アイキャッチ画像撮影:鈴木すず
厚底シューズ市場を切り拓き、圧倒的なレース実績でロードランニングシーンを独走し続けるNIKE(ナイキ)。数多の傑作を世に送り出してきた同ブランドですが、その一つとして「ペガサス」シリーズを挙げる人は少なくありません。本記事でレビューするのは、そのトレイル版である「ペガサス トレイル 2」。その類まれなルックスから、街履きとしても高い支持を受けている同モデルですが、フィールドに於けるパフォーマンスレベルは如何に。
トラックレースからウルトラトレイルまで走り、年間数十足ものシューズを購う筆者が、徹底レビューします。また、100マイルレースを主戦場とし、同モデルをこよなく愛用する美容師ランナーの声も必読です!
ペガサスのDNAを引き継ぐオールラウンドモデル
ロード用「ペガサス」シリーズと言えば、普段のトレーニングからスピードランまで幅広く対応する汎用性の高さが魅了です。事実、市民ランナーの愛用者も多く、またあの大迫傑選手も普段のジョグには同シリーズを履いているのだとか。「ペガサス トレイル 2」も例外ではなく、小石の転がるトレイルから林道、ロードまで快適に走れる守備範囲の高さが売りと言えます。ではどのようなディテールがそのパフォーマンスを作り出しているのでしょう。
クッショニング性の高い厚底仕様
提供:Nike
ソール厚みの最大値は44mm(筆者計測)。ナイキ史上最も反発力に優れたフォーム「Nike React」により、クッション性と反発力が高く、スムーズな移動を可能にしています。反り返らせたヒール部分は、ヒールフットの接地でも前方への重心移動を効率的にアシスト。
また、履き口が高めに設定されたフルレングスの構造により、岩場の安定感を高めています。
安定性を確保するソールデザイン
提供:Nike
地面に向かってソールを広げる事で、イレギュラーな凹凸のある路面でもグラつきを回避させたデザイン。また、爪先と踵部分のアウトソールにおける摩擦度を強化し、登りと下りの安定性を高めています。
ユニークなパターンが施されたアウトソール
提供:Nike
アウトソールにはまるで衝撃波のようなラグパターンが。バイクのタイヤをイメージしたと言うスピード感あふれるデザインにも、ナイキならではのセンスが光ります。
また、機能面での完成度も見逃せません。このオリジナルのラグが路面をつかみ、トレイルでもロードでもストレスの無い履き心地の実現に成功しているのです。
通気性とホールド感を併せ持ったアッパー
提供:Nike
蒸れやすい前足部とサイド一部には孔が大きめのメッシュ素材を使用。また、ホールド感と耐久性が要求されるヒールや履き口にはリップストップ素材を採用し、トレイルシューズに肝要な通気性とホールド感を兼ね備えた仕様に仕上げています。アウトソールのラバーを爪先まで回り込ませたデザインは、怪我防止の効果も大。
着脱性とデザイン性を備えた極太のプルタブ
提供:Nike
モデル名が刻まれた極太のプルタブは、そのバックスタイルのデザイン性を高めているだけではなく、侵入した小石や土を取り除く為の着脱を容易にする役割も。
「ペガサス トレイル 2 GORE-TEX」は通常モデルとどう違う?
提供:Nike
「ペガサス トレイル 2」には、通常モデルの他に、アッパーにGORE-TEX(ゴアテックス)素材を使用したモデル「ペガサス トレイル 2 GORE-TEX」が展開されています。型は全く同じなので履き心地や走りに違いはありませんが、大きく異なるのは同素材ならではの防水性です。雨中や雨上がりのトレイル上には、時としてぬかるみやが水溜りがありますが、GORE-TEXなら少しくらいそこに足をついてしまっても問題無し。
ただし、注意点としては履き口からの浸水は避けられないこと。そして防水素材であるが故に、一度浸水してしまうとなかなか水が抜けにくいのが難点です。したがって、足首まで水に浸かったり、脚から水がつたうような雨の日には使用を避けた方が良いでしょう。
▼「ペガサス トレイル 2 GORE-TEX」についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
サイズ感はどう?
