人類最強の「走る民族」から生まれたルナサンダルとは
ルナサンダルは、「人類最強の走る民族」と言われたメキシコ奥地の先住民族であるタラウマラ族の手作りサンダル、ワラーチにインスパイアされて生まれました。
ルナサンダルのオリジナル「ワラーチ」
ルナサンダルのもととなった「ワラーチ」(「ワラッチ」とも)は、メキシコの先住民族タラウマラ族が履いているサンダルです。自動車の古タイヤをソールにして革紐を通して足首に巻いただけのシンプルなサンダルですが、タラウマラ族はこのワラーチを履いて日常的に100km以上の長距離を走るというから驚かされます。
ルナサンダルの創業者、テッド・マクドナルド氏(別名、「裸足のテッド」:画像の男性)は、長年足の故障に悩まされていました。しかし、ワラーチに出会うことで、その悩みが全て解消するという体験をしています。
ワラーチに感銘を受けたテッド氏が、ワラーチ作りの名人であるタラウマラ族のマニュエル・ルナ氏に作り方や、彼らの走る哲学について学び、その知恵を活かして作り上げたのがルナサンダルです。
テッド氏は、ブランドの立ち上げにあたり、師匠であるマニュエル・ルナ氏に敬意を表してブランド名としました。
ソールとベルトだけのシンプルな構成
ワラーチにインスパイアされただけあって、ルナサンダルはソール一枚とベルトだけの非常にシンプルな構成です。オリジナルのワラーチは革紐でしたが、ルナサンダルは調整や脱ぎ履きがしやすいベルト仕様となっているのが特徴です。
ポイントとなるソールの素材ですが、オリジナルに敬意を表したタイヤを再利用したものや、悪路でもしっかり路面をしっかりグリップできるでこぼこのついたビブラム仕様のものなどがラインナップされています。
ルナサンダルで走りはどう変わる?
より裸足に近い走り(ベアフットラン)を実現できると言われるルナサンダルで走りはどう変わるのでしょうか。
着地がスムーズになる
もともとルナサンダルは、創始者のテッド・マクドナルド氏がランニングによる故障で悩んでいた時に、ランニングシューズを捨てて裸足で走り出すことで、長年の痛みから開放されたというエピソードがきっかけで誕生しました。
厚底のランニングシューズと違って、ルナサンダルだと地面からの衝撃がほぼ直接伝わってくるので、自然と衝撃の少ない走り方を選ぶようになるのです。具体的にはかかと着地(ヒールストライク)から、衝撃の少ないつま先着地へと変わります。
また、ストライドも狭くなり、着地の衝撃を推進力に変えるような走り方から、足をそっと地面にタッチするようなフォームになります。
体幹を意識して走るようになる
着地をスムーズに行うためには上半身の動きも重要です。上半身がぐらぐらと動いていたら、いかに慎重に足運びをしていても、安定した着地は望めません。
ルナサンダルを履いて自然に走るためには、否でも応でも体幹の筋肉を意識して使う必要があるのです。
まずはウォーキングから
ルナサンダルを履いたトレーニングにはデメリットもあります。当然ながら、普通のランニングシューズよりも身体への負荷は高いので、いきなり普段どおりのトレーニングを行おうとすると怪我や故障のリスクが高くなります。
履き始めの段階では無理をせず、ウォーキングや軽いジョグで足を慣らすようにしましょう。走る場所も硬いアスファルトのロードではなく、芝生や土の上がおすすめです。
【ルナサンダルの選び方①】ソールが大事!
通常のランニングシューズと違ってルナサンダルは非常にシンプルです。選ぶときにはまずソールをチェックしてみましょう。代表的なモデル別にソールの特徴を紹介していきます。
入門に最適!ビブラムソールの「モノウィングドエディション」
ルナサンダルの中でも最も厚い(とはいえ、通常のランニングシューズに比べれば十分以上に薄い)ビブラムソールを採用したのが「モノウィングドエディション(Mono Winged Edition)」です。
クッション性もあり、悪路にも強いビブラムソールはさまざまな地形・場所にも対応可能です。サンダルに興味はあるけれど、故障が怖くて・・・という方の最初の一足には最適でしょう。
ITEM
モノウィングドエディション(Mono WingedEdition)
●重量:167g (men's size 9)
●ソールの厚さ:ベース11mm + ラグ4mm
●ソールのタイプ:ビブラムモアフレックス
●フットベッドのタイプ:MGT (Monkey Grip Technology)
原型にもっとも近い、タイヤを再生したソールの「オリジン・フラコ」
もともとのルーツであるタラウマラ族のワラーチは、古いタイヤのゴムをソールに再利用したサンダルでした。ルナサンダルでもその伝統を受け継ぎ、ゴムタイヤをベースにした「Upcycled Tire Outsole」を使用したモデルが用意されています。
もっとも裸足に近い状態のサンダルですが、もともとの素材がタイヤということもあり、グリップ力の高さはあなどれません。他のソールに比べるとより上級者向きといえますが、フットベッド(足を乗せる部分)のカラーは上品なサンドベージュで、ちょっとおしゃれな普段履きとしても活躍しそうです。
ITEM
オリジン フラコ (Origen Flaco)
●重量:235g(men's size 9)
●ソールの厚さ:10mm
●ソールの素材:Upcycled Tire Outsole
●フットベットの素材:Veggie Tanned Leather
シリーズ最軽量!「ベナード2.0」
シリーズ中で最軽量、ソールも9mmの薄さを誇るのが「ベナード2.0」です。ビブラムソールですが、モノウィングドエディションに比べればソールはフラットなので、トレイルよりもロード寄りのつくりとなっています。
122gと軽量で薄くコンパクト、常にザックの中に入れておいて、気軽に履き替えて使いたくなる一足ですね。
ちなみに、「Venado」はスペイン語で「鹿」です。このサンダルを履いてトレーニングすれば、鹿のように軽やかに走れるように・・・なれるかも?
