アイキャッチ画像提供:鈴木すず
まずは装備を揃えよう
トレランは主に自然に囲まれた山を走るアクティビティです。街ランのように何かあった場合にすぐに助けを呼べる環境では無い事も多々。つまり、ひとたび山に入った以上、自分の身は自分で守る必要性があるのです。これからトレランを始める人にとっては(もちろん、誰にとっても)良い情報では無いのですが、毎年どこかしらでトレラン中の死亡事故が発生しています。トレランで最も大切な事は、タイムを縮めることではなく、生きて帰還する事。その為には、どんなギアを揃えておくべきなのでしょう。
怪我防止の為に「トレランシューズ」は必須
ロードシューズとトレランシューズとで大きく異なる点は、アウトソール(靴底)です。トレランシューズは、変化する路面を転倒せずに登り下りする必要性から、アウトソールにラグ(凹凸)が付いています。ランニングシューズで山を走っているランナーを時たま見かけますが、初心者にはお薦め出来ません。怪我を回避しする為にも、専用のシューズは用意しておきましょう。
ITEM
salomon(サロモン)/ SPEEDCROSS 5【メンズ】
●重量:320g
●カラー:8色
●サイズ:25.0〜32.0cm
●ソールの厚み:(ヒール)30mm、(つま先)20mm
ITEM
salomon(サロモン)/ SPEEDCROSS 5【レディース】
●重量:320g
●カラー:8色
●サイズ:22.0〜29.0cm
●ソールの厚み:(ヒール)30mm、(つま先)20mm
▼トレランシューズについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
ロードロングランにも使えるお薦めの「ザック」
着替えや水分、補給食や携帯電話など、携行品を持ち運ぶ為にザックは欠かせません。ただ、普段から帰宅ランなどをしている人でない以上、荷物を背負って走る事に最初は抵抗があるかも知れません。しかしながら、トレランザックは揺れを防ぐ為に様々な工夫がされていますので、意外とストレスにならないもの。大きく分けるとリュック型とベスト型がありますが、最初は汎用性の高いリュック型がお薦めです。
容量に関しては、着替えの収納を考えると12リットル前後が良いでしょう。
ITEM
salomon(サロモン)/ AGILE 12【ユニセックス】
●重量:330g
●容量:12リットル
●サイズ:縦45cm×横22cm×奥行き18cm
●カラー:3色
▼トレラン用のザックについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
急な気候変化に対応出来る「レインウェア」
山は標高が高いので下界よりも気温が低く、また複雑な地形により天気も変わりやすい環境です。ついさっきまで日が差していたのに、数分後には雨が降っていたなんて事もしばしば。そんな変化に対応する為には、レインウェアは欠かせないアイテムです。着眼すべきは、透湿性と耐水圧。また、コンパクトに畳める軽量性も大事なポイントです。
ITEM
THE NORTH FACE / Strike Trail Hoodie【メンズ】
●素材:7D HYVENT® Flyweight (3層)(表:ナイロン100%、中間層:ポリウレタンラミネーション、裏:ナイロン100%)
●耐水圧:20,000mm
●透湿性:40,000g/m2・24h(B-1法)
●重量:110g(Lサイズ)
●サイズ:S、M、L、XL
●カラー:3色
ITEM
THE NORTH FACE / Strike Trail Hoodie【レディース】
●素材:7D HYVENT® Flyweight (3層)(表:ナイロン100%、中間層:ポリウレタンラミネーション、裏:ナイロン100%)
●耐水圧:20,000mm
●透湿性:40,000g/m2・24h(B-1法)
●重量:95g(Lサイズ)
●サイズ:S、M、L、XL
●カラー:3色
▼レインウェアについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
その他、携行を推奨する道具
撮影:鈴木すず
上記が必要最低限のギアになりますが、怪我をしてしまった際には救急キット があると便利ですし、転倒時に手の平を守る為にはグローブ が役立ちます。また、トレイルは木々に日が遮られるので、下界より暗くなるのも早い。そんな時にはヘッドライト が必要になります。
その他、熊との遭遇を回避する熊鈴 や、蜂に刺された際のポイズンリムーバー 、携帯用のモバイルバッテリー など、状況に応じてアイテムを準備する必要があります。トレランの装備を考える際には、「備えあれば憂い無し」のスタンスを心掛けましょう。
▼その他にあると便利なトレラングッズについては、こちらの記事もチェック!
