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ウォーターローディングって何?
普段何気なくおこなっている水分補給ですが、長時間走るマラソンではパフォーマンスを左右する非常に大事なポイント。最近では、効率的に水分補給ができる「ウォーターローディング」が注目されています。アスリートも実践している「ウォーターローディング」とは何のことをいうのでしょうか?
レース本番で力を出し切るための水分補給方法
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ウォーターローディングのローディング(loading)には装填、充填、付加などの意味があります。つまりウォーターローディングとは体に水分を補充するための水分摂取方法の1つ。喉が渇く前にこまめに摂取することで、常に水分が満たされた状態を保ちます。
マラソンは季節を問わず大量の汗をかき、冬でも脱水症状を引き起こします。スタート前に体内の水分状態を整えておくことが大切です。
ウォーターローディングにはどんな効果がある?
ウォーターローディングにはどのような効果があるのでしょうか?マラソン後半の脱水症状が心配な方や夏にマラソンを走る方は試してみる価値ありです。
脱水症状を予防しパフォーマンスの低下を防ぐ
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ウォーターローディングには脱水症状を予防し、水分が減少することで引き起こされるパフォーマンスの低下を防止する効果があります。
人間の体内は60〜70%が水分で構成されています。体重の2%減少するだけで喉の渇きを感じ運動能力が低下。3%以上になると強い喉の渇きを感じ、ぼんやりしてきます。
夏のマラソンだと、レース中に水分補給してもゴール後の体重が3kg以上減少することも。全て給水で補うのは不可能なため、スタート前に水分状態を整えておく必要があります。ウォーターローディングは脱水症状や熱中症の予防になり、自分の持っている力を発揮するために効果的です。
疲労回復を早める
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水分不足になると血液がドロドロになり血の巡りが悪くなってしまいます。酸素や栄養素がうまく運搬されず、老廃物も排出されずに溜まった状態です。
ウォーターローディングによって体内の水分を満たせば血液がサラサラになり、血流も良好に。老廃物も排出されるので疲労回復にも効果があります。ウォーターローディングはレース前のコンディショニングづくりにも最適な方法です。
ウォーターローディングのやり方とは?
初めてウォーターローディングを実践する方はどういった方法でやればいいのか分かりませんよね。より効果的な方法を解説していきます。
摂取する水分量
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1回に飲む量はコップ1杯程度150〜250mlが目安です。1回に250ml以上、1時間に800ml以上摂取すると、体内で吸収できず内臓に負担がかかってしまうので注意してください。1日に摂取する量は1〜1.5ℓを目標にこまめに水分補給するようにしましょう。
水分がしっかり摂れているかは尿を確認してみるとよいですよ。回数が少し増えているかだけでなく、色も見てみましょう。水分不足だと尿の色は濃い黄色ですが、無色に近くなってくれば水分は十分に満たされています。
また、走った距離や時間に対してどのくらい体重が減るのか、日頃からチェックしておくと摂取量の目安になります。
水分を摂るタイミング
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ウォーターローディングはレースの3〜5日前から始めるとよいでしょう。1ヶ月前、1週間前から始める方法もあり、日頃から水分に満たされた状態をキープしておくのがおすすめです。
1日に飲む頻度は6〜8回が目安。「起床後」、「運動中」、「入浴中」、「就寝前」は特に水分が足りていないことが多いので意識的に摂取するようにしましょう。レース前には250〜500mlほど飲んでおくと安心です。
おすすめの水は「中硬水のミネラルウォーター」
摂取する飲料は、水道水よりもミネラルウォーターがおすすめです。体内のミネラルは運動時の汗や、尿と一緒に排出されているので、ミネラル成分のバランスがよい飲料で効率よく摂取しましょう。
ミネラルウォーターには硬度が120mg未満の軟水と120mg以上の硬水があります。ミネラルが豊富な硬水がおすすめですが、あまりにも硬度が高いとお腹の調子が悪くなる可能性があるので硬度300mg前後の中硬水がよいでしょう。エビアンは硬度304mgですし、1日の目安となる1.5lのペットボトル入りもあるので最適です。
しかし、中には水を飲むのが苦手な方もいらっしゃるかもしれません。糖分が多いドリンクや利尿作用のあるカフェイン入りの飲料は避けた方がいいですが、カフェインの入っていない麦茶や薄めたスポーツドリンクなどで代用してもよいでしょう。
ITEM
伊藤園 エビアン 1.5L ×12本
●原材料:水(鉱泉水)
●栄養成分(1Lあたり):エネルギー0kcaL たんぱく質0g 脂質0g 糖質0g ナトリウム7mg カルシウム80mg マグネシウム26mg 硬度304mg
ウォーターローディングの注意点
たくさん水分を摂ればOKと思いがちなウォーターローディングですが、実は思わぬ危険性があります。注意点を詳しく解説していきます。
水分の取りすぎにはリスクも!