ITEM
ベナード2.0 (Venado 2.0)
●重量:122g (men's size 9)
●ソールの厚さ:9mm
●ソールのタイプ:Vibram
●フットベッドのタイプ:MGT (Monkey Grip Technology)
トレイルランナーにおすすめ!「オソ・フラコ ウィングドエディション」
「オソ・フラコ ウィングドエディション」の最大の強みは、そのソールパターンにあります。ビブラムの中でもとりわけ優れたグリップ力で評価の高い「メガグリップ」を採用しています。軽快な履き心地でいながら、ちょっと難易度の高い下りのトレイルコースも難なくこなす実力の持ち主です。
なお、「オソ・フラコ」(Oso Flaco)とはスペイン語で「痩せっぽちのクマ」という意味だそうです。ちょっとユーモラスなネーミングですが、トレイルを軽快に駆け抜けるようなイメージはこのサンダルにぴったりかもしれません。
ITEM
オソ・フラコ ウィングドエディション (Oso Flaco Winged Edition)
●重量:204g (men's size 9)
●ソールの厚さ:ベース7mm + ラグ4.5mm
●ソールのタイプ:ビブラム メガグリップ
●フットベッドのタイプ:MGT (Monkey Grip Technology)
【ルナサンダルの選び方②】フィッティングのポイントは?
ルナサンダルは基本的には裸足で履きます(真冬だと5本指ソックスを履いている方もいらっしゃいますが)。足の裏が直接地面につながっているようなダイレクトなフィーリングがルナサンダルの持ち味なので、通常のランニングシューズ以上にフィッティングが重要になってきます。
サイズは普段履いているシューズよりも小さめ
ルナサンダルは足の親指と人差指の間に紐を通して履きますが、もしサイズが大きいと、走っていてぱたぱたと音がうるさくなってしまいますし、脱げやすくなってしまいます。特にルナサンダルは普通のシューズより比較的自由にワイズを調整できるので、ほぼ足と同じサイズ、通常のシューズに比べると少し小さめがおすすめです。
普通のシューズのようにつま先に余裕をもたせてしまうと、石や段差でつまずきやすくなっていまいます。かかとでサイズを合わせたら、余分なつま先部分を自分でカットしているベテランの方もいらっしゃいます。
ネットで買うなら実寸大プリントを活用!
ルナサンダルを販売している店舗でフィッティングをチェックしてみたいけれど近くになくて…という方のために、ルナサンダルの公式サイトでは、それぞれサイズの足型をプリントアウトできるサービスが用意されています。
もちろん試着にまさるものではないのですが、これを使えば自宅でもぴったりのサイズを選べるので便利です。
これも、「素足に最も近い」ルナサンダルならではかもしれませんね。
ルナサンダル公式サイトのフィッティングページはこちら
ルナサンダルで新たなラン体験を
「BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”」(クリストファー・マクドゥーガル著)がベストセラーになり、一躍話題になったベアフットラン。
ルナサンダルもそれに合わせて注目を集めましたが、現在はナイキから始まった厚底シューズのブームにより、やや影が薄くなってしまった感は否めません。
しかし、人の身体がもつ本来の力を引き出し、脚を強くするという意味では、素足に近く、より自然に近いルナサンダルにもまだまだ可能性を秘めているのではないでしょうか。
ただ速く走るために、ではなく、脚を、そしてあなた自身を開放して強くしてくれるかもしれないルナサンダル。
「最近、記録も伸び悩み気味でランニングにもちょっと飽きが・・・」、という方にもおすすめです。
ルナサンダルを履いて、地面をダイレクトに感じながら走るのはとても新鮮な体験です。ルナサンダルは、もう一度自分の走りを見つめ直すきっかけになるかもしれませんね。
この記事を読んだ方にはこちらの記事もおすすめ
1