山のルールを知っておこう
危険を回避する為、また美しい自然を守る為に、山には山のルールがあります。トレランを始めるにあたり装備を揃えるのも重要ですが、山のルールを知り、それを遵守するのも同じくらいに大切。こちらでは、山に入る前に心得ておくべきルールをお伝えします。
山はランナーだけのものではない
撮影:鈴木すず
山は厳しくも美しい故、それを愛するのはトレイルランナーだけではありません。いやむしろ、山ではランナーの数よりも、歩きを楽しむハイカーの数の方が圧倒的にたくさん。皆がいつまでも気落ち良く山遊びを楽しめるよう、譲り合いの気持ちを持ってトレランを楽しみましょう。
基本的なルールとして、すれ違う時は登りが優先。また、ハイカーを追い抜く時やすり違う時は、10m程手前から走るのをやめ、ゆっくり歩くようにしましょう。狭いトレイルを走り抜けるトレイルランナーは、ハイカーからすると道路で高速で通り過ぎるバイクのように怖い存在なのです。
ハイカーが少ないトレイルを選ぼう
撮影:岡田拓海
メジャーなルートには、ハイカーもたくさんいます。そうである以上、そもそもそんな環境の隙間を縫って走る事自体に無理がある事も。例えば、東京の高尾山で言うなら、一〜六号路や稲荷山コースがそれ。南高尾や北高尾ルート、もしくは日影沢ルートであれば、ハイカーさんも少ないのでトレランに向いていますよ。
人に出会ったら挨拶をしよう
出典:PIXTA
普段は知り合いではない人に挨拶をする事はあまり無いかも知れませんが、トレイルでは人にすれ違う時、追い抜く時は「こんにちは!」と元気に挨拶をしましょう。これは挨拶の意味の他に、お互い異常無しである事を伝える意味もある のです。たまにスルーされる事もありますが(悲)、挨拶をされて嫌な気持ちになる人はいません。また、疲れた時でも挨拶をする事で、自分も元気になり、時に相手にも元気を与える事が出来るのです。
出したゴミは必ず持ち帰ろう
出典:PIXTA
山でゴミを捨てる事は言語道断です(町でもそうですが)。自分で出したゴミを持ち帰るのは勿論、もしゴミが落ちているのを見つけたら進んで拾って持ち帰りましょう。「来た時よりも美しく」を皆が心掛ければ、山はずっと美しいままでいられます。
トレランをする為にはどんなトレーニングが必要?
装備が揃って心構えを理解したらいざトレランに!と言いたいところですが、山を走る以上、ある程度の体力は必要になります。その為にはどんなトレーニングが必要になるのでしょうか。
平地を10km走れるようになる
出典:PIXTA
言うまでもなく、トレランもランニングの一種です。そして街ランとは異なり、すぐにエスケープが出来ないと言う特徴があります。つまり、山に入る以上はある程度の脚力が必要とされます。コースやペースにもよりますが、最低でも平地を10kmくらいは休まずに走れる走力を身に付けておきましょう。
▼10kmはどう走る?初心者向けの練習について知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
起伏のあるルートを走ってみる
出典:PIXTA
トレランは、土や岩場など凹凸のある地面を登ったり下ったりするアクティビティです。つまり、ロード以上に着地点を注意しながら走らないと、思わぬ怪我をすることも。その為には、まずは町中で坂道などの起伏のあるルートを走って、登り下りに慣れておきましょう。
また、クロカンも出来る公園を走って、トレイルのイメージを養っておくのも効果的です。関東であれば、代々木公園や砧公園、生田緑地がおすすめ。
ハイキングをしてみる
出典:PIXTA
山の雰囲気や気候などを知るには、山に歩いてみるのが一番。いきなり走るのではなく、まずはメジャーなルートをゆっくりとハイキングしてみるのもお薦めです。これをする事で、トレイルの登り下りを体感し、また長時間行動し続ける経験が出来ます。その上、他のハイカーが山でどんな行動を取っているかを見る事も可能に。
山選びのポイントは、標高が1,000m以下で、途中に茶屋があるメジャーなルートがあること。行きたい山が決まったら、情報を検索してみましょう。体調不良や天候不順で計画通りにいかない場合に備えて、エスケープルートもしっかり確認しておくことが大切です。
最初のトレランは慣れた人と一緒に
上記の準備が出来たならば、いよいよトレランに行ってみましょう。可能であるなら、最初は慣れた人と一緒に行くのが一番です。知り合いにそのような人がいるのであれば、まずは相談してみましょう。それが難しいと言う方でも、案ずる事なかれ。トレランの素晴らしさを共有すべく、初心者歓迎のトレランサークルは世にたくさんあります。
トレランイベントに参加する
提供:植木 香
初心者の為のランニングクラブ「トラック・トーキョー」ではトレランレッスンを定期的に開催しています。また、高尾山口駅近くにあるカフェ&バー「Mt.TAKAO BASE CAMP」でも、初心者用のトレランイベントを定期的に実施。このようなイベントは地方のトレランショップなどでも開催されているので、試しに「自分の住む地域 トレラン 初心者 イベント」などで検索してみるのもお薦めです。
ランニングクラブ「トラック・トーキョー」 カフェ&バー「Mt.TAKAO BASE CAMP」
ランニングクラブに加入する
撮影:鈴木 すず
ロードランをメインに活動しているランニングクラブに、トレランを同時に楽しむメンバーがいる事は少なくありません。都内を中心に活動しているチームなら、WEBマガジン「フイナム」が主宰する「フイナム ランニング クラブ♡」や、代々木上原を中心に活動する「チキンハートランニングチーム」などがそれ。いずれも初心者ウェルカムなので、一度グループランに参加してみるのも一つですよ。「フイナム ランニング クラブ♡」Facebookグループ
聞かせて!あなたのトレランデビュー
今や定期的に山を走る人でも、最初は初心者だったはず。では、そんな人はどのような形でトレランを始め、ハマっていったのでしょう。そこでこちらでは、ここ数年でトレランを始め、それに魅了されたランナーの生の声をご紹介します。
小山 英里さん
提供:小山 英里
小山 英里さん プロフィール
化粧品会社勤務。ランニング歴4年半、トレラン歴2年。運動不足解消を図るべくヨガと一緒にランニングを始め、人生で1回くらいはと走ったフルマラソンがきっかけで、それにのめり込むように。今やフルマラソンから60km超えのトレイルまで、幅広くレースを楽しんでいる。
Q:トレランデビューはいつ?どこの山?