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水分をたくさん摂りすぎてしまうと血中のナトリウム濃度が低下して水中毒(低ナトリウム血症)を引き起こしてしまう危険性があります。めまいや頭痛、吐き気などの症状が現れ、重症化すると嘔吐や意識障害、呼吸困難などとても危険です。
1回に飲む量はコップ1杯程度(150〜250ml)にとどめ、こまめに摂取するように心がけましょう。
糖分の多いスポーツドリンクやカフェインに注意
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一見するとスポーツドリンクはウォーターローディングに最適なように感じてしまいますが、日常の水分補給として考えた場合、大量の糖分が含まれているため体重増加や水分でお腹いっぱいになってしまい、食事量が少なくなってしまう可能性があります。レース前に体重が増えてしまうと体が重く感じ、パフォーマンスが発揮できない可能性も。スポーツドリンクを飲むなら薄めて飲むなど工夫しましょう。
また、コーヒーや紅茶などカフェイン入りの飲料にも注意が必要です。カフェインには利尿作用があるためせっかく溜め込んだ水分も流れてしまいます。普段からよく飲んでいる方も多いと思いますが、レース前は飲みすぎないように気をつけましょう。
レース前に急にやるとリスクも!1度シミュレーションをしておこう
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ウォーターローディングをレース前に急にやってしまうと、お腹の調子を壊したり尿意が近くなってしまったりと思わぬトラブルが発生する可能性があります。
距離走前など練習で1度シミュレーションしておくと安心です。自分にどういった反応があるのか、どのくらいの水分量が最適なのか、しっかりと把握してレース本番のウォーターローディングに生かしましょう。
レース中の水分補給はどうする?
マラソンなどの長丁場のレースになると水分補給はパフォーマンスを発揮するうえで大事な要素。トレーニングでは走らない距離のため未知の世界のランナーも多いのではないでしょうか。後半脱水症状で失速しないための水分補強のポイントを紹介します。
喉が渇く前にこまめに摂る
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マラソンレース中喉が渇いてから水分補給するのではすでに手遅れです。喉が渇く前からこまめに水分補給するように心がけましょう。5kmごとに100〜150mlが目安で口の中を湿らせるだけでもOKです。
しかし、水分を摂ることばかり考えてしまうと特に冬のマラソンでは飲み過ぎる可能性も。お腹がぽちゃぽちゃになってしまい、尿意を催したり、お腹を壊したりするかもしれません。普段の練習から練習前後の体重を測り、どれくらい補給すればよいのか把握しておくと安心です。
エネルギーも同時摂取できるスポーツドリンクがおすすめ
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レース中の水分補給は電解質や糖分を含んだスポーツドリンクがおすすめ。汗とともにミネラルも失われ、激しくエネルギーを消費するためエネルギー不足に陥りやすくなってしまいます。スポーツドリンクなら痙攣や後半の失速を最小限に抑えられます。
体に熱がこもっている場合は水をかけて冷やすとよいでしょう。くれぐれもスポーツドリンクを間違えてかけてしまわないように気をつけてくださいね。
紙コップでの給水は意外と難しい!レース前に練習しておこう
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普段の水分補給を紙コップでおこなうには何も問題ありませんが、走りながら給水となると難しくなってきます。顔にかかったり、鼻に入ってしまったりとトラブルはつきもの。量が多いときは1回捨ててから飲む、ペースを落とすなど細心の注意を払いましょう。コップの端を親指と人差し指で潰して、飲み口を小さくすると飲みやすくなりますよ。
また、給水ポイント最初のテーブルは一気にランナーが押し寄せるため混雑する傾向に。後半設置されたテーブルが取りやすくおすすめです。
▼レース中の給水のポイントについてはこちらの記事で詳しく解説!
ウォーターローディングでベストパフォーマンスを発揮しよう!
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長丁場のマラソンでは水分補給が非常に大切です。ウォーターローディングを実施してよりよい状態で安心してスタートラインにつきましょう。体内で吸収できる量には限界があるため少しずつこまめに摂取することがポイント。くれぐれも飲み過ぎには注意してください
。
ウォーターローディングがうまくいけばコンディションがよくなりパフォーマンスの低下も防げます。初マラソン完走や自己ベスト更新をサポートしてくれるはず。後半の脱水症状が心配な方や給水がうまくできるか不安な方はチャレンジしてみる価値があるでしょう。
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