アシックスから新作のレーシングシューズが2種発売!
人気スポーツメーカー「asics(アシックス)」から、カーボンプレート入りのレーシング向けシューズが2種発売されます。今回、編集部では新作発表会&試しばきのイベントに潜入しました!早速どんな商品か、紹介していきます。
「ストライド走法」「ピッチ走法」それぞれに合わせた2モデル
突然ですが、「速く走る」とは、どういうことでしょうか。
今よりもスピードをあげたいと思ったら、ストライド(歩幅)を広げるか、ピッチ(足の回転)をあげるか、またはその両方か、といった答えが挙がると思います。
今回アシックスではエリートアスリートの協力のもと、ストライド型、ピッチ型、両方の選手の走り方を分析。
結果、ストライド型の選手は歩幅をより伸長させること、ピッチ型の選手は回転数をあげつつ、ストライド型よりも短いものの歩幅も伸長させることが、速度向上に重要であるという研究結果が発表されました。
今回発売される2種のシューズは、「ストライド型」「ピッチ型」それぞれの走法に合わせてスピードを最大化させるコンセプトのもと開発された、カーボンプレート入りのシューズです。
ストライド型におすすめな「META SPEED Sky(メタスピードスカイ)」
「METASPEED Sky」は、ストライド型の選手が、ストライドを最大限伸ばし、より少ない歩数でゴールできることを目的に作られています。
<METASPEED Sky特徴>
・ミッドソールは厚め。かかとから前部にかけて軽量カーボンプレートを配置
・asicsで最も反発する素材「FF BLAST TURBO」を厚めに配置
・かかとから前部にかけて5mmの傾斜差をつけて反発性を高めている
・前足部をシャープなカーブ形状にすることで、ストライドを伸ばせる設計
こちらは3月31日に発売開始となりました。
ピッチ型におすすめな「META SPEED Edge(メタスピードエッジ)」
「METASPEED Edge」は、ピッチ型のランナーが、ピッチもストライドも伸ばせるような設計になっています。
<METASPEED Edge特徴>
・ミッドソールのかかと部から前部にかけて軽量のカーボンプレートを搭載
・「FF BLAST TURBO」の厚みをメタスピードスカイよりも少なめに
・かかとから前部にかけて8mmの傾斜差をつけ、ピッチコントロールをしやすく
・回転数を下げないよう、前足部のカーブはマイルド
メタスピードエッジは6月4日の発売予定となっています。
なお、2モデル共通の部分は下記です。
・アッパーには100%リサイクルポリエステルのエンジニアードメッシュ使用
・ミッドソールの形状を横に張り出す立体設計にし、安定感のある接地に
・靴底に「ASICS GRIP」使用
・価格は27,500円(税込)
プロランナー・川内優輝選手は「メタスピードスカイ」で8年ぶりの自己記録を更新
会場には、いち早く「メタスピードスカイ」のプロトタイプを使用し、先日の第76回びわ湖毎日マラソンで自己ベストを更新したプロランナーの川内優輝選手の姿も。川内選手は、「履くだけで姿勢が伸び、呼吸がしやすくなるので、前半からうまくスピードに乗ることができました。ストライドが伸ばしやすく、キロ3分のペースが楽に感じられました。ただ、すぐに履きこなせたわけではなく、約2ヶ月間練習時に履き込み、実業団ハーフマラソンで本番着用し、びわ湖毎日マラソンに挑みました」と、自己ベスト更新の勝因をコメント。
シューズに自分を合わせて走るのではなく、ストライド型、ピッチ型、それぞれに合うシューズを選び履きこなして行ける点がこのシューズの最大の魅力だと語ってくれました。
編集部員が早速試しばきしてみた!
