宿命のライバル「ナイキ ヴェイパーフライ」との違いは?
現在の厚底シューズブームの先駆者といえばなんといってもナイキ。そのナイキのスピードモデルが「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」です。そのナイキに対し、挑戦者となるブルックスはどんなアプローチで対抗しているのでしょうか。
反発性ではナイキ
ナイキズームX ヴェイパーフライ ネクスト% を履いた多くのランナーがその爆発的な推進力、反発力に驚愕しましたが、ハイペリオンエリート2はそこまで極端な反発力は感じられないというレビューがありました。
一方でナイキの場合はランナーが走り方を変えてシューズに合わせなければならないような性格で、たとえばかかと着地気味だとうまく走れないなどピーキーな部分がありました。
それに比べるとハイペリオンエリート2はトップアスリートではなくサブ3.5レベルのランナーでも効果を実感できるというレビューもあり、より間口が広い印象があります。
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ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%
重量:約 178g (26cm)
素材:アッパー エンジニアードメッシュ、ソール 合成底(カーボンファイバープレート内蔵)
ソールパターンに見るキャラクターの違い
ハイペリオンとヴェイパーフライのもっともわかりやすい違いがソールのデザインです。ハイペリオンエリート2は通常のラバーが、すりへりやすい部分に配されています。もちろん、このソリッドラバーがなければその分軽量化も図れるはずですが、耐久性の方を重視したからでしょう。
また、ハイペリオンエリート2のソールの中央には排水のための太い溝もしっかり切られています。
それに対し、ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%は軽量化を目的としてか、かなり割り切った作りとなっています。ヴェイパーフライは「賞味期限が短い」とよく言われていますが、その理由の一つがこのソールデザインにあるのではないでしょうか。
記録にこだわり速さを最優先させたズームX ヴェイパーフライ ネクスト%と実用性も確保したハイペリオンエリート2、両者のキャラクターの違いがもっともよく現れているのがソールパターン。
ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%は車でいえば速いけれど乗り手にもスキルを要求するF1のようなレーシングカーで、ハイペリオンエリート2は高性能でありながら市販車としての実用性や快適性にも配慮したGTカーのような性格といえるでしょう。
「ハイペリオンエリート 2」で高みを目指せ!
カーボンプレート入りのレーシングシューズということで、どうしてもナイキのズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2と比較されるのは仕方がない部分もありますが、ハイペリオンエリートは単なるフォロワー以上の存在といえるでしょう。
2020年9月にハイペリオンエリート2が登場と同時に完売したという事実が、レーシングモデルでありながらより多くのランナーにフィットする間口の広さに魅力を感じたランナーが多かったことの証明かもしれません。
ちなみにハイペリオン(HYPERION)とはギリシア神話に登場する太陽神とされ、「高みを行く者」という意味があるそうです。まさにこのシューズにぴったりの秀逸なネーミングではないでしょうか。
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ブルックス ハイペリオンエリート 2【メンズ】
ドロップ : 8mm
重量 : 215g (27cm)
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