アイキャッチ画像出典:PIXTA
理想的なランニングフォームとは?
「自己ベストを出したい!」「もっと長く走りたい!」と考えている方であれば、ランニングフォームを良くすることが、その近道になるかもしれません。しかし、最近走り始めた初心者の方は、どのようなランニングフォームを目指せば良いのか迷ってしまいますよね。
実は、ランニングフォームは人それぞれで「正解」というものはありません。ただし、トップ選手や走り方が綺麗なランナーのランニングフォームや足の運びには共通点があります。まずは理想的なランニングフォームがどのようなものなのか紹介します。
腰高で、膝が曲がっていない
出典:PIXTA
走っているときに腰が高い位置にあると、地面に力が伝わりやすく、推進力を得やすいため「良いフォーム」とされています。腰が高い位置にあるということは、足が地面に接地するときに、「膝が伸びている」ということです。
反対に腰が落ちたフォームだと、膝や上体などが過度に屈曲してしまい、上半身と下半身が連動しないので、地面に力をしっかりと伝えられません。
重心の真下で接地している
出典:PIXTA
腰高のフォームで走っていても、足が重心の前で接地している場合、エネルギー効率が悪くなってしまいます。重心の真下で接地すると体重移動がスムーズになったり、体の上下動が抑えられたりなど、ランニングの効率が良くなります。
また、重心の真下で接地しているフォームは腰高のフォームになりやすく、地面に力を伝えやすくなります。
軸が安定している
出典:PIXTA
「軸が安定している=体のブレが少ない」と言えます。走っている最中のランナーを見たとき、トップ選手であるほど体が上下左右に揺れず、一定の姿勢を維持できています。
体のブレが少なくなることで、余計なエネルギー消費が抑えられるため、前進するために無駄なくエネルギーを使えます。
理想的なフォームで走るメリット
理想的なランニングフォームには、さまざまなメリットがあります。単純に速く走れるだけでなく、ランニングを長く行うための体づくりに繋がるので、ランニングを続けて行きたいと思っている方は、ぜひ押さえておきましょう。
同じ努力量で速く走れる
出典:PIXTA
ランニングフォームが改善されると、以前までと同じペース感覚で走っても、走るペースが速くなります。例えば、フォームを改善するだけで、いつもと同じ感覚で走っていても、1km当たりのペースが10秒以上速くなることもあります。
あくまで例え話ですが、普段1kmを4分20秒で走っていた人は、フォームを良くすることで、1kmのペースが4分10秒となり、マラソンでサブ3(3時間以内での完走)を達成できるのです。
疲れにくく長距離を走れる
出典:PIXTA
効率が良いフォームはエネルギー消費が少ないため、同じペースで走っても疲れにくくなります。疲れにくくなれば、今までよりも長く走れたり、練習量を増やしたりできます。フォーム改善により、今までのペースに余裕が出てきたら、設定ペースを速くすることもできるので、練習強度を上げて、さらに質の高いトレーニングを行えます。
また、マラソンの場合でも自分のペースを長く保ちやすくなるでしょう。
怪我の予防に繋がる
出典:PIXTA
長期的な計画通りにトレーニングをするためには、怪我をしないことが大事です。良いフォームは、肉体に余計な負荷を与えることが少なくなるので、怪我予防に繋がります。
反対に、悪いフォームだと、体の特定の箇所に負担が集中することが多く、痛みが出やすくなります。例えば、腰の位置が低いフォームで走っていると、足を接地したときに膝や腰にかかる負担が大きくなるので、怪我をしやすくなってしまうでしょう。
どうすればフォームを改善できる?意識したい8つのポイント
では、どうすればフォームは良くなるのでしょうか。ここからは、フォームを改善するためには何を意識すれば良いのか、8つのポイントを紹介します。
①「骨盤」の歪みを治し、腰を押すイメージで走る
出典:PIXTA
骨盤が歪んでいる(特に後傾している)と猫背になりやすく、上半身・下半身が連動しないため、効率が悪い走りになってしまいます。また、前傾しても反り腰になってしまうでしょう。
骨盤の位置は、ハムストリングス・腸腰筋・前ももの筋肉の硬さによって決まり、後傾している人はハムストリングスの筋肉が硬くなっています。普段から太もものストレッチを入念に行い、筋肉をほぐしすのが大切です。
走っているときは、骨盤を体の中心として意識し、骨盤を前に押すイメージを持ちましょう。
▼骨盤を意識した走り方についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考に!
