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インナーマッスルって何?どこの筋肉?
トレーニング経験者からトレーニングを始めたばかりの方まで、1度は聞いたことがある「インナーマッスル」。インナーマッスルを鍛えることは大切だと聞くけれど、具体的にはよくわからないという人が多いかもしれません。一体どのようなものなのでしょうか?
身体の「内側」にある筋肉
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「inner muscle」を直訳すると「内側の筋肉」となります。インナーマッスルは、一つの筋肉のことではなく、身体の中心部に近い筋肉の総称です。「深層筋」とも呼ばれ、文字通り、深いところにある筋肉を指します。つまり、インナーマッスルは、私たちが直接触れることは出来ない筋肉なのです。
インナーマッスル=お腹?
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インナーマッスルと聞くとお腹周りの筋肉をイメージする人も多いのでは?実は、インナーマッスルはお腹だけではなく、全身に存在します。肩周辺や下半身の深層部にあり、姿勢を支えている筋肉のことをインナーマッスルといいます。
肩甲骨をイメージしてみましょう。肩甲骨は浮いているような状態で、インナーマッスルによって支えられています。深層部でしっかりと肩甲骨を支えてくれているからこそ、スムーズに動かすことが出来ます。
アウターマッスルとの違い
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インナーマッスルは深いところにある「深層筋」、アウターマッスルは表面にある「表層筋」と呼ばれます。
インナーマッスルは、主に姿勢を支える筋肉が多いので、遅筋といい、ゆっくりと働きます。一方、アウターマッスルは動作を担う筋肉なので、速筋といい、素早く動くことが特徴です。
どちらか一方だけが発達するよりも、どちらも使えることが必要不可欠!
お腹だけではない!全身のインナーマッスルを知ろう
身体の深部から支えてくれているインナーマッスル。具体的にはどのような筋肉があるのでしょうか?肩や腹部など、全身のインナーマッスルについて簡単に紹介します。
肩のインナーマッスル
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肩のインナーマッスルは「ローテーターカフ」と呼ばれます。ローテーターカフは、肩甲骨を後方から支える「棘上筋(きょくじょうきん)」「棘下筋(きょくかきん)」「小円筋(しょうえんきん)」と前方から支える「肩甲下筋(けんこうかきん)」の4つの筋肉から構成されています。
肩の関節は「球関節」といい、写真のように球状の上腕骨が肩甲骨にカポッとはまっている状態です。それにより、様々な方向へ動かすことが出来ます。一方、様々な方向に動くからこそ、不安定な関節とも言えます。この不安定さを支える役目を担っているのが、ローテーターカフです。
体幹部のインナーマッスル
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体幹部のインナーマッスルは「パワーハウス」や「インナーユニット」などと呼ばれることが多いです。
写真上部の「横隔膜」、コルセットのようにお腹を横から覆っている「腹横筋」、背骨の後ろ側を支えている「多裂筋」、骨盤を下からハンモックのように支えている「骨盤底筋群」の4つから構成されています。
これらの筋肉は、呼吸をするときに働きます。衰えてしまうと呼吸が浅くなり、肋骨周りが硬くなることで姿勢が崩れてしまいます。
股関節のインナーマッスル
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股関節周りのインナーマッスルの代表的な筋肉は「腸腰筋」です。背骨から大腿骨に付いている「大腰筋」と骨盤のチョウチョのような形の部分である腸骨に着いている「腸骨筋」の2つを合わせて「腸腰筋」と言います。足を持ち上げる動作などで力を発揮する筋肉です。
また、お尻周りのインナーマッスルは深層外旋六筋、小臀筋などが挙げられます。深層外旋六筋も小臀筋も、股関節を外に開く時に働きます。衰えてしまうと、股関節やお尻が上手く働かずに、太ももが頑張りすぎてしまいガチガチに硬くなる原因の一つになります。
鍛えることで感じられる!5つのメリット
では、これらのインナーマッスルを鍛えることで、身体にはどのような変化が現れるのでしょうか?そのメリットを見てみましょう。
1.機能的に身体が動くようになる