A:2018年12月です。鎌倉の里山でした。
Q:初めてトレランした時の辛かった事、楽しかった事は?
A:登りは想像以上に辛かったですが、登り切ったあとの達成感やそこから見られる景色の素晴らしさにとにかく感動しました。 さらに下りの爽快感やスリルも加わって、1回のトレランで色々な感覚を味わえる事が新鮮で楽しかったです。
また、ロードからトレイルに走っていくときの、これから冒険が始まるんだ!という高揚感は今で言うとレースが始まる時の感覚に似ている気がします。
田嶌 一徳さん
左提供:田嶌 一徳、右撮影:石山 匠
田嶌 一徳さん プロフィール
アウトドアメーカーにてデザイナーとして勤務。登山経験は6年。仲間と走ってあらゆる町の銭湯に行く「銭湯ラン」を週一で行っており、それが楽しくてランニングを続けていると言っても過言ではない程の銭湯好き。これまでに巡った銭湯は現在約70軒。ロードよりもトレラン、ショートよりもミドル〜ロングに傾倒中。
Q:トレランデビューはいつ?どこの山?
A:2018年秋。上州武尊山エリアでした。
Q:初めてトレランした時の辛かった事、楽しかった事は?
A:もともと登山はしていたものの、走る事に対する苦手意識は強かったんです。仕事の絡みもあり、まずはトライしてみようと思ってレースにエントリーしたのがきっかけでした。つまり、初トレランがいきなりレースだったので、果たしてフィニッシュ出来るのか不安が半分、レースへの高揚感が半分。
終えてみればあっという間で、達成感を感じつつも、後半でエネルギーが切れて失速し、後ろから抜かれたのは辛かったし悔しかったなぁ(笑)。もっと頑張れたという感覚が次のレースに繋がっていったし、トレランの楽しさだと思います。
竹ノ子 あおいさん
提供:竹ノ子 あおい
竹ノ子 あおいさん プロフィール
都内コンサルティング会社勤務。2016年、友人に誘われ走り始める。年に1〜2回ハーフマラソン大会に出場。2020年1月よりランニングチーム「チキンハートランニングチーム」の練習に参加。2021年6月、越後カントリートレイル(20km)でトレラン大会デビュー(予定)。
Q:トレランデビューはいつ?どこの山?
A:2020年9月(まだ新人です)。浅間山です。
Q:初めてトレランした時の辛かった事、楽しかった事は?
A:走り始めの20分、慣れない山道に来たことを後悔しそうになりながらも、とにかく空気の美味しさに驚きました。ロードを走っている時とは、空気も景色も全然違くて、その場にいるだけで楽しいんです。太陽の光を受けて刻々と変わる山の景色に魅せられました。
けど登りはやっぱり辛くて、重い脚を引きずってただただ足を進めたのですが、稜線はジェットコースターに乗ったかのようで気持ちが良かったです。山を走る意味なんて全く分からないと思っていましたが、初めてそれをやってみて、山に魅せられた周りの友人達の気持ちが少しだけ分かった気がしたのを覚えています。
晴れの日に山を走ってみよう
撮影:鈴木 すず
トレランには山の中で過ごす過酷さやリスクが伴い、それに対処するためにも色々と準備が必要です。しかし、それを差し引いてもトレランは自由で、自然で、とても楽しいアクティビティです。青い空に太陽が出たら、それはトレランデビューには絶好の日。ロードランとはまた違った景色を、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。