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ランニングエコノミーとは?なんで重要なの?
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ランニングエコノミーとは英語だと「Running Economy」と書き、「ランニングの経済性」という意味です。つまり「どれだけ効率良く走れているか」ということです。
例えば、日本代表選手と初心者のランニングフォームを比較すると分かりやすいでしょう。実力がある選手は上下左右のブレが少なく、省エネなフォームをしています。初心者と比較すると、同じエネルギーでも進んでいる距離が長くなったり、スピードが速くなります。
陸上競技全般にランニングエコノミーは重要ですが、マラソンなど距離が長くなるにつれてランニングエコノミーの差が顕著に現れます。普段の練習の中でも、ランニングエコノミーを向上する練習を行うのがおすすめです。ランニングエコノミーが向上すれば、タイムを大幅に縮めるだけでなくマラソン後半の失速を抑えるなど、メリットは多くあります。
ランニングエコノミーは、大きく3種の要素がある
ランニングエコノミーを構成する要素は大きく分けて3種類あるため、どのようなものがあるか紹介します。
ランニングのフォーム(技術)
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ランニングエコノミーの中で最も分かりやすいのが「ランニングフォーム」です。トラック・ロード種目の中でも技術面に該当する要素であり、当然ですがフォームが良くなればパフォーマンスは向上します。
仮に同じ実力の選手がいても、ランニングフォームが良い方がタイムを出しやすくなるため、ランニング効率が高いといえます。他の要素と比較しても、目で見ることができ判断できるので、ランニングエコノミーの要素の中でも重要視されています。
筋肉・循環器・神経の連動(体の使い方など)
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2つ目の要素は肉体的な能力です。主に筋肉・循環器・神経との連動などによるフィジカルな要素であり、それぞれの能力が高いことでランニングの効率は高まります。筋肉のパフォーマンスが良ければランニングの効率は高まり、より多くの酸素を取り込んで体に送り込めれば長時間の運動を行いやすくなります。神経と全身が上手く連動していれば、無駄がない動きでスムーズに体を動かせます。
これらの要素を測定するためには専門的な道具が必要ですが、普段のトレーニングではそれぞれの能力を高める努力が必要です。
エネルギー代謝の効率
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筋肉のパフォーマンス要素に大きく関わっているのが「エネルギー代謝の効率」です。主に、筋肉中に蓄積した乳酸を分解して利用する能力のことであり、エネルギーを再利用できる点と、乳酸を分解してパフォーマンスを下げない点から、ランニング効率に大きく関わっています。
もちろん筋肉が発揮するパワーや持久力などもランニングエコノミーに大きく関わっています。
ランニングエコノミーが悪い代表例
ランニングエコノミーの中でもランニングフォームは見て分かるので改善しやすいです。では、どのようなフォームだとランニングエコノミーが悪いのでしょうか。
腰が落ちた走り
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代表的な例は腰が落ちた走りです。腰が落ちていると脚を効率良く利用できないため、スピードが出しにくいだけでなく、余計な負荷をかけるため筋肉の持久力も低くなりやすいです。さらに、腰や膝にかかる負担が大きいため、膝痛・腰痛にも繋がるリスクがあります。
原因は体幹の弱さ
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腰が落ちたフォームの原因はいくつか考えられますが、体幹が弱いことが主な原因です。体幹は体を支える役割があり、弱いと上半身をしっかりと固定できなくなります。さらに、骨盤が後傾しやすくなることで、腰の位置が低くなります。
体幹を鍛えることが重要!
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このようなランニングフォームを改善するためには、原因である体幹を鍛えるのが手っ取り早いです。普段のトレーニング後に腹筋や背筋を鍛えるだけでなく、走るときもお腹に力を入れて体に軸を作るつもりで走ると良いでしょう。
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ランニングエコノミーを改善するトレーニング
具体的にランニングエコノミーを改善するためのトレーニングを紹介します。
スピードトレーニング
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スピードトレーニングは、基本的にレースよりも速いスピードで走るため、普段よりも大きなフォームになります。スピードを出すためには効率が良い走りが求められるため、スピード練習を行っている内に、体が自然と効率が良いフォームに向かっていきます。
また、全力に近いスピードで走るレペティショントレーニングは、乳酸が出た状態で走るため、練習を重ねることで耐乳酸能力が身につき、筋肉のパフォーマンスが向上します。
さらに、速いスピードのインターバルトレーニングは、乳酸を分解する能力(乳酸除去能力)の向上が期待できるため、レペティションとインターバルを上手く練習メニューに加えることで、ランニングエコノミーが向上します。
筋力トレーニング
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マラソンなど長距離種目の場合は、筋肉を大きくして生み出すパワーではなく、より多くの筋肉を動員して生み出すパワーが求められます。筋トレを行うときは、ウェイトを重くするのではなく軽い重さで回数を多くすると良いでしょう。また、3セットから5セットすることで、筋肉の動員率が増えていきます。
全身の筋肉をバランス良く鍛えることが大切ですが、ランニングエコノミーを改善するのであれば、スクワットやランジなどの種目がおすすめです。
スクワットはハムストリングスや大腿四頭筋などランニングで使われる割合が大きい筋肉を鍛えられます。ランジは股関節周辺のインナーマッスルを鍛えることで、骨盤を前傾にし腰が落ちたフォームの改善に繋がります。
神経系トレーニング
ランニングエコノミーを向上させるには、ランニングや筋トレだけでなく神経系トレーニングを行うことも大切です。神経系トレーニングは脳からの指令を体で表現しやすくするために行います。
繰り返しトレーニングすることで、動きのキレが良くなったり無駄な動きが減ったりなど、ランニングエコノミーの向上に繋がります。普段と違ったスポーツを行うことで鍛えられますが、縄跳びやラダートレーニングも有効です。
ラダートレーニングははしご状のロープを使い、ステップを踏むトレーニングで、なるべく複雑な動きを入れるのがおすすめです。下の図は「パラレル」という種類のトレーニングであり、ランニングの動きを良くする効果があります。
作成:記助
ITEM
PKDREAMER トレーニングラダー
●全長約5m
●約500cm×43cm
トレーニング以外にもランニングエコノミーは改善できる!
工夫次第でトレーニング以外でランニングエコノミーを向上できるので、その方法を紹介します。
走っている自分の姿を見る
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一流の人でも行っているのが、ジョグの途中でガラスに反射した自分の姿を見てフォームを確認するという方法です。良い姿勢で走っていると思っていても、実際は猫背になっていたりするので、都度確認して修正すると良いでしょう。
ほかにも自分の影もフォームを確認できます。協力者がいればスマホなどでフォームを撮影してもらい、自分のフォームを確認・修正するのがおすすめです。
イメージトレーニングする
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ランニングフォームを改善するにはイメージトレーニングも有効です。走るときは良いフォームの人をイメージしたり、世界陸上や箱根駅伝などトップ選手の動きを見たりするのがおすすめです。
好きな選手の真似をしてみるのも良いでしょう。速い選手と練習できる機会があれば、すぐ後ろを走り、どのようなフォームなのか特徴を捉えるのも有効です。
ランニングエコノミーを高めてパフォーマンスをアップさせよう!
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ランニングエコノミーはタイムを追い求める人にとっては無視できない要素です。もし短期間でタイムを縮めたい場合は、ランニングエコノミーを意識してトレーニングすると良いでしょう。まずは自身のランニングを見直して、悪いところを改善するのがおすすめです。トレーニング次第では短期間でパフォーマンス向上を実現できます。
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