本当に同じシリーズ?ボストン10は大きく変わった!
「ADIZERO BOSTON(アディゼロ ボストン)」は2010年に誕生した、アディダスの中でも定番と言えるレース&トレーニング用ランニングシューズです。多くのランナーの支持を受けてきた人気モデルでしたが、10代目にして大きな変貌を遂げました。
薄底の「BOOST」から厚底の「LIGHTSTRIKE PRO」に
ボストンといえば、これまではレースでの使用を想定した薄底の軽量シューズとされていましたが、ボストン10ではいきなり厚底デザインが採用されました。
素材は2014年以降ソールに採用されていた高反発素材「BOOST(ブースト)」ではなく、ADIZERO ADIOS PRO 2(アディゼロ アディオス プロ 2)でも使用されている「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」と「LIGHTSTRIKE EVA(ライトストライク EVA)」の組み合わせに変更されました。
アッパーのデザインにはさほど変化がないので、ボストン 9に「高下駄」を履かせたようになったボストン10のデザインにびっくりした方も少なくないでしょう。
ミッドソールに「ENERGY RODS」を採用しスピード練に対応
今回のボストン10ではミッドソールに「ENERGY RODS(エナジーロッド)」と名付けられたグラスファイバー素材の5本骨状のパーツ(画像参照:矢印の位置に搭載)が追加されています。これにより、蹴り出しの時の推進力と安定性を向上させた、とアディダスでは説明しています。
アディオス プロ 2に装備されているENERGY RODSと同名で、形状も同じように見えます。しかし、アディオス プロ 2では素材がカーボンファイバーだったのに対し、ボストン10ではグラスファイバーが使用されています。
アディオス プロ 2では5本の骨それぞれの硬さを調整することで、よりしなやかに足指を動かせることで推進力を強化する狙いがありました。一方、ボストン10は、推進力よりも安定性を高める役割を担っており、名称は同じでも働きは異なっています。
また、カーボンファイバーは高価な素材なので、コストの面からボストン10では採用を見送ったと思われます。
アウトソールには引き続き「CONTINENTAL」ラバーを採用
ソールの構成が、がらっと変わったボストン10ですが、アウトソールには従来同様「CONTINENTAL(コンチネンタル)」ラバーが仕様されています。
自動車用タイヤで培われた、路面をがっちりとつかむグリップ性能に加えて耐久性も高く、月間走行距離の多いランナーの方もひんぱんな買い替えをしなくて良いというのは大きなメリットでしょう。
アディゼロ ボストン 9と10の違いを検証!
最新モデルのボストン 10は先代のボストン 9とどのような違いがあるのでしょうか。
10は軽量性を重視していない
私も含めて多くの方が「ボストン=重量が軽く、履き心地が軽快なシューズ」というイメージを持っているのではないでしょうか。
もともとアディゼロの「ゼロ」には重量を限りなく0に近づけたいというコンセプトに基づくもので、ボストン 9においても重量は片足で235gと非常に軽いシューズでした。
しかしボストン10では片足で294gと一気に重量が増えています。おそらく、従来のボストンを愛用していたランナーが10を履いて、一番「あれ?」と戸惑うのはこの部分でしょう。
レース&トレーニングからトレーニングメインのシューズへ
アディダスのランニングチャートでは、従来同様サブ4までのレース&トレーニングモデルとしてポジショニングされています。
しかし、ボストン10になって安定性や反発性を強化したことや、なによりも重量が増えていることで、トレーニングモデルとしてのキャラクターがより鮮明になった印象です。
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 10【メンズ】
●素材:アッパー 合成繊維、アウトソール 合成底
●重量:280g (27cm 片足重量)
●ミッドソールドロップ:8.8mm (ヒール: 39.8mm / 前足部: 31mm)
本メーカ-のカーボンソールの厚底ランニングシュ-ズを初めて購入、アディオスプロに比べ廉価であることが購入の動機です。ソールの反発力等は期待通り、今後はソールの摩耗が合格ラインなら評価満点ですか。
出典:
楽天みんなのレビュー
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 10【レディース】
