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カーボローディングとは?基本ポイントを押さえよう!
マラソン大会に興味がある方であれば、一度は「カーボローディング」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。カーボローディングとは一体どのようなものか、メリットやデメリットも含めて紹介します。
糖質を一時的に多く蓄える方法
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カーボローディングを英語で書くと「Carbohydrate Loading」です。「Carbohydrate」は炭水化物のことで、体内に炭水化物を多く貯め込むことを意味します。
炭水化物は体内でグリコーゲンとして蓄えられるため「グリコーゲンローディング」とも呼ばれます。
グリコーゲンは体内にあるエネルギー源の中でも即効性が高くすぐに消費できるため、マラソンなどの持久系のスポーツでは体内にグリコーゲンを多く溜めておくことが有効です。
体内には常に一定のグリコーゲンが貯められていますが、通常の生活をしている分にはあまり多くの糖質は蓄えられていません。そこで、カーボローディングを行うことによって、通常時よりも体内に糖質を多く蓄えられるようになります。
メリット:マラソン後半のエネルギー切れをある程度防げる
カーボローディングのメリットは、マラソン後半のエネルギー切れをある程度防いでくれることです。エネルギー切れを起こすとペースを維持できなくなるだけでなく、バテてしまいフォームも崩れてしまいます。
その結果、大きな失速に繋がることやアンバランスなフォームによって故障することもあります。体内のエネルギー量が多くなれば、最後までしっかりしたフォームで走りやすくなるでしょう。
また、体内のエネルギーがなくなると、回復するのに2~3日かかると言われています。カーボローディングによって事前に体内のエネルギー量を多くしておけば、マラソン後に体内に残るエネルギー量も多くなるので、マラソンを走った後の疲労感も軽減します。
デメリット:体重が増える恐れがある
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糖質を体に貯めるときに、糖質だけでなく一緒に水分も一緒に吸収する性質があります。その吸収する比率は糖質「1」に対して水分が「3」、つまり糖質の3倍の量の水分を吸収してしまうのです。
もし、糖質100gを体内に貯めようとすると、300gの水分も一緒に溜め込まれることになるので、合計400g増量してしまう計算になってしまいます。
体重が増えてしまうと、マラソン当日に体が重く感じてしまい逆効果になってしまう可能性も。カーボローディングを行う際には、急激に糖質を増やしすぎないことに注意が必要です。
食事の量を調整!カーボローディングのやり方
カーボローディングのやり方自体はシンプルです。ただし、正しいやり方で行わないと失敗してしまい、逆にマラソン当日に調子が悪くなってしまうことがあるので注意が必要です。
では、どのようにやれば良いのか、カーボローディングの基本的なやり方を見ていきましょう。
レース1週間前から糖質の量を調整していく
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カーボローディングは、マラソンレースの1週間前から始めてレース直前まで行います。
普段の生活から変化があるのは、「食事の内容」と「練習の量」です。基本的には摂取する糖質の量と練習量を調整することで、体内のグリコーゲン量を多くしていきます。
レース1週間前:糖質を抑えて長距離のランニングを行う
レース1週間前からレース4日前まで、一度体内の糖質を少なくします。一度体内のグリコーゲン量を減らすことによって、体は不足した分を補おうとするので、通常よりも多くのグリコーゲンを蓄えることができます。
そのため、低糖質の食事を心掛けて、練習でもロングジョグなどを行いグリコーゲンを消費します。ただし、練習のペースを上げてしまうとレース当日に疲労が残ってしまうので注意しましょう。
レース3日前:練習量を抑えて高糖質の食事に切り替える
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レース3日前からはグリコーゲンを多く蓄えるために、高糖質の食事に切り替えて練習量も減らしていきます。一般的な食事メニューの中で、糖質の割合は50~60%程度と言われています。高糖質に切り替える場合は、この割合を70%以上まで引き上げます。
おすすめの食事は「餅」が入った「力うどん」。餅もうどんも炭水化物なので、糖質を効率的に摂ることができるメニューです。さらにどちらも原料を小さくしてこねているため消化も良いのが特徴。
また、1回の食事量を多くすると胃もたれしてしまうので、間食などで回数を増やして摂るのもおすすめです。例えば、練習をした後に、おにぎりや饅頭などの軽食を摂るのも良いでしょう。
レース当日:3~4時間前に消化の良い食事を摂る
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レース当日はお腹に未消化のものが残らないように、3~4時間前までになるべく消化が良いものを摂ります。当日の朝もうどんや餅などはおすすめです。おにぎりとバナナをセットで摂るのも定番メニューの一つ。
スタート1時間前には、エネルギーゼリーなどで最後のエネルギー補給を行うのがおすすめ。また、水分は糖質が含まれているスポーツドリンクを選ぶと良いでしょう。