②「背筋」を伸ばして猫背にならないようにする
出典:PIXTA
猫背になると重心の位置がズレてしまうため、走る力を地面に伝えにくくなってしまいます。さらに、猫背は腰に負担がかかりやすくなるので、腰痛になりやすいことも注意点です。
走るときは、腰が反り過ぎないように胸を張りましょう。ただし、力みすぎないように注意してください。
③「上半身」は力を入れずリラックスする
出典:PIXTA
上半身(特に手や腕)が力んでいると、動きが硬くなってしまいます。手に力を入れてグーにしてしまうと、上半身に力が入りやすく動きが悪くなりやすいです。手は軽く握るか、やや開いた状態を意識してください。
余計な力が入ってしまうと、無駄にエネルギーを使ってしまいます。ランニング中は、できるだけリラックスするように意識しましょう。
④「腕振り」は肘をしっかり引く
出典:PIXTA
ランニングで推進力を得るためには、腕をしっかり振ることが大事です。ただし、長距離を走るときに腕をぶんぶん振り回すと、逆効果になってしまいます。
無駄な力を使わないように、なるべくコンパクトにして「肘を引く」ように腕を振るようにしましょう。
⑤ペースを保つためには「腕振りでリズム」を取る
出典:PIXTA
長距離を走るときは、なるべく一定のペースで走ることが大切です。ペースを一定に保つときは、腕をリズミカルに振るようにしましょう。腕振りでリズムを取れば、ペースを保ちやすく、長い距離でも走りやすくなります。
⑥体重は母指球に乗せて地面を「押す」イメージで走る
出典:PIXTA
体重は母指球(親指の付け根のふくらみ)・小指の付け根・かかとで支えています。地面を蹴るときは母指球に体重を乗せて押すようにすると、体重移動がしやすくなり、前に進むためのエネルギーを効率良く地面に伝えられます。
⑦「目線」は走る方向の少し下にする
出典:PIXTA
目線を下げてしまうと、前傾してしまい猫背になりやすいので注意しましょう。そのため、走るときは前を向くことが基本です。しかし、真っすぐ前を見ると目から入る情報量が多いため、疲れやすくなってしまいます。また、同じペースで走っていても、前をしっかり見ている方がスピードを速く感じやすいです。
背中が丸まらないように前を見つつ、少しだけ目線を下げることでリラックスして走りやすくなります。
⑧1本の直線の上を走るイメージを持つ
作成:記助
走るときは、ガニ股になならないように1本の直線の上を走るイメージで走りましょう。1直線上を走ることで、自然とストライド(歩幅)が長くなるので、効率良く走れるようになります。
自分に合った走り方を見つけることも大事!
