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距離走ってどんな練習?
「距離走」というトレーニングを聞いたことがありますか?マラソンの練習に取り組んでいるランナーであれば、練習名を知らなくても近い練習を行っている方は多いかもしれません。マラソンの練習をするときは、その練習内容や目的をしっかり把握しておくことで、より効率的にトレーニングができます。まずは、距離走とはどのような練習なのか紹介していきます。
「長い距離」を走る練習の総称(目安は20~30km)
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「距離走」は名前の通り、長距離を走る練習の総称で、「ロング走」とも呼ばれます。ランナーのレベルや目的によって走る距離は変わりますが、マラソンランナーの場合は、20~30kmほどの距離を走る練習を「距離走」と呼ぶことが多いです。
トップ選手は40km以上走ることもありますが、40kmは「40km走」、それ以上は「超距離走」と呼んで区別することが多いです。
ロングジョグとの違いは「走るペース」
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ロングジョグやLSDでも、20km以上の距離を走ることがありますよね。では、ロングジョグと距離走の違いはどのような点なのでしょうか。
距離走とロングジョグの大きな違いは「走るペース」です。通常のジョグの場合、走るペースはゆっくりで息が切れないほどの強度で走ることが多いでしょう。
一方、距離走では、マラソン本番のペースより少し遅いペース(1kmあたり+20~30秒ほど)で走ります。普段のジョグやLSDなどと比較すると「少し速く走る」ことになります。
【走るペースの目安】
●サブ5ペース(7分06秒/km)なら1km7分20秒前後
●サブ4ペース(5分40秒/km)なら1km6分前後
●サブ3.5ペース(4分58秒/km)なら1km5分20秒
●サブ3ペース(4分15秒/km)なら1km4分40秒前後
マラソンランナーの代表的な練習の1つ
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距離走は持久力・スタミナを養成する練習であり、マラソン本番に近い距離なので、マラソンランナーの定番の練習です。実際に練習効果は高く、マラソンの完走や目標タイムで走れるかどうか判断する材料になります。
例えば、初めてマラソン大会に出る場合でも、事前に距離走をコンスタントに消化できていれば完走できる可能性は高くなるでしょう。
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距離走はメリットが多い!得られる5つの効果
距離走は長距離選手にとって効果が高い練習です。ここからは、なぜ距離走を行った方が良いのか、得られる効果について紹介します。
1. 心肺機能が向上する
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心肺機能を高めるためには、心肺に持続して刺激を入れる必要があります。距離走の場合、ジョグよりも速いペースで長時間走るので持久力が向上しやすい練習です。
また、距離走は心臓の筋肉が強化されるだけでなく、全身の毛細血管も発達する効果もあるので、全身に酸素を供給する能力も高まります。
2. マラソン向けの脚が鍛えられる
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長時間ランニングをすることで心肺機能だけでなく、全身の筋肉を鍛えられます。特に、脚の筋肉は絶えず地面から衝撃を受けているため、大きな負担がかかりますが、その分下半身を鍛えるトレーニングになります。
距離走を行うことで、長い距離でも脚が痛くならずに走れるような強靭な下半身の養成に繋がります。
3. 脂質代謝能力が向上する
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通常、ランニングをしているときは、速いペースでは「糖質」、ゆっくりなペースでは「脂質」が使われやすくなります。
体内に貯められる糖質の量は限られています。マラソン本番でエネルギー切れを起こさないようにするためには、主エネルギー源である糖を節約して、どれだけ脂質をエネルギーにできるかがポイントになります。
距離走では、脂肪を分解してエネルギーを取り出せるペースで長時間走ります。これを続けることで、脂肪をエネルギーに変換しやすい体質(脂質代謝が良い体質)に変化していきます。
4. 無駄のないフォームが身につく
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距離走のペースはそこまで速くありませんが、長時間走るので後半になると体は疲れてきます。その状態でペースをキープしようとすると、体は自然と無駄な動きをしなくなり、省エネのマラソンに適したフォームになりやすいです。
このときの感覚を意識して普段から走るようになれば、無意識下でも効率が良いフォームで走れるので、定期的に距離走を行うことはフォーム改善にも繋がります。
5. 長距離を走る自信がつく
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マラソンでは40km以上の長い距離を走ります。「最後まで走り切れるか?」「終盤失速しないか?」など、誰でも不安になりやすいでしょう。
そこで、本番に近い距離走を行い、設定したペースで完了できれば自信に繋がります。マラソンは精神面の影響を受けやすいスポーツなので、自信がある状態で本番に臨めば、良いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
体への負担が大きい!距離走を実施するときの注意点
距離走は通常よりも長い距離を走るので、体への負担も大きくなります。ケガなく安全に距離走を行うためにも、どのような注意点があるのか紹介します。
水分補給は小まめに行おう
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距離走では、走行時間が2時間以上になることも多いです。ランニング中の発汗量は多く、呼吸からも水分は失われるので、水分は小まめに摂るようにしましょう。夏場はもちろんですが、冬場でもしばらく走っていると暑くなり、汗が多く出るので脱水のリスクが高いです。
夏場は熱中症対策を万全に!
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夏場の距離走は熱中症リスクが非常に高いので特に注意が必要です。次のような工夫をして少しでも安全に走れるようにしましょう。
・涼しい時間を走る
・帽子をかぶる
・涼しい季節よりも距離を短くする
また、一周1~2kmほどの周回コースで実施するのも熱中症対策の1つの手段です。周回コースであれば「危ない」と感じてリタイアしてもすぐにスタート地点に戻れます。
エネルギー切れ対策も行おう
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距離走ではマラソン本番に近い距離を走るため、コンディションによっては体内のエネルギーがなくなってしまい、走れなくなったり、体調が悪くなったりすることがあります。
私自身、以前に体重を調整しようとして、炭水化物を制限してあまり摂らずに距離走(30km)を実施したことがありました。朝の時間帯は脂質が多く使われ、朝食を摂らずに走れば体内の脂質が優先的に使われるからです。その日は体が軽く感じ調子が良かったので、想定したペースよりも速く走ってしまいました。中盤までは心地良く走れましたが、23kmを超えたくらいから体に力が入らなくなり、ふらつきを感じたのです。これは危ないと感じ、途中で練習を切り上げることにしました。
このようにその日のコンディションや走るペースによっては、エネルギー切れを起こすこともあるので注意してください。
レース前は実施回数を調整しよう
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距離走は体に与えるダメージが大きいです。ペースを抑えてゆっくり走ったとしても、脚への衝撃が長時間続くので確実にダメージが蓄積されます。
レース前に実施すると自信に繋がりますが、本番に疲労が残ってしまう可能性もあります。通常時は多くても週1本(月に2~4回)程度、レース前は2週間前までを目安に実施するようにしましょう。
距離走を行ってマラソン向きの体づくりを!
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距離走はマラソンなどの長距離種目に適した練習です。心肺能力の向上、下半身の筋肉の養成、脂質代謝の向上、フォーム改善、自信がつくなど、たくさんの効果が期待できるでしょう。
しかし、長い時間走ることには危険も伴うため、自分の体のコンディションを意識しながら走ることも大切です。距離走を普段の練習に組み込み、マラソンの目標達成を目指しましょう。