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家をイメージしてみましょう。家の土台や柱の中身がスカスカな構造と中身が詰まっている構造では、どちらの方が強い作りだと感じますか?もちろん、中身が詰まっている家が頑丈で強度が高いですよね。
身体にも同じことが言えます。インナーマッスルが弱く、アウターマッスルのみが強い状態だと外からの衝撃に耐えることが出来ません。そうすると、動ける範囲でのみ動こうとしてしまい、本来の機能性を失ってしまいます。内側から強くすることで、バランスが整い、機能的な身体に近づいていきます。
2.メリハリボディに近づける
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インナーマッスルが働くことにより、筋トレ中の姿勢の保持がしやすくなります。その結果、筋肉を正しい範囲で正しく使うことが出来るので、筋トレの成果を実感しやすくなります。
インナーマッスルを鍛えることは、筋肉を大きくしたい、引き締めたいなどの目標に近づく為の近道になるでしょう。
3.姿勢が良くなる
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長時間同じ姿勢で疲れた経験はありませんか?その原因の1つにインナーマッスルが弱くなっていることが考えられます。内側から支えてくれるインナーマッスルを強化することで、綺麗な姿勢を維持することが出来ますよ。
4.内臓の位置が整い、代謝アップ
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筋肉の衰え等による姿勢不良で肩が内側に入り、背中が丸まると、内臓の位置を下げてしまいます。その結果、内臓が本来の働きが出来なくなったり、代謝が落ちてしまうことも。
内臓は正しい位置で動くことによって、体温を保持してくれたり、基礎代謝(何もしていなくても消費されるカロリー)の向上にも繋がります。
5.肩こりや腰痛などの痛みの軽減
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肩こりや腰痛などの慢性的な痛みの原因の大半は、筋肉だと言われています。特に、肩や腰周りは、体の安定に必要な部位なので、インナーマッスルの弱化により不安定な状態になると、必要以上に筋肉が硬まった状態になり、痛みに繋がります。
インナーマッスルを強化することで、このような痛みを緩和しやすくなるでしょう。
【トレーナーおすすめ】インナーマッスルトレーニング5選
トレーナーおすすめのインナーマッスルトレーニングを部位ごとにご紹介します。全て低負荷・高回数にて実施しましょう。目安は20~30回、キープするトレーニングは10~30秒からスタートしてみましょう。
【全身】フォバー
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〈ターゲット〉腹部を中心とした全身
手順
- 四つん這いの姿勢から肩の真下に肘を置き足を伸ばす
- 頭から踵まで一直線の状態を作る
- 呼吸を止めずに10秒~キープする
〈ポイント〉
お尻が上がりすぎてしまったり、頭が落ちると姿勢が崩れ、腹部の力が抜けてしまうので、一直線の姿勢を意識しましょう!姿勢の保持が難しい場合は、膝付きで頭から膝までを一直線でキープしてもOK!
慣れてきたら「スライドボード」を活用し、交互に足を動かしながら行うと更に強度が上がりますよ!
ITEM
バランスワン スライドボード
●素材:表面/PP 裏面/PVC ストッパー/PP
●サイズ:180×50cm
●カラー:ブラック
【全身】バランストレーニング
〈ターゲット〉腹部を中心とした全身
手順
- バランスボードの上に両足で立つ(不安な場合は壁などの近くで)
- バランスを取る
- 慣れてきたら片脚を浮かせたり、手を肩の高さで開き前と後ろへ動かす
〈ポイント〉
乗っているだけで、全身の筋肉を刺激出来るバランスボード。続けていくと身体が慣れてくるので、手順3のように手足を動かした状態でバランスを取ってみましょう。
ITEM
EVERYMILE バランスボード
●素材:-
●サイズ:直径40㎝・高低差10cm
●カラー:グリーン・レッド・グレー・ブルー
【肩】エンプティカンエクササイズ
撮影:m_fitness
〈ターゲット〉ローテーターカフ
手順
- 立位で両手は身体から20°ほど前方にセットする
- 親指を内側に入れるように手を捻る
- 小指から持ち上げる
〈ポイント〉
エンプティカンという名前の通り、空き缶を飲み口を下にして持ち上げるようなイメージで行います。肩がすくむほど上げてしまうとアウターマッスルに力が入りますので、肩がすくむ手前までで動作を繰り返します。
