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骨盤、正しく使えてる?
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普段から骨盤を意識する機会は少ないので、「骨盤を使う」というのは難しく感じてしまうかもしれません。実際に骨盤は意識して使うのは難しいため、上手く使えるように骨盤の位置を整えることが大事なのです。そのためにも、まずは骨盤が使えていない状態だとどのような弊害があるのか押さえておきましょう。
脚に負担がかかりやすい!
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骨盤の位置によって、地面までの脚の長さが変わります。例えば、骨盤が左右に歪んでいればどうでしょうか。自然体で横になったときや、直立したときに左右の脚の長さが変わってくるでしょう。
片脚は自然に走れている場合でも、長い方の脚に負荷がかかってしまい怪我してしまいやすいです。もし、片方の脚ばかり痛くなったり怪我をしたりする場合は、骨盤が歪んでいて上手く使えなくなります。反対に、骨盤の向きが正常で上手く使えていると効率良く走れるようになるでしょう。
疲れやすい!
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先程は骨盤が左右に歪んでいる場合でしたが、骨盤は立体的なので前後の傾くこともあります。骨盤が後傾していると、かかとに体重がかかりやすくなり効率良く前に進めなくなります。常にブレーキがかかっている状態で走るため、スピードが出にくく疲れやすくなってしまうのです。
この状態でランニングを続けていると、余計な負担が脚に溜まってしまい、脚がつってしまったり、怪我しやすくなったりします。
骨盤が使えていない原因は筋肉にある?
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「骨盤=骨」なので、なかなか改善するのが難しいというイメージはありませんか?骨盤は体内にあり、簡単にいうと体の中で浮いています。これは、複数の筋肉によって支えられており、位置や傾きが決まっているのです。つまり、骨盤の周辺の筋肉の状態が良くなれば、骨盤の位置や傾きが整い、骨盤を使えた走りができるようになります。
反対に、この骨盤周辺の筋肉が衰えたり、使う機会が少なく凝り固まったりしていると、骨盤は歪んで上手く使えなくなってしまうのです。骨盤を意識した走りを取り入れるのであれば、骨盤周辺の筋肉を改善していく必要があります。
骨盤が使えるようになるとこんなメリットが
ランニングに適した骨盤は「前傾」しているといわれており、骨盤が前傾していることを「骨盤が使えている」と表現することも多いです。では、骨盤が上手く使えるようになるとどのようなメリットがあるのでしょうか。タイムを縮めるのに必要な要素なので、しっかりと押さえておくことがおすすめです。
ストライドが伸びる
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まず、骨盤が前傾して使えている状態になる、後傾していたり左右に歪んでいる状態よりも、脚の長さが正常になることで、悪い状態と比較するとストライドが伸びます。
ランナーの身長や競技レベルによって異なりますが、1分間のピッチは150歩から180歩になることが多いです。つまり、骨盤の状態が良くなり、ストライドが1cmでも伸びれば、1分間に150cmから180cmも多く進めるようになります。
ランニングエコノミーが向上する
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骨盤が前傾している状態だと、自然と重心の真下で接地できるようになります。もし、重心よりも前や後ろで接地してしまえば、力が上手く伝わらずランニングの効率は低くなってしまいます。
つまり、骨盤前傾しているとランニングエコノミーが向上し、今までと同じようなパフォーマンスでもタイムを縮めることができるのです。余談ですが、ケニアやエチオピアの選手は生まれながら骨盤が前傾しており、ランニングエコノミーが高いといわれています。
タイムを縮める!簡単骨盤強化トレーニング
骨盤の位置や傾きを決めているのは「筋肉」です。つまり、骨盤周辺の筋肉をトレーニングすることで、骨盤を有効に使えるようになります。
体幹を鍛えるトレーニングを取り入れよう
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骨盤に関係している筋肉の中でも特に重要なのが、腹筋や背筋などの体幹を鍛えることです。特に骨盤は、加齢に伴って後傾する傾向があります。これは体幹の筋肉が衰えることで内臓などを支えにくくなるので、内臓の位置が下がります。その内臓を受け止めるために、骨盤が後傾する傾向があります。
そこで、体幹を鍛えれば内臓をしっかりと支えられるようになり、骨盤を正しい位置に戻せるのです。
【骨盤に効く体幹トレーニング】
・クランチ(10回~×3セット)
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いわゆる「腹筋」運動。仰向けで横になり、膝を曲げ立てます。反動を付けず状態を持ち上げます。
ゆっくり行うことで腹直筋とその周囲にあるインナーマッスルを効果的に鍛えられます。
まずは10回3セットやってみると良いでしょう。慣れてきたら3セットできる回数に増やしていきます。
・プランク(1分~×3セット)
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プランクとは、うつ伏せになった状態で体を浮かし、前腕・肘・つま先の3点で支えます。お尻が上がり過ぎないように、背中から脚まで一直線になるような姿勢で行うのがポイントです。
腹筋を中心に体幹全体を鍛えられます。まずは1分程度行い、こちらも3セット行います。慣れてきたら少しずつ時間を伸ばしていきましょう。
※きつければ30秒でも構いません。
・レッグレイズ(10回~×3セット)
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レッグレイズとは、仰向けで横のなり、足を揃えて膝を曲げずに脚を持ち上げ、ゆっくり下げるというトレーニングです。持ち上げるときはもちろん、脚を下げるときにも体幹に負荷がかかるので効率良く鍛えられます。脚を下げるときは床につかないように注意してください。
クランチと同様に10回3セットから始めてみましょう。
股関節周りを柔らかくするストレッチも
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骨盤に関係しているのは体幹だけではありません。大臀筋などのお尻の筋肉や腰の筋肉、太ももの筋肉などが関係しています。このような股関節周辺の筋肉が凝り固まっていると、骨盤が引っ張られてしまい歪むのです。
つまり、股関節周辺の筋肉をストレッチして柔らかくすることで、骨盤の位置を正常に戻せます。骨盤は普段意識することは少ないですが、ランニング以外の影響も大きいので、空いている時間があれば、ストレッチするのがおすすめです。
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走る前に『ドリル』を取り入れよう!