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森永 inゼリー エネルギー
●内容量:6個
●カロリー:1個当たり 180kcal
●味:マスカット味
押さえておきたいカーボローディングの3つの注意点
カーボローディングには押さえておきたい注意点があります。というのも、実はカーボローディングは失敗することも非常に多い食事法なのです。
では、カーボローディングを実施するときには、どのような点を意識する必要があるのか見ていきましょう。
極端な調整は体調不良を招く可能性がある
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カーボローディングを徹底的に行おうとして、食事を極端な低糖質から高糖質のメニューに切り替えたり、低糖質期にハードなトレーニングをしたりすると体調を崩す恐れがあります。
この記事で紹介したやり方は「古典式」と呼ばれている方法です。より多くのグリコーゲンを蓄えることができますが、失敗率が高いのが難点です。そこで最近では、4日前までを普段と同じように過ごし、3日前から糖質を増やす「改良式」のカーボローディングを取り入れるランナーも多くなってきています。
「古典式」と比べると「改良式」は蓄えられる糖質量は少ないと言われていますが、体への負担が少なく調整を行いやすいのがメリットです。初めてカーボローディングを実施するときは、「改良式」から試してみると良いでしょう。
速く走れるようになるわけではない
カーボローディングはエネルギーを貯める方法であって、足が速くなる方法ではないことを意識しましょう。仮にカーボローディングを完璧にしても、それまでのトレーニングを怠っていればマラソンのタイムを縮めることはできません。
もしマラソンの結果が悪かったときは、カーボローディングなどの調整法だけでなく、それまでの練習内容もしっかり見直しましょう。
食物繊維・脂っこいものは控える方がベター
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炭水化物は糖質と食物繊維の2種類あります。しかし、食物繊維は人体では消化できず、摂り過ぎるとお腹が緩くなってしまうので注意しましょう。
また、食事量を増やそうとして脂っこいものもたくさん摂ってしまう、という失敗例もあります。脂質は消化に時間がかかるため、カーボローディングの期間はなるべく控えることが大切です。
あわせて実施したいマラソンの栄養面での対策
きちんとカーボローディングに取り組んだら、あとはレース本番を迎えるだけ。しかし、カーボローディングだけでマラソンのエネルギー不足が解消できるわけではありません。ここからは、カーボローディングとあわせて実施したい、補給食などの対策を紹介します。
レース中のエネルギー補給も必要
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カーボローディングを実施したとしても、体内に蓄えておける糖質の量には限界があります。だいたい1,500kcal~2,000kcalが体に蓄積できる限度と言われています。
マラソンの消費カロリーは2,000kcalと言われていますが、完走までの時間が長ければ長いほど必要なエネルギーは増えていきます。
不足するエネルギーは、レース中に補給食を摂って補いましょう。
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MAURTEN モルテン GEL100
●内容量:1箱(40g×10パック)
●エネルギー:100kcal
▼補給食について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
レース後の栄養補給も重要
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レース後は体内、特に筋肉中のエネルギーが不足しており、強い疲労感や倦怠感が残ります。また、ランニングにより筋肉自体もダメージを受けています。
そのため、糖質を補給するだけでなく、疲労回復に効果があるクエン酸や、筋肉の回復に良いアミノ酸などを摂ると良いでしょう。エネルギーゼリーなど消化器に負担をかけないもので糖質を補給し、グレープフルーツジュースなどを飲むのがおすすめです。
▼フルマラソン後の食事のポイントについてさらに知りたい方は、こちらの記事もおすすめ!
補給の練習もしておこう!
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レース中に補給食を摂るのは意外と難しいです。補給するためにペースを落とし過ぎてしまうと、ランニングのリズムが崩れてしまい、疲労感が急激に大きくなって失速してしまうことも多くなります。
上手く補給できるように、本番前の練習中(ロングジョグの日など)に実際に補給食を試してみるのもおすすめです。
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無理ない範囲で糖質を調整してマラソン本番に臨もう!
カーボローディングは厳格にやろうとすると失敗することも多くなります。食事と体の相性は人によって異なるので誰もが同じやり方で結果を出せるわけではありません。極端な食事制限などは体調不良を招く可能性もあるので、無理のない範囲で実施することが大切です。
例えば、普段口のしないものをレース1週間前に摂るのも、何が起きるか分からないのでできれば避けた方が良いですね。なるべく普段の生活に近い方法で、自分に合ったカーボローディングのやり方を見つけましょう。
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