【肩】エクスターナルローテーション
撮影:m_fitness
〈ターゲット〉ローテーターカフ
手順
- 横向きで寝て、膝を90°に曲げる
- 何も持たない又はペットボトルなどの軽めの重りを持つ
- 肘を支点に胴体のラインまで持ち上げる(写真は途中です)
- 元の位置へ戻し、繰り返す
〈ポイント〉
1㎏~5㎏ほどの軽めの重さ、もしくは何も持たずに行っても効果があります。身近な物だとペットボトルが使いやすいですよ。持ち上げた際に身体が倒れていかないよう、胴体より後ろには倒さずに行いましょう。
【腹部】ドローイン
出典:PIXTA
〈ターゲット〉腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋群
手順
- 仰向けに寝て、膝を90°に曲げ、両手をおへそに添える
- 鼻から息を吸い、お腹を風船のように膨らませる
- 口から吐き出し、お腹をヘコませる
- 上記の呼吸を繰り返す
- 何回か行った後、息を吐ききったところでストップ
- お腹をヘコませたまま、吸って吐いてを繰り返す
〈ポイント〉
5~6の呼吸が非常に重要です!お腹の力を抜かないようにして呼吸を行ってみましょう。
最初は上手く出来なくても大丈夫。徐々に呼吸による筋肉が働いてくれますよ。
ITEM
DABADA ヨガマット
●素材:NBR(ニトリルゴム)
●サイズ:1800×600×15mm
●カラー:ブラック・ピンク・パープル・ブルー
【股関節】ニートゥエルボー
撮影:m_fitness
〈ターゲット〉腸腰筋、腹部深層筋
手順
- まっすぐ正面を見るように背筋を伸ばす
- 右の肘と左の膝を近づけるように引き寄せる
- 肘と膝を引き離す
- 反対側も同様に行う
〈ポイント〉
肘と膝を近づける際、背中が丸まらないよう、背筋を伸ばしたまま近づけます。無理に肘と膝をくっつけようとして姿勢が崩れてしまう場合は、姿勢を保持出来る動作の範囲で行いましょう。
【股関節】クラムシェル
撮影:m_fitness
〈ターゲット〉深層外旋六筋、小臀筋
手順
- 横向きに寝て、膝を90°に曲げる
- 足首を付けたまま、膝を上に開く
- 元の位置に戻し、動作を繰り返す
〈ポイント〉
膝を開く際、骨盤が一緒に動かないよう、おへその位置をキープしながら動作を行うとGOOD!お尻を使っている感覚が分かりづらい時には、手でお尻に触れながら行うと意識がしやすくなりますよ。
ITEM
NISHI ミニバンド プレトレーニング
●素材:ラテックス
●サイズ:幅50×円周515mm
●カラー:グリーン
インナーマッスル・トレーニング効果をアップさせるコツ
アウターマッスルを鍛える時は、重りを上げるなど、大きく動かす動作がほとんど。では、インナーマッスルの鍛え方は・・・?ポイントをチェックしていきましょう。
低負荷・高回数で
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深層部にあるインナーマッスルは、アウターマッスルに比べて小さく弱い筋肉なので、ヘトヘトになるほど重さをかけなくてOK!低負荷でじっくりと効かせることがインナーマッスルを鍛えるコツです。
また、筋肉を大きくする筋肥大の回数は8~12回と言われることが多いですが、インナーマッスルの強化には20~30回と多めの回数で行うと効果的ですよ。
使用部位を意識して
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人間は、頭で考えている部位に力が入りやすいことがわかっており、これを意識性の原則と言います。
例えば、肩のインナーマッスルを鍛えている時には、今どこの筋肉を鍛えようとしているのか実際にイメージしながら行うことで、トレーニングの効果を高めることができます。
トレーニングを行う際には、その目的や鍛えている部位を意識しながら行ってみましょう。
毎日行ってもOK
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インナーマッスルのトレーニングは低負荷で行うので、筋肉痛は起こりづらいでしょう。そのため、毎日や1日おきなどの高頻度で行ってOK!偶数の日や特定の曜日など、続けやすいように決めてあげると、高頻度で行う癖が付きますよ!
続けることで身体に変化を起こそう!
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インナーマッスルへの理解は深まりましたか?お腹以外にも存在する筋肉なので、まずはコツコツじわじわと、繰り返し行い、自身の身体の変化を感じてみてくださいね!
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