撮影:鈴木すず
筆者の足のサイズは足長27.4cm、足幅は標準を意味するEで甲の高さも標準、指先の形は人差し指が一番長いギリシャ型で、普段ナイキのロードシューズや、サロモンのトレイルシューズでは28.5cmを履いています。そして本モデルでも28.5cmでジャスト。通常のサイズ感と考えて問題無いと思われます。
【実走レビュー】ロードや走れるトレイルでその強さを発揮
トレイルレースのコース概要には「トレイル率」という数値が記載されている事があります。これが意味するのは、全コースにおけるトレイルの割合。ひとくちにトレイルレースと言っても、中には半分がロードを占めるものもあれば、林道が多いそれもあります。そこでこちらでは、サーフェスに分けてそのインプレッションをレビューします。
ロード
撮影:鈴木すず
トレイルシューズは、そのラグの存在によりアスファルトではゴツゴツとしたストレスを感じる事もありますが、本モデルにそれは感じません。その印象を生み出しているのは、広くて低めのラグと柔らかなクッショニング、そして蹴り出し時に感じる反発性です。特にクッショニングに関しては、ロード用の「エア ズーム ペガサス」よりも強く感じました。
林道・土の山道
撮影:鈴木すず
トレイルの中では比較的走りやすいとされる林道や柔らかな土の山道でも、その印象はロードと大きく変わる事はありませんでした。ただラグが広くて浅い分、砂利や濡れた根っこ、踏み固められた土など、スリッピーな路面はあまり得意ではないようです。
大きめの石や岩場
撮影:鈴木すず
厚底が奏功してか、小石を踏んでも突き上げが気になる事はありませんでした。ナイキが謳っているように、ちょっとした凹凸でも安定感は問題無しです。気を使う必要性を感じたのは岩場。ある程度ザラザラとした岩では問題無いのですが、滑らかな表面の岩の上では滑りやすさを感じました。
「ペガサス トレイル 2」を愛用するアスリートの声
ランナーの数だけシューズに求めるものは変わってきます。では実際、どんなランナーが「ペガサス トレイル 2」を履いているのでしょうか。そしてその評価しているポイントは?「ペガサス トレイル 2」をこよなく愛し、過去に合計3足ものそれを購入。着用して100マイルも走破した経験を持つアスリートの声を聞いてみました。
藤川 英樹さん
提供:藤川英樹
トレイルを走る時は、
ロングにはクッション性の高い厚底を選んだり、ショートの時は薄底を選んだり、
天気によって、気分によって、サーフェスによってシューズを履き分けています。「ペガサス トレイル 2」は、まず見た目が好みだったのがきっかけ。普段履きでも使えそうだなと
思い、今年の頭に軽い気持ちで手を出しました。
提供:藤川英樹
軽く走ってみた時、クッションと反発における加減の良さが印象的でした。そしてメッシュアッパーの柔らかさがとても心地良く、
通気性も良くて蒸れない。
またラグも浅めなので、
ロードや、クロカンを走るのにも抜群です。
最初に思った通り、街履きからジョグまで、僕の日常でオールラウンドに幅広く活躍するシューズでした。
雨の後や石畳など、滑る不安は裏切ることなく滑るのですが、
そこは「滑るものとして走る」
という頭でいると、その事ですら可愛く感じ愛着が湧くように(笑)。
色々選んで履いてたのに、
気づけばコレばかり選んで出掛けています。
僕にとっては、ショートレースから100マイルまで活躍してくれる頼もしいギア。
ロードや林道の多い、信越五岳100マイルやUTMF、KOUMI100などのレースで使いたいですね。
藤川 英樹さん プロフィール
株式会社モテル代表。『接客しない お客様はいない 美容室』をコンセプトとする美容院「Broccoli playhair」を運営する美容師。国内外の100マイルレースやステージレースなど、ロングディスタンスのレースが主戦場。
渋谷は代々木上原を拠点にするランニングチーム「Chicken Heart Runninng Team」のリーダーを務める。
主なレース歴はAtacama Crossing、GOBI MARCH、HK168、KOUMI100、Backyard Ultra Last Samurai Standing(33 LAP/221kmでDNF)など。
Instagram/hdk_trailrun
結論!どんな走りにオススメ?
撮影:鈴木すず
ナイキが誇るロードモデルの秀作と同じ名を冠した「ペガサス トレイル 2」。筆者も通常モデルとGORE-TEX(ゴアテックス)モデルとの2足を所持していますが、藤川さんのレビューでもあるように、確かにグリップ力に関しては強くはないと思います。しかしながら、確かにトレイルシューズに於いて「滑らない」という機能は重要ではありますが、グリップし過ぎるとそれはそれでスピードに乗れないという一面があるのも事実。筆者自身、サーフェスによっては滑りながら走る場合もあります。 要はその人の走り方やトレイルの種類、天候や気分に合わせて使い分けるのが重要ということです。
一つの選択肢として本モデルをシューズラックに置いておけば、きっと貴方のランニングスタイルの幅を広げてくれる一足となる事でしょう。
今回紹介したアイテム①
〈商品詳細〉
商品名:ナイキ ペガサス トレイル 2
価格:15,400円(税込)
サイズ:MEN/24.5〜30.0cm、WOMEN/22.5〜26.5cm
今回紹介したアイテム②
〈商品詳細〉
商品名:ナイキ ペガサス トレイル 2 GORE-TEX
価格:19,250円(税込)
サイズ:MEN/24.0〜30.0cm、WOMEN/22.5〜26.5cm
ITEM
ペガサス トレイル 2 GORE-TEX MEN
ITEM
ペガサス トレイル 2 GORE-TEX WOMEN
Nike オフィシャルサイト
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