骨盤に関係している体幹を鍛えつつ、股関節周辺の筋肉を柔らかくするトレーニングである「ドリル」を取り入れるのがおすすめです。陸上部出身の方であれば、ウォーミングアップのときにドリルを取り入れる人も多いですが、初心者の方にとっては分かりにくいトレーニングでしょう。ここからは骨盤を改善するドリルについて紹介します。
ドリルは動きづくりの基本!
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ドリルとは、正しいフォームで走るための動きづくりの基本動作のことです。解釈は個人やチームによって異なりますが、フォームを安定させたり、動的ストレッチとして実施していることが多いです。ドリルは1種類だけでなく、複数種類あるので股関節周辺に効くドリルをやるのがおすすめです。
例えば、大股で状態を低くして歩く「ランジウォーク」も、ドリルの1種です。このランジウォークは、太ももの後ろや股関節周辺の筋肉を柔らかくする効果があります。一般的にドリルはストレッチ効果が高いものから、スキップなど実際の走動作に近いものの順番に実施します。練習本番前にドリルを取り入れることで、フォームを意識しやすくなったり、体がほぐれて動きやすくなったりします。
他にも細かくスキップしてからダッシュをしたり、ラダーを使ったトレーニングもあります。
トレーニングにもなる!
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ドリルはウォーミングアップとして取り入れられることが多いですが、トレーニングにもなります。例えば、ランジウォークのような動作でも、ゆっくりやれば股関節周辺の筋肉を鍛えることになります。ランジウォーク以外にもハードルをまたぐ「ハードルウォーク」もおすすめです。ハードルがない場合でも、またげるものがあれば実施できます。
【筆者が学生時代に行っていたドリル一覧】
・脚上げ(縦・横・斜め)
脚を曲げずに大きく振り上げます。このとき振り上げる脚だけでなく、軸足の膝が曲がらないようにするのがポイントです。股関節周辺の筋肉のストレッチとして有効です。
両脚合わせて10回程度行い、そのあと軽く骨盤・股関節周辺を意識してダッシュをし、動きを確認します。
・ランジウォーク
体幹を意識して背筋を伸ばし、綺麗なフォームで10歩ほど行い、最後にダッシュします。
・ハードルウォーク
高さを一番下まで下げたハードルを10台用意し、もも上げ・股関節を意識しながらゆっくりまたいでいきます。自然とももが上がり、股関節周辺の筋肉をストレッチできます。
ハードルウォークは正面だけでなく、横・後ろも行うことで、バランス良く股関節周辺の筋肉を伸ばし、動きにキレが出るようになります。
ハードルウォークも10台分実施したら、ダッシュを入れて動きを確認します。
・もも上げスキップ
スキップのリズムでもも上げを行います。股関節を伸ばす種類のドリルを行った後に、ランニングに近い動きを取り入れて動きにキレを出します。ウォーミングアップでやるドリルの中でも仕上げになります。片脚10回ずつ両脚20回やり、最後はその動きの流れでダッシュをします。
普段から骨盤を意識して走ってみよう!
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普段の生活の中で骨盤を意識することは少ないため、初心者の方には難易度が高いですが、少しでも骨盤を意識してみるのがおすすめです。練習する前に骨盤周辺の筋肉をストレッチし、練習後は体幹トレーニングを行うと良いでしょう。普段から骨盤を意識して走ることも有効です。まずは、骨盤を使ったランニングのメリットを押さえてください。走る人であれば誰でもメリットを得られるので、ぜひ意識して走ってみましょう。
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