●素材:アッパー 合成繊維、アウトソール 合成底
●重量:280g (27cm 片足重量)
●ミッドソールドロップ:8.8mm (ヒール: 39.8mm / 前足部: 31mm)
アディゼロ ボストン 10はこんなユーザーにおすすめ
生まれ変わったアディゼロ ボストン 10、どんなユーザーにぴったりのシューズなのでしょうか。
アディゼロ アディオス プロ 2を履くランナーのトレーニング用として
アディゼロ アディオス プロ 2は、トップアスリートの協力を得て開発されたアディダスの厚底スピードモデルです。
ボストン 10ともパーツや素材が一部共通であり、全体のフォルムも似ています。
アディオス プロシリーズはその性能で高い評価を得ましたが、一方で軽量化を実現するために耐久性については優先順位が低い、いわゆる「賞味期限が短い」シューズでした。
アディダスのラインナップには厚底のトレーニング用シューズがなく、とは言え定価で2万円台後半のシューズをトレーニングで消耗させるのはさすがに難しいでしょう。その厚底のトレーニングシューズというポジションにぴったりはまるのがボストン 10です。
アディオス プロ 2がボストン 10と同時に発売されたのも、そういう意図があったからではないでしょうか。
ITEM
アディダス アディゼロ アディオス プロ 2
●素材:アッパー 合成繊維/合成皮革、アウトソール ゴム底
●重量:210g (27cm 片足重量)
●ミッドソールドロップ:10 mm (ヒール:39.5 mm / 前足部:29.5 mm)
高い安定感でトレーニング用として最適な仕上がり
アディオス プロ 2をレースで履くようなスピードランナーでなくても、ボストン 10はトレーニング用シューズとしては最適のモデルと言えるでしょう。
最近のトレーニング用のシューズを見ていると、厚底で重量も重めという、かつてのビギナー向けのランニングシューズに似た仕様になっているという傾向が見られます。ボストン 10もそのトレンドに乗ったものと言えるかもしれません。
安定性の高さやスムーズな蹴り出し、そしてコンチネンタルソールの採用による耐久性の高さなど、ボストン 10はトレーニングモデルに要求されるスペックを高い次元で実現しています。
ボストン 9でレースを走っていたランナーにはやや不向き
その一方で、これまでボストン9をレースで使っていた、という方にはやや不向きなシューズになったと言えます。
特にフルマラソンの場合は、3時間半や4時間という長い時間走り続けることになるので、両足で100gも重くなってしまうと、足への負担が相当変わってくるでしょう。
もちろんボストン 10になり安定性や着地からの反発力は高まっていますが、それで重量の差がすべてカバーされるわけではないはずです。
特にサブ4を目標にしてボストン 9でレースを走っていた方は、店頭在庫があるうちにボストン9を入手しておいた方が良いかもしれません。
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 9【メンズ】
●素材:アッパー 合成繊維、アウトソール 合成底
●重量:235g
●ミッドソールドロップ:10 mm (ヒール 26 mm / 前足部 16 mm)
クッション系の中では割と薄底で軽く、厚底苦手なのでしっくりきました。10が発売になり、かなり厚底なってしまったので、今のうちに買い足そうか悩みます。
出典:
楽天みんなのレビュー
ITEM
アディダス アディゼロ ボストン 9【レディース】
●素材:アッパー 合成繊維、アウトソール 合成底
●重量:235g
●ミッドソールドロップ:10 mm (ヒール 26 mm / 前足部 16 mm)
ボストンの変化、それを受け入れられるかどうか
先代のアディゼロ ボストン 9は厚底でもなく、カーボンプレートも入っていないなど、セールス上のアピールには欠けますが、軽くてフィッティングも良く、誰にでも勧められるレース&トレーニングシューズでした。
しかし、言い換えればボストン 9はこれまでの路線の完成形で、これ以上何か改良するのは難しかったのかもしれません。今回、節目となる10代目のボストン10でアディダスは大胆に変えてきました。この変化を受け入れられるかどうかーボストン10の評価はそこにかかっていると言えるのではないでしょうか。
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