そうはいっても実際に試してみないと!ということで、2名の編集部員が今回試しばきしてみることに。
自分が実際「ストライド型」なのか「ピッチ型」なのかわからない、という人は、アシックスのショップで計測が可能とのことです。
今回は、会場に設置されたトレッドミルを使ってそれぞれに合うシューズをチェックしてもらいました。
左:メタスピードスカイ/右:メタスピードエッジ
見比べてみると…見た目に大きな違いはありません。少しだけ「メタスピードスカイ」のほうが、ソールが厚めでかかとと爪先のカーブが強いでしょうか。ぱっと見はあまり違いがありませんが、いざ走ってみると…。
反発強めでぐんぐん前へ進むメタスピードスカイ
編集部:青木(マラソンタイム目安:サブ3.5レベル)
中足部から前足部で踏み込んだ際、ぐにゅっとしたクッションの柔らかさを感じると同時に、強い反発が戻ってきて、それが前への推進力を生み出してくれます。私自身はピッチ走法寄りなのですが、自然と体を大きく使って走る感覚が得られました。
また、厚底シューズの場合、適切なポイントで接地しないと本来の反発を得られなかったり、左右へのブレを感じたりしやすいのですが、このシューズは接地時の安定性が非常に高いのが大きな特徴です。
短い距離で使用するのであれば、エリートランナーでなくても走る楽しさを感じることができるシューズかもしれません。
編集部:深作(マラソンタイム目安:完走〜サブ5レベル)
踏み込んだ瞬間、エッジに比べて「柔らかい」感触をダイレクトに感じました。スピードが上がってくると、自然に足がまわるのですが、疲れてくると接地が難しいかも。上下に結構弾んでしまいました。私くらいの走力だと、先に心肺機能の面で靴の性能を感じられなくなりそうなので、使用するとしても10キロとかになってしまいそうです。。
反発はそこそこ、自然とピッチが上がるメタスピードエッジ
編集部:青木(マラソンタイム目安:サブ3.5レベル)
スカイのような強い反発性はありませんが、その分、接地時間が短くなり、足が自然と地面から離れていきます。その結果、脚がスムーズに回転していくイメージで走ることができました。走る様子を見ていただいた方によると、エッジの方が足が後ろに高く上がっていたとのこと。
また、普段より脚が大きく動き、ストライドも少し伸びている印象です。足さばきはメタレーサーに近い感覚ですが、より高い推進力を感じることができました。
編集部:深作(マラソンタイム目安:完走〜サブ5レベル)
スカイに比べて反発力が控えめなので、上下にぼよ〜んと弾む感じが少なく、ピッチをあげやすいと思いました。カーボンシューズの感覚が苦手だったりうまく履きこなせないと感じている人は、こちらの方が良いかもしれません。
ピッチはあげやすくても「走らされている」感覚は少ないので、スピードのコントロールがしやすいかも。
編集部はふたりとも「ピッチ走法」だったので、どちらかといえばメタスピードエッジの方が合っているという結果に。
ちなみに、メタスピードスカイ、メタスピードエッジ、ともに「サブ3〜サブ2.5」レベルのランナーのレーシングシューズを想定して作られているとのこと。それよりもゆっくりなペースで走るランナーは10km、長くてもハーフくらいの距離を目安に「スピードに乗る感覚」を体験するのがおすすめ、とのことです。なるほど、このシューズはかなり上級者向けのレーシングシューズとして作られているようです。
完走〜サブ4ランナーにおすすめの「メタスピード」シリーズもありますよ
一般のランナーに履けるものではないのか…と落胆するのはまだ早いです。実はメタスピードシリーズには「スカイ」「エッジ」のハイエンドモデルの他に、シリーズの機能・デザインを引き継いだ「マジックスピード」「ハイパースピード」という2モデルも発売予定です。
マジックスピード
クッション性、反発性のバランスが取れた1足。サブスリーランナーのレース、アスリートのトレーニング用としておすすめ。
価格:17,600円(税込)
発売日:4月9日
ハイパースピード
優れた走行効率性と軽さが特徴(27.0cmで約210グラム)。サブ3.5〜4ランナーのレースやトレーニング用としておすすめ。
価格:9,700円(税込)
発売日:4月16日
昨今のランニングシューズは技術の向上と価格の向上が凄まじいな…と感じていたのですが、ハイパースピードはなんと1万円を切るお値段!それでいて「スカイ」「エッジ」のDNAを持っているならば、是非これは体験して欲しいです!
アッパーは、2足とも「エッジ」「スカイ」と異なる素材を使用しています。
靴に走りを合わせる時代から、靴を走りに合わせる時代へ
今のランニングシューズ界では、某N社のカーボンシューズが人気も記録も強い状況が続いています。各社開発に力をかけていますが、今回のアシックスのシューズもかなり力をいれて研究開発されていました。アシックスの廣田康人代表取締役社長COOは「一般ランナーだけでなく、トップアスリートからも選ばれるシューズの研究開発も続け、選手から選ばれる存在になりたい」と今後のアシックスの方向性を熱く語ってくれました。
オリンピックや箱根の上位選手が「メタスピードエッジ」「メタスピードスカイ」を履いて表彰台を占拠する日は近いかもしれませんね。少しずつ再開してきたマラソン大会で、自己ベストを狙いたい方、スピードに乗って走りたい方は、是非試してみて欲しいです。
▼「メタスピード スカイ」を実際に履いて走ってみたレビューは、こちらの記事をチェック!