人によって身長や筋肉量、持久力など異なるため、ランニングフォームも変わってきます。理想的なランニングフォームを追求するためには、自分に合った『走り方』を見つけることも大切です。
ここからは、走り方の種類について、特徴やメリット・デメリットを紹介します。
『走法』を決める
出典:PIXTA
ランニングの走法には『ピッチ走法』と『ストライド走法』の2種類あります。
●ピッチ走法
「歩数」「足の回転数」を上げる走り方。体にかかる負担が少ないため、筋力がない方でも長い距離でも負担なく走れる。
ただし、スピードを出しにくく、運動量が増えるので慣れていない方は疲れやすい。
●ストライド走法
「歩幅」を大きくする走り方。1歩が大きくなることでスピードを出しやすいが、ただし、体にかかる負担が大きい。
ピッチとストライドをそれぞれ意識して走ってみて、自分に合った走法を見つけましょう。
『接地方法』を決める
出典:PIXTA
ランニングは接地する方法によっても走り方が異なります。接地方法には大きく分けて『フォアフット走法』『ミッドフット走法』『ヒールストライク走法』の3種類あります。
●フォアフット走法
前足部いわゆる「つま先立ち」で走るような走法。接地時間が短くブレーキがかからないのでスピードに乗りやすいのが特徴。
ただし、ふくらはぎの筋肉にかかる負荷が大きく疲れやすい。
●ミッドフット走法
足の裏(特に中足部を中心に)でフラットに接地する走法。地面の反発をもらいやすいので推進力が生まれやすい。
フォアフット走法よりもスピードは出ませんがバランスが良い走法。
●ヒールストライク走法
かかとから接地する走法。衝撃を吸収・分散して進むので脚が疲れにくいのが特徴で、長距離ランニングとの相性が良い。ただし、接地時間が長くブレーキがかかるのでスピードは出にくい。
接地方法は走るペースによって変わる方も多くいます。例えば、スピード練習はフォアフットで、持久走はヒールストライクなど。
状況によって接地方法を変えても問題ないため、「そのとき」に最適な走り方を意識することも大切です。
▼ランニング時の足の接地についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考に!
併せてやっておきたい!フォーム改善に役立つトレーニング
ランニング中にポイントを意識するだけでなく、トレーニングによってもフォームを改善できます。ここからは、フォーム改善に役立つトレーニングを紹介します。
体幹を鍛える
出典:PIXTA
体幹の筋肉である腹筋や背筋を鍛えると姿勢が良くなり、軸が安定していきます。特にマラソンなどで長時間走るときは、後半の疲れによってフォームが崩れることが多いです。日頃から体幹を鍛えておくことにより、最後まで安定したフォームで走れるようになります。
体幹の中でも、特に腹筋の重要度が大きいので、積極的に鍛えるようにしましょう。
▼「腹筋」のトレーニング方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
体の可動域を広げる
出典:PIXTA
股関節周辺の筋肉をほぐし柔らかくすると、ストライドが伸びやすくなります。また、肩甲骨付近の筋肉が柔らかくなると、腕振りをしやすくなるでしょう。
可動域が広くなると、走りに余裕が出て、ストライドも大きくなり、フォームの改善が期待できます。
▼ランニングの前後に行うと効果的な「ストレッチ」については、こちらの記事を参考に!
理想のフォームを真似してみる
出典:PIXTA
普段ランニングをしているときに、理想のフォームの選手をイメージしてみるのも効果的です。例えば、陸上界のトップ選手の映像を見てから走ると、フォームが少し良くなることが多いです。
走っているときにフォームを真似してみたり、イメージしてみたりすると、理想的なフォームに近づきます。このとき、鏡やガラスに映る自分の姿、影などで自分のフォームをチェックするのも良いですよ。
選手の走る映像は、You Tubeなどの動画サイトでも確認できますが、お正月に開催されている箱根駅伝は、トップランナーの走りを長い時間チェックできるチャンスです。順位だけでなく、「選手がどんなフォームで走っているのか」という視点で観戦してみるのも面白いですね。
また、同様の理由で、フォームが綺麗な人の後ろで走ることも、フォーム改善の近道になります。
綺麗なランニングフォームを手に入れてタイムを縮めよう!
出典:PIXTA
ランニングフォームを改善するポイントはいくつもあります。全てを一度に変えるのは難しいので、「今日はこのポイントを意識して走る」というように、少しずつ取り組んでいくと良いでしょう。フォームの改善は怪我予防にも繋がるので、タイムを追わない方にとっても重要です。
ただし、ランニングのフォームは、意識してすぐに変わるものではありません。日々のランニングでポイントを意識し、無意識下でもできるようになるまで取り入れましょう。焦らず、じっくり体に馴染ませていくのが大切ですよ。